第22話 寮での生活  

入所後、初めて母をR寮へ連れて行きました。

母は、妹の洋服とか日用品を沢山持って行きました。


寮に入ると、妹と妹の担当のS支援員が二人で迎えてくれました。

妹はS支援員に腕を組み、べったりと甘えた様子でした。

私はこれでよかったのだとほっとしました。

「面会に来ていただきありがとうございます。」

「お世話になっています。」


この時は母は、いろんな方に挨拶をし、部屋で荷物の整理をし、

持ってきたお菓子を食べさせたりしていました。

私はS相談員との打ち合わせでした。

今後、健康診断と精神科の担当医に受診する予定があるので、

立ち会って欲しいとのことでした。


妹はR寮での生活を嫌がるふうでもなく、

家に帰りたがるふうでもありませんでした。

けれど、毎日にのように荷物をまとめては、お母さんのところに帰ると言って、玄関先に佇んでいたようです。

寮に入ってからは、夜はよく眠っていたようです。

ただ、時々歩くのを嫌がり、床に座り込んでしまうことがあったそうです。

嫌がることは無理にやらせないというのが支援の方針なので、

そんな時は車椅子を使っていました。


何度か面会にいくうちに、母も落ち着いてきました。

そうして今年が終わっていきました。

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