セクハラの姫

 あれからどれだけ経ったんだろう。多分2ヶ月程度だとは思う。帰還の目処も管理者からの接触も無い。半ば諦めの境地にある今この頃。



 風呂に入ればセクハラプリンセスに隅々まで触られ、風呂上りには計られる、これもまた全ての部位をだ。正直いい加減にして欲しい、でも僕が強く出れないのは立場はさることながら、急に彼女が真剣になるからなんだ。



 初めこそ態度はおっさんのセクハラだけど、本人曰く、僕が使うに必要不可欠だそうだ。



 それでも止めて欲しい物だ、形容しがたきこの感覚は男の時では無い物、戸惑いとなんとも言えない痛さに困惑し、少し慣れつつある僕に泣きたくなってきている。



 せめて、あの妙ないやらしささえなければ良いんだけど・・・現在の僕の扱いは妹兼ぬいぐるみ兼セクハラ対象兼チューターである。



 つまり四六時中一緒なんだ。ベッドこそ別な物の、目を覚ましたら抱き枕にされてるし。




 チューターとしては僕は彼女に体捌きと基礎訓練、得意である速度を主軸にする戦術を教えている。お陰様で彼女の人形の速度は段違いに速くなった。



 逆に僕は自分の魔術適性の診断をした後で彼女の得意な人形を用いる戦闘を教わっている。未だ実戦には程遠いけど、何とか掴めそう。



 ただ、気になる事が一点、魔術の授業がゲームとはかけ離れている。その効能も、大体人形遣いなんて物はゲームにはなかった。ゲームで出来た事は纏わせる、エンチャント系の魔術と飛距離がほぼ無い放出系、そして身体強化だけだったはず。




「アリス、爺の所に行くわよ」



 後ろから抱きつき、耳元で言うフィオ。なんでこうもセクハラ臭いんだろう? 密着していても背中に当たる物は無い。幼女なので当然ではあるが、寂しい物だ。これが我々男が望む意味でのお姉さんならいくらか喜べるのに。




「フィオ様はもう少し慎みをお持ち下さい。立派なレディーなのですから」



 本当に持って欲しい、王族なんですよね? これじゃ幼女の皮を被ったセクハラ親父だ。しかも、相手が僕なだけにロリコンという称号まで付いてくる。



「作法は私よりアリスが頑張るべき所では? 及第点には届いてるから良いですけど」



「作法の事ではありません。はぁ、もういいです。分かってて言ってらっしゃるのでしょう」



「勿論よ、アリスはこのお城で一番の娯楽・・・お友達ですもの」



 この幼女人指して娯楽言いやがりましたよ。いつか反撃して・・・無理だ精神はおっさんなんです。日本で刷り込まれたモラルはそういう発想をかき消した。



「酷いですよぉ~。全く、ではルーカスさんの所へ向かいましょう」



 チューターなんかといっているが所詮は幼女、教えるより学ぶ方が多いのは当然だ。



 僕の手を掴み引っ張りお姫様は進む。

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