第七十八話 んじゃ帰るべ

 

 国王との話は実に有意義なモノでしたわ。

 交易や有事の際についての話など、魔王領にも王国にもプラスとなる内容でしたわね。

 あと王様に言われた一言にマウナさんは悩んでおります。

 その言葉とは『国名は決めた方が良い』でしたわね、魔王領と呼んでるだけで国の名前無かったですものねぇ。


 王様との会食も済んで、部屋でマウナさんはずっと唸っておりますわね。

 国の名前をずっと考えているようですが、こう言ったことは国に戻ってから会議で決めればいいと思うのですのよね。


「うーん、国の名前。困りました」

「――魔王様の国の名前、うーん」


 マウナさんとナルリアちゃんは唸っておりますが、ナルリアちゃん貴女絶対に考えて無いでしょ。


「――! 千葉県多治見市にしよう!」

「却下ですわ! しかも多治見市は千葉じゃありませんわよ! 誰に聞いたんですのその地名」

「――中尉!」

「何で日本の地名の話をしてるんですの?」


 まあ、気にしても仕方ありませんわね。どうせ軍事的な話でもしていたのでしょう。


「まあ、お二方。国名は戻ってから皆さまで話し合って決めましょう」

「そうですね」

「明日は王都を見学させてもらって。明後日、コルリスに戻りましょう」


 ワタクシ達は明日以降の予定を皆さんに話しておきました。


 ――

 ――――


 街の見学も終え、コルリスへ戻る日になりましたわ。

 ワタクシ達は再び王様にまた会う約束をして、魔王領へと向かいましたわ。


 ――

 ――――


 街へ戻ったころ、ワタクシ達はセンネルが殺されたことを知る事になりました。


「センネルにはずいぶん迷惑をかけられましたが、直接会う事無く因縁が終わりましたわねぇ」


 普通の小説や漫画だと、主役であるワタクシが悪役貴族は倒すものではありませんの?

 そんな事を考えておりますと、ガリアスさんがワタクシ達の元にやってまいりましたわ。


「いやー、お嬢ちゃん達には本当に世話になったな。どんなお礼をしていいかわかんねぇな」

「以前も言いいましたが、魔王領にも冒険者ギルドを造りたいと思っておりますので、そこで働いていただければ十分ですわよ」

「そうだな、センネルの野郎とは変な形だが決着はついたからな」


 ガリアスさんは以前誘っていますのよね。

 そうしていると懐かしい声が聞こえてきましたわ。


「あ、あれ? マナカさん! マウナさん! ベティさんとアルティアさんも」

「はーいブレンダさん! ごきげんよう!! 貴女のマナカさんですわよ!」

「ご、御無沙汰しています」

「はーい」


 ブレンダさんがやってきたじゃありませんか!

 感動の再会ですわねー。 


「随分懐かしく感じますね」

「はい、ブレンダさんもお元気で」

「半年近くは会ってませんわよね。ブレンダさんもさぞ寂しかった事でしょうね」

「え、あ、いや、その」


 む、ワタクシの言葉にブレンダさんは顔を赤くしてモジモジと。

 んふふ、美人のこの反応はいつ見ても顔がにやけますわね。


「そうそう、ブレンダさんは今どうされてますの?」


 ワタクシ重要な事を着ねばなりませんのよね。


「どうされてるとは?」

「ギルド祝員をクビになったではありませんか、その後はどうされてましたの?」

「ああ、はい。それでしたら休暇を兼ねて日雇いのバイト等で繋いでいましたよ」


 フリーターですわね……


「では、今はこれといって何もしていないわけですわね?」

「は、はい。そうなりますね」


 チャーンス! ハゲアスさんと一緒に来てくれれば大助かりですわよ!


「実はですね、ブレンダさんに良いと思われるお話がございますのよ」

「分かりました行きましょう!」

「その内容……って、えー! まだ何も話しておりませんわよ」

「実はガリアスさんにある程度聞いてたんですよ」


 ガリアスさんと連絡は取ってたようですわね。


「マウナさんが魔王だったのは驚きでしたが、マウナさんの国にはとても興味がありましたから是非そちらでギルドの経営を手伝わせてください」

「えぇ、よろしくお願いしますわね」


 こうしてブレンダさんも魔王領に向かうことになりましたわ。

 魔王領に移動する方々を冒険者ギルドに集めます、そしていつから移動できるかを皆様に聞き

 迎えをこの街に寄こすことを決めておきますわ。


「それでは魔王領へ移り住む皆さま、ここへ一週間後に馬車を用意いたしますのでそちらで魔王領までお越しくださいな」



 ――

 ――――


 そしてワタクシ達は先に魔王領へと向かいました。

 道中は何事もなく進んでいきました。


「センネルの脅威は消えましたが、チヨルカン……国が相手なのはまた厄介ですわね」

「そうよねぇ。センネルというアホだけど大物貴族を手先に使ってくるような相手よ、厄介極まりないわよぉ」

「ですが、王国との同盟を結ぶことができたのは大きいであります」

「ええ、それが一番の収穫ですわね」


 本日までの出来事を皆様と話し合いながら、ワタクシ達は魔王領へと戻っていきます。

 そして、さらに時間は過ぎ魔王領へともどってまいりましたわ。


 ――

 ――――


 日は落ち夜になってしまいましたが何とか王城へとたどり着きましたわ

 そして王城にたどり着くとモルテさんとシェンナ、コリーが迎えてくれました。


「おお、皆さまお疲れ様です」

「マウナ様、マナカ様に皆さま。すでにお食事の準備は終えていますよ」


 ワタクシ達はこの後、食事をいただきシャワーを浴びると本日はそのまま休むことにしました。

 色々な事はまた明日からですわね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る