第20話 手続き

入所が正式に決まると、様々な手続きが発生しました。

一番驚いたのは住民票を施設に移すよう依頼されたことでした。

じゃあ死ぬまでそこにいるっていうことなの?

母はそう言いました。

福祉関係の手続きが円滑にできるようにする為だそうです。

そして、指定銀行に口座を作り、

そこに障害者年金が入金されるようにしました。

その銀行通帳はR寮に預けました。

そこから施設使用料が引き落とされるようになります。

使用料については年金でほぼ賄える金額でした。


その他に沢山の書類を書きまた。

家族会への入会。

社会福祉法人R会への入会。

傷害保険。

入院付き添い保険。


それから私は、実家にいくら現金があるのかを確認しました。

母たちは裕福という暮らしではないですが、お金に困ることもなく暮らしていました。

私は実家のお金のことに口を出すつもりはありませんでしたが、

妹名義の現金だけは確認しておく必要があると思いました。

とても驚いたことに、だいぶ大きな金額が妹名義で定期預金になっていました。

両親は妹の将来のことを思って、受給していた障害者年金をそのまま使わずにいたようです。


本人がまだしっかりしているうちに、

定期の解約とキャッシュカードを作ることにしました。

今のままにしておくと、必要な時に手続きが出来ず、使えなくなる可能性があるからでした。

この頃の妹は基本的な生活は自分で出来るものの、

慣れないところへ行くのを嫌がりました。

車の乗り降りを嫌がり、障害物を避けて目的の場所へ行き、

慣れない高さの椅子に座るという一連の動作が大変だったのでしょう。

筋力もひどく落ちていましたし、動きを司る脳への伝達がうまくいかなかったのでしょう。

また、がやがやと知らない人がいる環境も嫌だったようです。

3件の銀行を回ろうとしたのですが、

結局2件目で車から降りるのを嫌がり、

銀行の方に車まで来ていただき手続きをしました。

3件目はあきらめました。


この定期の解約の際、H銀行は手際よくやってくれまた。

U信用金庫はなんとも対応がお粗末でした。

だいぶ腹が立ったので書き添えておきました。


ひとつひとつの手続きに手間と時間がかり、

私は疲れていくばかりでした。







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