姫
目が覚めるとそこは多分医務室。ゲーム次代にはなかった物だが、確かにある。少し違和感があるが、幼女の体から戻れない原状に比べれば些細な事であろう。
「目が覚めたか? 素晴しい健闘じゃった。王も絶賛じゃ」
合格点は貰えたと言って良いのかな?
「それは良かったです」
「体は大丈夫そうかの?」
立ち上がり一通り体を動かすが問題は無さそうだ。
「問題は無いです。ご心配おかけしました」
「そうか、ほっとしたわい、寝起きで悪いのじゃが王の所まで今から行けるかの?」
「僕は大丈夫です」
「それでは行こう」
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また最初に王と会った部屋に通される。ほぼ最初と同じ状況だが、一つだけ違いがある。自身もそうやって作った物だが。
可愛らしい幼女がいる。銀色の髪、アメジスト色の瞳。そして不釣合いな色気の様な物。これだけは僕とは違う。
このゲームにチャーム(魅了)系の魔術は実装されてないはず。僕はそっちの趣味は無いし、この幼女の格好もそういう色気を引き出すものではなく、可愛らしいゴシック調のドレスだ。
なのに妖艶さ? 何か異常な物を感じる。そんな思考の最中王はこう言った。
「アリスよ騎士としてなら申し分ない。しかし、魔術師としてはまだまだだ。逆にわが娘は魔術師としては一流だが騎士としての技量はまだまだだ。よってアリスよ騎士としての娘のチューターになって貰う」
避けたいと思ったらお姫様ですか、これは逃げられない。
「そしてアリスよ魔術師としてのチューターにわが娘を付ける。共に良く学び、良く競い、叶うなら良き友として歩んで欲しい」
これって時代劇なんかである小姓のようなものか? 少し違うような気がするが。
王の隣にいた幼女は僕の近くまで来てお辞儀をすると。
「貴女がアリスさんね、私はフィオ。これからお互い頑張りましょう」
やはりこの色気のような物が気になる。そして愉快そうなこの幼女にもなにか違和感がある。悪意とは違うのはわかるのだけど・・・
「僕こそよろしくお願いします。フィオ様」
フィオナは王に向い。
「アリスは連れて行くけど良いわよね?お城を案内したいの」
「そうしてあげると良い、でもはしゃぎ過ぎていけないよ」
急に言葉のトーンが変わる。これだけ可愛らしい娘となれば溺愛もするか。僕もこんな娘がいたら溺愛してパパムーブを全力でする自身がある。
「それじゃいきましょう」
そう言って僕の手を引いて部屋を出る。
想像もできない展開に少しワクワクしてる僕がいた。
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