違和感

結局の所互いに攻めきれず引き分け。僕が逃げに徹したせいでもあるんだけどね。


 小さくため息をしてフィオはこう告げる。


「貴女は強いけど直線的よね?魔術を教えるとどうなるか楽しみだわ」



「フィオ様も騎士の動きをもっと理解すれば動きが良くなると思います」



「さてアリス、汗を流しに行こうかしら」



 フィオの顔はにやぁとしてる。正直寒気がするなにかだ。



「いえ、僕は報告もありますのでまた後で」



 言い終わる前に僕の手を引き浴場へと走る。引く力も掴む力も幼女とは思えない力だ、嫌な汗が出る。何故かまずい気がする。



 でも悲しいかな僕は引かれるままだ。僕の中身はおっさんでも体は幼女に他ならない。強化術式自体はフィオの方が優れている時点で勝ち目は無い。後ろにメイド姿の女性が慌ただしく準備を他のメイドに指示しながら追いかけてきている。



 多分この姫君、お転婆姫なのだろう。メイドたちの動きに慣れがある。




 そして地獄が始まった。この姫・・・幼女の皮を被った変態だ絶対そうだ。おぞましい。



「もう二度とフィオ様とはお風呂には入りません」



 頬を膨らませて怒る僕・・・え? 何をやっているんだ? 僕はそんな子供じゃないはず。確かに触られた感覚は元の体ではありえない感覚で形容しがたい違和感で混乱と恥ずかしさできつかった。




「まぁまぁ。今回のは貴女の人形を作る為に必要だったのよ。私可愛い女の子造詣って本当にたまらないわ」



 目が何処か遠い世界に旅立ってる・・・そっとしておこう。



「それにいつかは貴女が使う事になる人形よ? 完璧にしてあげたいじゃない?」




「それはどういう意味ですか?」



 フィオは妖艶に微笑み、口の前に人差し指を立てて。



「秘密よ。貴女が魔術をある程度習得できたら色々教えてあげる」




 まぁいいさこのデザイン自体は気に入っている。自分でこんな娘が欲しいって位には可愛く作ったのだから。現実には彼女すらいないのだが、非現実にコレくらい求めても罰は当たらないだろう。



「所でアリス、自分の今の状況や所在は分かるかしら?」



「僕はフィオのチューターであり逆でもある。違いますか?」




「30点、今のアリスは私の傍付きであり護衛であり、そして生活を共にするよこれから互いが互いから卒業するまで」



 ん?



「生活を共にとは?」



「既に私の部屋に貴女の荷物は運び込まれてますわ」



 いやいやいくらなんでも唐突すぎるだろ?やはりバグでストーリーがすすんでいる? でもこのからだの感覚は完全にアウトでやれば絶対に健全な団体に潰される。



「私、妹が出来たみたいで本当にうれしい」



 姫君は喜んでるが、僕はこれからどうなってしまうのか?

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