第34話  退所

医師の説明が終わって、R寮の保健婦さんと話をしました。

よかったね。

保健婦さんはそう言いました。

何がよかったのかというと、最後まで病院で看てくれると医師が言ってくれたことです。

3ヶ月をめどに、退院を迫られるという話はよく聞きます。

高齢者の場合は、新に別の施設に行く方法がありますが、

妹の場合は、R寮以外行くところがなくなります。

しかし、R寮でもこの状態では受け入れてはもらえないでしょう。

W病院で最後まで看てもらえるといいうことです。


病院にいるということになると、R寮はどうしますか?

どうするのがいいんでしょう?

退所するということはどういうことなんですか?

今は生活の支援をR寮が全部しています。

洗濯ですとかとか、おむつの補給などをしています。

病院での手続き、支払いなどもしていますが、

そういうことを全部そちらでやっていただくようになります。

入院されていると、今までは週に2回病院に面会に来ていました。

それはすべて無償でやっています。

入所を待っている方もいらっしゃいます。

今すぐにとは言いませんが、考えておいてください。


結局2月末でR寮は退所しました。

事務手続きを終えると、職員の何人かの方が、

深く頭を下げて見送ってくれました。


私は真っ先に妹の住所を実家にもどしました。

妹の葬儀を自宅の住所から出したかったからです。

諸手続きをするにも、住所を戻す必要がありました。


やっと帰ってこれたとも思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る