第37話 その時

その時はいつなのかはわからないが、あと数日でと言われました。


その日はしばらく妹のところにいました。

看護師さんがカーテンを引いてくれて二人きりにしてくれました。

妹の手は開ききっていました。

手を握っても握り返すことはありませんでした。

息をするたびにカラカラと妙な音がしました。

たぶん舌が呼吸で揺れる音なのだと思いました。

呼吸は次第に弱くなり、このまま止まってしまうのではと思うたびに、また呼吸が始まるのです。何度も何度もこのまま止まってしまうのではと思いました。

それでも呼吸は続いていました。


どうせ呼吸が止まるなら、このまま私の目の前で止まってくれればいいのに。

看取ってあげられるのに・・・


医師が診察にに来ました。

聴診器で心臓の音を聞いて、大きくうなずいてから

「うん、大丈夫」

そう言いました。

大丈夫なんだろうか、こんな状態で人は数日生きられるのだろうか・・


私は家に戻りました。

雨が強く降っていました。


家に帰って着替えをして、ソファに座ったところで

スマホが鳴りました。

妹の心臓が止まったとの知らせでした。

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