第5話 諦め
11月には誰がサンタとして子供達にプレゼント配達できるか決まる、そうしないと準備が間に合わないからだその関係じ10月は評価として大事な月
なのに私はまだ空を飛べないし、解錠も遅い、体力だって男性に比べたら劣る、サンタを辞める気は全くないがルーキーイヤーデビューはとうの昔に諦めている
もしサンタとして配達出来なければ11月から12月の当日まではサポートに回る運びだ、物流倉庫でプレゼントの仕分け、ソリの塗装手伝い、学ぶ所から初めていざ実戦って感じになる。
私はそれでも内心は悔しいがサポート自体も子供達にプレゼントと笑顔を届けるには重要な事、全力でフォローするつもりだ
ルーキーイヤーデビュー出来ないのがわかっていても子供達の為に私は頑張る
ただ悔しい気持ちは変わらない。
「私、ルーキーイヤーデビュー諦めました。」
私はヨウコ先輩にいつもの居酒屋で打ち明けた
意外にもヨウコ先輩は反応は薄く
「そうなんだ…でもサンタを諦めた訳じゃないよね?」
私は力強く頷く
「なら、よかった!ルーキーイヤーデビューにこだわる必要はないよ…ただ、私の予想は外れたは」
「すみません…ヨウコ先輩」
「謝らなくていいのよ、まだまだあんたは長いんだからさ!」
「ありがとうございます!私はヨウコ先輩と肩を並べて仕事したい!それが目標です!」
「馬鹿だねー嬉しいけど、そこは私を抜くって言いなさいよ。」
サンタは12月当日配達が終わると28日に忘年会を兼ねた表彰式パーティーがあるのだ、その表彰とは新人賞、最優秀配達員賞、特別審査賞、がある。
ルーキーは新人賞を狙い
それ以外のサンタは最優秀配達員賞か特別審査賞を狙う、勿論どれも賞金付きだ。
表彰式は偉大なものでゴンゾウ社長が直にお渡ししてくれる。
ゴンゾウ社長は仲間を作り三太物流を立ち上げ初代サンタだ、今は75歳でとうの昔に現役は引退されたが社長と三太高等学校の校長をまだ勤めているレジェンドだ。
「私はねー女性初の最優秀配達員賞をねらうのよーおかわりー」
とテーブルに両肘を付き大分酔っ払ってきたヨウコ先輩
私はヨウコ先輩がおかわりを呑み終えたら解散をきりだそうと思った。
「あら、あんた今もうそろそろ解散だと思ったでしょ?」
「…はい」
「呑みすぎだぞヨウコ、明日も仕事だろ?」
「あらー?シンちゃんじゃない。」
たまたまだがシンジ司令長官も居酒屋に来ていたそうで遠くの席で私達に気付いており話を聞いていたそうだ。
ヨウコ先輩とシンジ司令長官は同期である。
ヨウコ先輩がルーキーイヤーデビューして新人賞を取ったこと、シンジ司令長官は25歳の時最優秀配達員賞を取りその後26歳にして司令長官に昇格した事を踏まえこの2人の世代は黄金世代と言われている現在2人は27歳だ。
「シンちゃん盗み聴きしてたわけ?」
「独りでのんびり呑んでいたらお前が大きな声で話しているから嫌でも気付くし、聞こえてくるんだ!」
「1人なの?早く声掛けてくれれば一緒してあげたのに」
「まぁいい俺は明日も仕事だからここで失礼するよ。」
シンジ司令長官はお会計を済まし帰って行った。
「まぁ次の一杯で私達も帰るか。」
テーブルチェックを店員さんにお願いすると
「先程の男性の方がこちらのテーブルのお会計も払われました。」
「カッコつけちゃってシンちゃんは」
とヨウコ先輩は何となくだが淋しげな表情に私には見えた。
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