もう一つの売り
「希望者はいるか?いる訳も無いか」
周囲は静寂に包まれる。これに参加する馬鹿がどうなるかなんて一度は見てるここの面々はよく知っているはずだ。だからこそ俺は、手を上げた。
「僕が行きます」
その瞬間周囲がどよめく。困惑してるのは教官も同じだ。年齢を問わずここには幅広い年代の者がいる。俺の様な10歳程度の女子が希望するとは夢にも思わないだろう。
「わかった。構えなさい、ルールは規定通りだ」
ここでこのゲームの売りの一つ魔術なのだがまぁチュートリアルではまず使えない、大気からマナを体に取り込んだり、自身のオドを全身にめぐらせたりとこのゲームはその辺やたらリアルに作られている。そう、架空の物をまるであるかのように感覚として体感できるのだ。
このルールでは魔術の使用はありだ。なので遠慮なく使わしてもらおう。
呼吸と共に、肌で触れる空気と共にマナを体に取り入れる。体を巡らせ自身が使い易い形に変え、身体強化の魔術へと変えて行く。
この体は小さい。デメリットでもあるがメリットでもある。凄まじい速さで動く小さな的はそう簡単には触れれない。
俺は体勢を低くビリヤードでもするように木剣を構え、教官はなにか感じ取ったらしく上段に構え俺を迎え撃つようだ。
俺はこの少年漫画のパクリであるこの技が好きだ。体勢を低くして相手に突っ込み、相手の刃より己の突きを先に打ちこむ。
こう言う風に、自身が音を置いて行く感覚が分かる。感覚強化というVR特有の技術だからこそ許されるこの速度、この感覚・・・って圧迫感が凄い。強化無しじゃ体がもたんなこれは。
反応出来ない教官を突いたは良いが、木剣が砕け散った。武器と相手の防具の性能差を考えれば当然だし、突進はそれなりに速度を出したが、突きは当てただけだ。
また沈黙が場を支配したかと思えば。まるで風船が割れたみたいに歓声が響き渡った。
この瞬間チューターとしてのアリスの誕生である。
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