第三話 ワタクシ、レアリティ星4ですってよ
「あ、ありがとうございます!!」
マウナさんがお礼を言い勢いよく頭を下げようとする、そこで勢いよく頭下げたら……
「あ、そこで頭を……」
鈍い音が鳴り響きましたわ
「あうっ! い、痛い……」
「あちゃー、遅かったですわね」
「マウナ様!」
モルテさんが何事かとマウナさんの所にやってくる。
おでこを抑えるマウナさんを見て肩をすくめたモルテさんが。
「マウナ様、いつも言っておりますが落ち着いてくだされ」
やれやれといった様子でマウナさんを注意するモルテさん、そしてモルテさんはワタクシの方を見て深々と頭を下げる。
「クナギ様、マウナ様の願いを聞き入れてくださいましてありがとうございます」
ワタクシ、マウナさんの願いを聞き入れましたが断っていたらどうなっていたのでしょう? 相手は一応魔王様とその配下ですし、最悪消されるという事もあり得たのではないでしょうか?
「もし、断っていたらどうなっていたのでしょう?」
「その時はマナカさんを近くの人間領の町にお送りするつもりでした」
マウナさんの言葉の後にモルテさんが続く。
「断れば消されるとでもお考えになりましたかな?」
「どなんでしょう? この話を受けた後にですが、もし断ったらどうなったか気になっただけですわ」
放っておけないとは思っていましたが、断るという選択肢を全く考えていないことにワタクシ自身も驚きですもの。
これが魔王のカリスマというやつですわねきっと……あ、そういえば人材も結構流れていったんですっけ?
ワタクシがここに呼ばれた理由は分かりましたので、次はどうやって呼ばれたかここがどのような場所化を聞いた方が良いですわね。
「さて、次はワタクシはどうやってここに召喚されたのかしら?」
「それは私が説明いたしましょう」
先ほどの本を持ってモルテさんがやって来た、本を持ってきたという事はやはりそういう事なのでしょう。
「簡単に言いますとクナギ様の召喚に使ったのは私が手に持っている『召喚の書』という神の作り出したアーティファクトの力です」
アーティファクトと来たもんだ、異世界からの召喚となるとやはり神かそのようなアイテムが必要というわけですわね。
「クナギ様が私たちと突然会話できるようになったのもこの書のおかげなのです、この書にはあらゆる言語を私たちの世界の言語に翻訳してくれる魔術が記されているのです」
「それは便利ですわね、そうでなかったら一から言葉を覚えないといけないところですものね」
こういった便利アイテムがあるところは流石は異世界といったとこですわね、言語なんて流石に一から覚えるとなるとワタクシでも最低でも二ヶ月はかかってしまいますわ、多分。
さて、次の疑問としてはワタクシは元の世界に戻れるのでしょうか? というごく当たり前の疑問ですわね。
「次にワタクシは元の世界に帰れるのでしょうか?」
ワタクシのこの疑問に対してモルテさんは少し暗い表情をしましたわ、骨なので表情は分からないのですがそんな気がしますわ。
「そうですな……これには二通りのパターンがございましてな、クナギ様の場合はおそらくは帰れないかと思います」
大方予想通りですわね。
「ワタクシの元居た世界がワタクシの大いなる力を拒んでいるという事ですわね、流石はワタクシですわ」
「違うと思いますが……」
冷静に突っ込まれてしまいましたわ。
そしてモルテさんが説明を再開しました
「召喚の書での召喚には二種類ございまして『転移』と『転生』の二種類です、クナギ様の場合は転生です。転生は死者の魂を依り代に召喚の書の魔力とこの世界の魔素を組み合わせ生前の姿をその方の記憶と魂の姿から再構築しこの世界で蘇らせるのです」
なんですって? もう少し胸が大きいと記憶しておけばよかったですわ……
「転移は生者を直接この世界に召喚するのです。まあ、元の世界で生きてるか死んでるかの差でしかありませんな」
「モルテさんはこの書についてお詳しいのですわね」
「ホッホ、昔この書はどんなものか気になりましてな、使って危険はないかを確認するために色々調べましたからな」
笑いながら答えるモルテさん、それにしても詳しく調べておりますわね
「そうなりますと。例えワタクシが向こうに戻ったとしても既に死んでいるから、戻った瞬間に死んだという事実が適用され死を迎えるという事かしら?」
「さて、どのような結果を迎えるか流石にわかりません、今までの例では転生者の場合は戻った者がいないのです。転移者の場合は数例ですが帰ったという例がありますな」
流石にそこまでは分かりませんか仕方ないですわね。そしてずっと黙っていたマウナさんが私たちの会話に入ってきましたわ
「マナカさんは元の世界に戻りたいのでしょうか?」
とワタクシに問いかけてきましたわ、それに対してワタクシは少し考えてから。
「急な話でしたし、まだよく分かりませんわね。未練が無いというと嘘になりますが、凄く帰りたいかと言うとそうでもないんですのよ」
これは本心ですのよ。
さて、今からもう帰るだ帰らないだを考えても仕方ないですし帰りたくなったらその時考えればよいのでこの疑問はここまでにしましょう。
「では次にこの世界について簡単に教えていただけませんこと?」
ワタクシの素敵なオタク知識を総動員してこの世界について聞きますわよ。
「わかりましたお答えできる範囲で答えさせてもらいます」
――
――――
時間がかかりすぎたのでワタクシが聞いたことを簡単にまとめますわ。
この世界には魔法があるとのことですわ、召喚の書みたいなアイテムがあるんですし魔力とか言ってたから当然ですわね、魔法少女とか憧れますわー。
次に魔王がいるという事はやはりですが色々な種族がいるようですわね。
人間、亜人、魔族、精霊辺りが代表の種族らしいですわ。亜人はエルフやドワーフ、獣人にオークやゴブリン、オーガと言ったファンタジーのお約束種族を纏めて亜人と呼んでいるそうですわ。
魔族は悪魔や不死者、魔人などがこのカテゴリーだそうですわ、マウナさんは魔人だそうですわ。
精霊は種族というか自然的な力の概念的なものが形をとっているもので明確には種族とは違うようですわ。
当然ながらモンスターと呼ばれる存在もいますわ、モンスターはもうピンキリで色々いるそうですわ。
次に小説でよく見る転生モノにあるようなレベルと言う概念があるか聞いたところ、無いと思うと言われましたわ、レベルという概念は無いようですわね、ちょっと残念ですわ。
レベルが無い時点で期待はしておりませんでしたが、これもやはりステータスについても数値化されてるなんてことはありませんでしたわ、残念。数値化されてたらワタクシのステータスは全て最大値ですわねきっと。
そして、召喚者と呼ばれる異世界から来た者は世界中にそこそこの数がいるそうですわ。
と、この辺りがワタクシの聞いたことの簡単なマトメですわね。
そうですわ忘れていました異世界モノと言えばチート能力ですわね。ワタクシのチートな能力はなんでしょうかしら?
全属性の魔法をこの世界の住人より上のランクで使えるとかかしら? 相手のスキルを奪って自分の物にできる能力かしら? これも楽しみですわね。
後は、星幾つとか言ってた召喚レアリティも気になるので聞いておきますか
「そういえば、ワタクシを召喚されたときに星4とか言ってたアレってどういう意味ですの?」
モルテさんが答える
「そうですな、この召喚の書で呼び出された者の素質が星の数でランク付けされておるのです」
ますますソシャゲのガチャじゃないですの?
「星1が一番低く身体的な能力がほぼ一般の方と変わらない方が星1ですな、魔法適正や特別なギフトもほぼありません。星2は星1とあまり変わりませんが星1より素質が高く、場合によっては弱いですがギフトを所持している者もたまにおりますな」
星1星2……ハズレ枠……ですわよね。
「星3になると一部の身体的な能力や知力がとても高い者が多く、場合によってはギフトを所持していたり身体的な素質は星1クラスでも強力なギフトや魔法適正を持つ者が多くなります」
『ギフト』なる単語が出てきましたわ。贈り物という意味ですわね、説明からするとギフトがチート能力的な物のようですわね、一応聞いてみましょう。
「申し訳ないのですが『ギフト』とはなんでしょう?」
「失礼、『ギフト』とは召喚時に与えられるその人の固有能力と言ったところですな」
やはりギフトというのが俗に言うチートスキルのようですわね、召喚時に与えられる贈り物、ギフトという事ですわね。
そして星1と星2は言い方は悪いですがやはりハズレ枠ですわね……ワタクシ星4で良かったですわ
「星4はクナギ様のランクですな、星4となると身体的な素質や魔法適正が高くギフトを所持してる者も多くおりますな、
そして最高ランクの星5ですな、強力なギフトを所持しており身体的な素質も高いですな」
おかしいですわね、何故ワタクシは星5ではないのでしょう?
「一〇〇人召喚されたとするとして星5は一人いれば良い所ですな、星4でも三から五人程度いたら良い方ですな、星3ならば十人いたら良い方かと思います」
んー、ますますソシャゲガチャですわね。
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