第33話 終末医療

インフルエンザの症状が落ち着いたところで、医師からの説明がありました。

その時は、R寮の保健婦さんと母が同席しました。


インフルエンザの症状は治りました。

肺炎を繰り返しているようです。

肺のレントゲンを見ると、入り口付近に何かがあります。

癌らしきものかもしれませんが、それは検査をしないとわかりません。

今現状としては回復はしていますので、R寮に帰ることは可能です。

ただ、またすぐに肺炎をおこして病院に戻ることになると思います。

どうされますか。

母はすぐに病院でお願いします。と答えました。


私は肺にある何かについて質問しました。

検査とはどんな検査なんですか?

肺に内視鏡を入れる検査です。

検査自体とても苦しい検査です。

もし検査をするのなら、うちの病院では出来ません。

そして、仮に検査で癌だとわかったところで、

抗癌剤の治療になりますが、治療をしますか?

抗癌剤の治療も苦しいものなので、本人の同意があった方がいいと思います。

わかりました。

私は最初から検査も治療も考えていませんでした。

ただ、どういうことなのかということを母に知っておいてもらいたかったのです。


このまま病院にいるということでしたら、今いる一般病棟から療養病棟に移ってもらいます。療養棟の方が静かに過ごせると思いますよ。

3ヶ月たったら出て行ってくださいとか、そういうことは言いませんから。

ただ、療養病棟を出るときは皆お亡くなりになって出ていきます。

療養病棟はそういうところです。

よろしいですか。


今は食事がとれています。栄養が充分でない分は点滴で補給します。

全く食事がとれなくなった時、

今すぐというわけではないですが、延命治療をしますか?

具体的には胃ろうとかになります。


母は、私としばらく顔を見つめあった後、

しなくていいね。

と、私に向かっていいました。

延命治療はしなくていいですね。

医師が確認しました。


寝たきりのまま、意思表示も出来ず、生きているというのはどういうことなのだろう。

私には想像も出来ませんでした。

ただ静かに見送ってあげたいと思うだけだでした。









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