校長との会話

 この国は完全実力主義だ、私のような子供であろうが実力があれば大人に並び仕事だってこなす。そう、そのはずなのだ、ゲームの中と同じであれば。



 ただ困った事にそうはいかなかった。現実ならそうだろう。大体勝利等想定外なのだ。結果何があったか?



 まずは訓練終わりの馬鹿騒ぎ、完全にお祭り状態だ。生徒だけならず教師までもが酒を持ち出し騒いでいる始末、誰も止める者がいない。




 僕自身は校長室に呼び出され、今後の事を今から話す所だ。



「さて、アリス。とんでもない事をやってしまったのぉ。良い方にじゃが」



「ありがとうございます」



「わしも遠目ではあるが見ていた、文句なしの強者じゃな。しかし、チューターに即してもいいかと問われると否じゃな。何故かわかるかの?」



 それはそうだ、僕自身まだチューターとしての適性は見せていない。



「はい、僕は戦闘での力を示す事は出来ましたが、チューターに必要な物は戦闘能力だけでは無いからです」



「よろしい、その認識で間違いは無い。無いのじゃが・・・」



 校長は難しい顔をして黙り込む。


「僕は力を試すために挑みました。しかし、これでチューターになれるなんて最初から思ってません」


 思ってましたよ本当は、ゲームであればだけど、でも現実に近いと仮定した場合は厄介極まりないと思う。



「アリスは聡い子じゃの。正直わしの判断なら実技を全て免除なんじゃがな、そうにもいかんのよ」



「ではどのようになるのでしょう?」



 自分の裁量を超えた事態ってことなのかな?異例だろうしそれは仕方ないか。



「今回の出来事は、わしの権限で決めてしまうと後々問題になりそうでな。アリスよわしと共に王都へ向かうぞ」



「王都にですか?」



 上の権限がある者に任せるか、下の人間のあるべき姿だとは思うがそこまでの大事になるとは。



「王にお伺いを立てる。今回の出来事は異例中の異例じゃが、間違いなく慶事(めでたい事)じゃ。今回の事を伝える意味もある」



 王ときたか、面倒な流れになってきたけど流れに身を任せる他ない。



「わかりました」




「本当に聡いのぉ、わしがそのくらいの時はなにも考えておらなんだぞ? ともかく出発は明日じゃ。着替えと装備だけ準備すれば良い、問題はあるかの?」




「いいえ、問題ありません」



「そうか、それでは祝う者達が溢れておるのだ、祝われてくると良い」


 

「ありがとうございます。僕はこれで失礼します」




 その後は散々だった。幸い女の子なので揉みくちゃにされる事はなかったけど、全く心休まる時がなかった。

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