とりあえずはシナリオに従おう

 事故だとして助けが来るも来ないも俺に出来る事は何も無い。であればこのキャラクターの設定をトレスして無難にチュートリアルを越すのが無難だろう。



  このゲームの主人公の設定は元没落貴族の出身である。チュートリアルのイベントで教育者になり、その後のある程度進めると有能な騎士を集中して鍛えるチューターになる。


 とりあえず試験の大体の内容や流れは分かっている。その中に増長した若者の鼻っ柱を折るためのイベントがある。教師と1VS1で戦い勝てば飛び級と言う物だ。剣の授業内でならいつでも挑戦できる。




 だが、参加するものは少ない。目的が鼻っ柱を折る為の物だからだ。まずいたぶられる。教官はこの学校最強の教官でまず、チュートリアルで勝つのはほぼ不可能である。例外にトッププレイヤーがサブキャラで8時間の激闘の末撃破した伝説のようなプレーがあるが、あれはプレイヤースキルと元々の運動能力がずば抜けて高いから出来るものである。




 レベル差が大きいのだから当然であるのだが、それはこちらレベルが低い場合の話だ。現在の最高レベル120。今のレベルであれば余裕でクリアできる。



 丁度剣術の授業は昼の部からだ。




ーーー



  走り込みに初まり、素振りに続き、ペアを組んで試合形式で進めていく。自分のキャラクターに近い年齢のキャラクターで周りの学生が決まるので見てる分には完全にお遊戯である。



「えい、やぁ」



 相手の少年が実に可愛らしい声で木剣を振るうが受け太刀する気すらしない。最小限の動きで避ける。そのうち涙目を浮かべながら向かってきたので受け太刀くらいはしてあげる。



 たまにこちらも攻撃をする素振りをして、相手をしている感だけ出している。だってこんな可愛らしい子を叩くなんてとんでもない。古今東西子供は宝である。それを叩くなんてとんでもない。



 叩く事がその子供の為になるなら躊躇無くやるが、今その必要性は感じない。今の年頃は馴れる事が重要で恐怖を植えつける事ではない。




 そうしているうちに休憩の時間になる。先ほどの少年が話しかけてきた。



「アリスちゃん何時からあんなに強くなったの?全然当てられなかったよ」



「僕はなんか今日調子がいいんだ。いつもならああは行かないよ」



  アリスを演じる時は僕っ子である。なんでかって?可愛いじゃん?



 それから少し他愛の無い話をして続きをやる。先生自らの指導である。ここで希望すればイベントに突入できる。さぁ行こうか。



 

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