第一章 終末の足音Ⅱ Part1

  地球だ……目の前に浮かぶ地球がどんどん近づいてくる……違う……ぼくが近づいているんだ……


  ぼくは……何かを追いかけている……何を……? でも……急がなきゃ……そう長く存在していられない……どうしてだろ……?


  そうだ……最後に受けた傷が深くて……傷……そうか……ぼくが追っている相手に負わされたんだ……どうして……?


  ああ……地球の表面がハッキリ見えてきた……いろんな場所の風景がアッという間にすぎさってく……大都市の雑踏……密林のジャングル……灼熱の砂漠……白一色に塗りつぶされた氷原……すごいスピードだ……


  力……力を感じる……ありとあらゆるところから……でも……傷を癒すのはムリみたいだ……ここにはあいつの好む力も満ちあふれてる……


  こんなにきれいな惑星ほしなのに……人はどうしてこんなに憎しみや悲しみを感じるんだろう……?


  だめだ……見つけられない……あいつも傷ついている……ぼくがやった……? でも……それで滅ぶとは思えない……あいつはしぶとい……どうして知っているんだろ……よくわからない……とにかくあいつは危険だ……


  動きがおそくなってく……太陽の光が海面に反射してまぶしい……また陸が見えてきた……ここは……日本……


 


  もう動くことができない……ここはよく知っている街……


  今とは別の時間と場所の映像が浮かぶ……破壊された都市……殺し合う見たこともない姿の人たち……そこにあふれる憎悪と恐怖……そして哀しみ……その後ろにはあいつがいる……


  このままにしておいちゃダメだ……あいつを何とかしないと……あいつは一族を何人も殺した……一族……?


  あいつは力を補うために幾つも惑星を滅ぼしてる……このままじゃ地球も……


  能力ちからを託そう……能力って……?


  ぼくの中を沢山の人が通りぬけていく……この中にも条件を満たす人がいる……


  でも……一人じゃ容量が足りない……ムリをすると相手の人格を壊しちゃう……能力を五つに分ければいい……五つならちょうど分けやすい……だけど……今そんなことをすれば自分はすぐに消滅する……自分の中に五人そろった瞬間にやらないと……


  チャンスは一度だけ……あとはその五人に任せるしかない……あいつに立ち向かうの何人だろう……あいつに利用されるのは……あいつに殺されるのは……


  何もしなければ地球はあいつに破壊される……


  ああ……そろった……五人の姿が見える……みんな知ってる……あの顔……ぼく……?

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