第八十一話 街の様子を見よう後編

 気付けば随分と青豆畑も大きくなりましたわね。

 これだけの量があれば更なる大量生産も可能ですわね。まあ、まだ値段下げたくありませんので現状維持ですけど。


「はあ、立派な畑でありますな」

「――ひろーい」


 中尉とナルリアちゃんが感嘆の声を上げておりますわね、オーク達を中心にゴブリン達がせっせと畑仕事をしておりますわね。

 マウナさんが畑仕事を指揮しているセルカドに声を掛けます。


「せいが出ていますね、セルカド」


 マウナさんに声をかけられ気付いたのかセルカドがマウナさんとワタクシ達に会釈をしてやって参りましたわ。


「これはマウナ様にマナカ殿達。よく参られました」

「随分と立派になりましたわね」


 ワタクシが言うと、セルカドはニコっと笑います。

 あと、セルカドのマウナさんの呼び方がマウナ様になっておりますわね。以前は姫様でしたのに。


「ははは、これがやってみるとなかなかに楽しいのですよ」

「分かるであります、自分も生前は農家の生まれでありますからな。子供の頃は家の手伝いでよく畑を弄ってたでありますな」


 賛同者がおりましたわね、ワタクシも家庭菜園はしたことありますが……えぇ、途中から家政婦さんに任せておりましたわ!


「マウナ様、意見具申よろしいでしょうか?」

「なんでしょう?」


 セルカドが何やら意見があるようですわね。

 おそらく農業についてでしょう。


「我々はあまりにも農業について無知です、人間の見様見真似でやっておりますがそろそろ限界だと思います。つきましては人間の農業に携わっている方々の意見が欲しいと思っております」

「セルカド殿の意見はごもっともでありますな。やはり農耕に関しては専門家に意見を仰ぐのは必要であります。自分からもお願いします閣下」


 キノコ中尉も同意見でマイナさんに意見具申しております。確かに建物や施設関連から取り掛かりましたが、そろそろこちらの方にも力を割くべきですわね。


「ワタクシもお二方と同意見ですわね」

「そうですか、ならば誰かいないか聞いておきましょう」

「マウナ様、ありがとうございます」

「ええ、本日戻ったら手配しますね」


 こうして、畑の見回りは終了ですわね。次は東側の森ですわねー、あちらにはドワーフ達とオーガ達がいるはずですわー。

 なんか森の近くに良い鉱石が取れる場所が見つかったとかなんとか?


 ついでにキャピラータタクシーというのを、試験的に運用中なので試しに使ってみましたわ!


 ――

 ――――


 ふふふ、要改良でしたわ……乗り心地最悪でしたわね。

 値段はここまででなんと二五〇リシェですのよ! タクシーと同じですので四人で割れば一人六〇リシェちょいですわね! 高いのか安いのかよくわかりませんけどね。


「マウナさん……便利で速いですがアレは乗り心地最悪ですわね」

「……ですね」

「――はやーい! たのしー」

「キノコボディはこういった時には便利でありますな」


 一名喜んでおりますわね……そしてキノコも平気なようですわ。


 さて目的地に来ましたが、森の方では木を伐採し小屋を作っておりますわね。

 カーチスと一緒に一際大きなオーガが手伝っておりますわね、以前にも言いましたが彼はおそらくここでは最強のオーガですわよ。


「お二方せいが出ますわね」


 ワタクシが声をかけると、二人が木材を抱えたままやって参りましたわ。


「よお、大将にマウナ様とオマケの二人」

「おはようゴザイマス」


 周りにもせっせと働くオーガとドワーフがおりますわね・


「忙しそうですね、報告にあった工房の設置ですか?」

「ええ、そうなんっすよ。なんかミスリルとかいう鉱石が見つかったそうなんですよ」

「お? おぉ!」


 イッツファンタジー! ミスリル鉱石ですわよ!


「――何故かマナカが感動している」

「良い事でもあったんでありましょう」


 そらそうですわよ、ミスリル製の武器が作れるのですわよ! ……あ?


「ワタクシって武器使っておりませんわー!」

「わ! 突然どうしたんですか?」

「い、いえ。心の慟哭ですわ」

「は、はぁ?」


 そう言えばカーチスと一緒にいるデカイオーガの名前はなんですの? 聞いてみましょう。


「そう言えば、貴方お名前は何と言いますの?」

「オレですか?」

「ええ、あなたですのよ」


 少しボーっとした方ですわね、ただオーガにしては覇気がないけど何と言いますか人が良さそうな雰囲気ですわね。


「オレはヴァンボル」

「ヴァンボルさんですわね」

「ああ、皆はヴァンと呼んでいるからヴァンとでも呼んでくれ」

「ええ、よろしくお願いしますわね」


 ワタクシ達はカーチスやヴァンとしばらく話すと次に行くことにします。

 森の近くにある小さな山ですわね、ここで鉱石が出たとかなんとか。


「おー、嬢ちゃんに魔王様じゃねーか」


 武器屋の親父がここの指揮を執っておりますわね。


「ミスリルですって? うふふ……これでワタクシの武器もパワーアップですわねぇ」

「気が早すぎだろ、まだ何もない状態なんだぜ」

「マウナさん、武具の充実は戦力の増加に繋がりますわよ! ささっと追加の人員を導入ですわよ」

「わ、分かりました……ゴブリンを何名かこちらにこさせましょう」

「お、そいつは助かる。人員の増員を打診しようとしてたところだったんだよ」


 流石はワタクシですわね、言われずとも分かってしまうなんて。


「しっかし、本当に色々な種族がいる国だな。色々な考えがあって武具についても色んな話が聞ける、なかなか面白い体験だ、魔王様の話を受けて正解だったぜ」

「そう言っていただけると、誘ったかいもありますね」

「ああ、礼を言わせてほしいくらいだ」


 ここでも色々な話が聞けましたわー、ここも色々な問題がありますわねぇ。

 やはり各箇所を纏める部署が必要ですわね。

 更なる人員の確保も考えねばなりません、色々と大変ですわー。


 さて、案外良い時間ですので城に戻ると致しましょう……あのキャピラータタクシーで……

 ワタクシ達はある程度見回った後、城に戻る事といたしましたわ。

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