第4話 マインドチェンジ

おかしい。

もう10月なのに飛べないのは私だけ、いやフーが飛んでくれない。

フーは私に懐いてくれているはずなのに、飛行だけはしてくれない走りは今日だって周りのトナカイより早く1番だった。


「フーは韋駄天だね…ただね、飛べない事には私達落ちこぼれ扱いなんだ…もう10だよ」

「あんまり落ち込むな、10月だからと言って焦る気持ち分かるが一度はパートナーの気持ちも考えてみたらどうだね。」

「あっ!お疲れ様です!シンジ司令長官!」

シンジ司令長官は12月24日に配達員のサンタ達にインカムを使用し指揮を執る司令塔なのだ、普段は訓練所で教官を勤めている。


「脚が早いのであれば飛び出したら群を抜いて飛行が上手いかもな!」

「えっ脚と飛ぶ事って関係あるんですか?まあ脚が早くてもフーは飛べないですが…」

「関係あるさ、空を蹴るには脚力が大事なんだその脚力があるなら飛行能力も高い筈さ!飛べないのは気持ちの問題だ、一回パートナーと親交を深める意味で訓練以外の事わわしてみるとパートナーの違った一面も見れるかも知れないぞ。」


私はその日飛行練習を止め、フーとのんびりと散歩をした。

特に語りかけることもなくゆっくりと歩いた、初めて会った時は全然言う事を聞いてくれなかっフーも1ヶ月を過ぎると私が言った通りに走ってくれる様になった、私は飛行もフーなら1ヶ月で出来るとその時は確信していたがそんなに簡単ではなかった、早五ヶ月が経ちまだ飛べすのフー。

「たまには、こうやって歩くのも良いね。」

私はフーに語りかける。

フーは私の目をじっとりと見つめ、顔を近づけ私の手の甲を優しく舐めた。

「あら珍しい、よしよし」

頭を撫でてあげる、フーはもっとやってと言わんばかりに頭を私に寄せる。

「可愛いなぁーフーは」

私達は足を止め長い時間じゃれ合った。


私とフーは芝生広場の淵で腰を降ろし休憩をする、時計を見るとお昼休みの時間周りには誰もいない太陽がしっかりと出ていて気持ちが良い少し目を瞑った。


「おい!起きろ!」

「はっ!」

私は声がして飛び起きた、目の前にはサクがいた。

「お前シンジ司令長官じゃなくて俺でよかったな。見つかってたら怒られる所だぞ。」

「えっ!?」時計を見ると14時昼休みは13時までだ。

「『訓練サボって…まだサンタでもないのに生意気な! 』って言われるぞ、仮にも俺達はお給料を頂いてるんだ。」

「そうだね、起こしてくれてありがとうサク!」

私はフーと立ち上がり、トナカイ達の小屋へフーを返しに歩いて行った。


「フーまた散歩しようね!今日は楽しかったよ」

とフーと別れた。

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