第39話 最後に
母はほとんど涙を見せませんでした。
私も泣くことはありませんでした。
感情が停止していました。
夫は黙ったままそこにいました。
葬儀場に妹を置いて、夜遅くに家に帰りました。
そして、夫と二人でお酒を飲みました。
ほとんど言葉はありませんでした。
ただただお酒を飲みました。
そして少し泣きました。
楽になった・・・
私はそうつぶやきました。
肩に乗っていた大きな荷物を降ろして、ふわふわとした、頼りない感覚でした。
妹の葬儀は静かに執り行われまた。
通夜の席で住職が何度も言いました。
妹は、私たちのように欲にまみれてこの世を生きていたのと違って、
その顔はとてもきれいだと。
妹の戒名には光という文字をつけて下さいました。
「本日は、おかげさまで無事葬儀を執り行うことが出来ました。
また。沢山のお香典、供物をいただきありがとうございました。
妹は障害者で生まれましたが、10年近くお勤めをし、
社会生活も出来、皆様からはまりちゃん、まりちゃんと可愛がっていただきました。
本当にありがとうございました。」
喪主の母に代わって、私の最後の挨拶でした。
妹の話はこれで終わりにします。
私は何かを伝えたかったというよりも、何かを吐き出したかったのだと思います。
そして、これを綴ったことで、見えてきたものも沢山ありました。
妹は与えられた時間を精一杯生きて、
私は私のするべきことをして、
母は母親として生きたのだと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
妹はダウン症でした そして天使になりました @shizuku3
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