SS75 オトコのホンネ?
美星の提案に、小桜姉妹がノッた形での『恋バナ』。
更に、『春輝と』という部分を強調されて。
「いやいや……」
春輝は、最後の希望とばかりに貫奈へと目を向ける。
「そんな、縋るような目で見られても……」
貫奈は、それに対して苦笑を返し。
「可愛いだけですよ?」
『っ!?』
次いでその笑みをクスリとイタズラっぽいものに変え、それを見た他の女性陣が目を見開く。
(えっ!? なにこれ桃ちゃん、確変入ってる!?)
中でも、一番大きく見開いたのは美星である。
(……そういやこないだ、告白したとか聞いたような聞かなかったような……ぶっちゃけいつものなんちゃって告白でグダグダに終わったんだろうと思って、流してたけど……えっ、あれマジのやつだったの!?)
「可愛いって、お前な……男に言うことじゃないだろ……」
「そんなこともないと思いますけど。先輩、割と可愛いと思いますよ?」
「いやいや……」
(そして、告白したことによって気持ちをオープンに出来るようになったんだとすれば……)
「それに、いいんじゃないですか? 恋バナ……私的にもたーっぷりと聞いていただきたいところですものねぇ、先輩?」
「や、その……なんか、スマン……」
「ふふっ、何を謝ることがあるんです?」
からかう調子の貫奈に、春輝が気まずげに言葉を濁す中。
(クッソ爆アドじゃん!)
ニンマリと笑みを浮かべた拍子に、美星の口から「ふひっ」といった声が漏れた。
(うぉぉぉぉぉぉぉぉ! 初心者モードでもクリア出来なかったクソ雑魚な桃ちゃんはもういない! なら、私は全力でアシストするまでよ!)
密かにそんな決意を固める美星である。
「そんじゃ、全員の承諾も得られたところで恋バナいってみましょー!」
「ナチュラルに俺の意思が抹消されたな……」
再び苦笑を浮かべる春輝だが、流石にこれ以上の抵抗を見せる気はないらしい。
「それじゃあまずは、かる~くジャブ程度に? 今日はこういう場には珍しく、男性の方もいらっしゃることですし?」
そんな春輝の肩を、美星がポンと叩く。
「せっかくなんで、聞いてみよう! オトコのホンネ! のコーナー!」
『わーっ!』
「わ、わーっ……」
勢いよく手を挙げた美星に露華と白亜が追随し、少し遅れて伊織が恥ずかしそうに続いた。
「えー、っと……?」
「これは、世の男性方がぶっちゃけどう思ってるのか常々気になっちゃってる乙女たちの疑問を解消していこうというコーナーです!」
困惑気味の春輝に、美星が説明を加える。
「俺に聞く流れっぽいけど、俺の見解と世の男性の感覚が一致するとは限らないぞ……?」
「まーまー、そこはもちろん我々も参考意見として受け止めますので。あくまで、人見先輩が思うイッパンロンとして? 語ってどうぞ!」
美星の視線を受け、女性陣が大小それぞれの頷きを返す。
ちなみに頷きの大きさは、伊織、白亜、露華、貫奈の順であった。
「それではまずお手本がてら、最初の質問はわたくしめから」
と、美星が大げさに身振りを添えて礼をする。
「ぶっちゃけ男の人ってぇ、やっぱ浮気は男の甲斐性とか思ってるんすかぁ?」
「何なんだよ、そのキャラは……」
妙に甘い声でダルそうに髪をイジりながらの問いに、春輝は苦笑し。
「一部そんな風に思ってる人がいるのは事実かもしれないけど、大半の男は浮気なんてダメだってちゃんとわかってると思うよ」
それから、割と真面目な調子で答える。
「ちなみに、人見先輩自身は?」
「もちろん、俺だってそう思ってるさ」
「でも、ハーレムならワンチャン?」
「何が……?」
「いえ、なんでも」
疑問符を浮かべる春輝に対して、美星は手を振って雑に誤魔化した。
「そんじゃ次、桃ちゃんどうぞ!」
そして、すかさず貫奈へと手を向ける。
「そうねぇ……」
と、貫奈は少し考える様子を見せた後。
「男の人は、ガッツリ仕事に打ち込むタイプの女性は苦手なものですか?」
何気ない調子で、そんな疑問を口にしながら人差し指を立てた。
「今どき、そんな風に考えてる奴の方がレアじゃないか?」
春輝も、特に思うところもなさそうな表情で答える。
「えっと、じゃあ私は……男の人って、家庭的な女の子は好きですかっ……?」
「そうだねー、やっぱ今でもそういう子が好きって人は多いと思うよ」
「男の人ってー、お化粧濃い子はイヤ?」
「程度によるとは思うけど……まー、けばけばしいのはあんまり好きじゃない人が多い印象ではあるかなー」
「男の人は、大体戦隊モノのヒロインが初恋の人ってホント?」
「ははっ、それは割とあるかもね。俺は、魔法少女の方だったけど」
といった感じで、比較的和やかに質疑応答が続いてからの二周目。
「男ってぇ? 下半身でモノを考える生き物なんでしょー?」
「だから、何なんだよそのキャラは……」
妙なしなを作る美星に、春輝は再び苦笑する。
「これも、そういう人がいるのも事実ではあるだろうけど……」
「えーい、さっきからグダグダと洒落臭いですよ人見先輩! 以降はズバッと、YESかNOでお答えください!」
そんな春輝に、美星がズビシと人差し指を突きつけた。
「男は下半身でモノを考える生物である! YES or NO!」
「えぇ……? じゃあ、NO」
勢いに押される形ながらも、一応ちゃんと回答する春輝である。
美星が「なるほど!」と大げさに頷く一方……順番的に次の質問者となる貫奈は、小さく口角を上げた。
「男の人は……十年も同じ相手に片思いしているような重い女性は、お嫌いですか?」
『っ!?』
小桜姉妹が揃って再び目を見開き、美星が「ぶっ込んだー!」と小さく歓声を上げる。
「の、NO」
「ふふっ、そうですか」
めちゃくちゃ気まずげに回答する春輝に、貫奈は満足げに笑った。
「男の人は、胸の小さい女が好きである。YES or NO」
続いて、そんな問いを投げた後に白亜はジーッと真顔で春輝を見つめる。
「………………YES」
そして、やや間を空けた後の春輝の答えに「ムフー」と満足げな表情となった。
「男の人は、その……! お、おっぱいの大きい女の子も好きですかっ!?」
次いで、意を決した表情の伊織が真っ赤な顔で問いかける。
「……YES」
「っ……! ありがとうございます! あっあっ、今のは、回答ありがとうございますという意味のありがとうございますであり他意はありませんので!」
ややテンパり気味ながらも、伊織は春輝から見えない角度で拳をグッと握った。
「んじゃあー、ウチの問いはー。男の人的にー」
露華は、いつも通りの軽い調子で。
「年の差恋愛って、アリですか?」
けれど、真剣な色を宿した目で春輝を真っ直ぐ射貫いた。
当の春輝は「そうだなぁ……」と呑気に回答を考えている様子だが、女性陣にはピンと緊張感が張り詰める。
「うっひょー、めっちゃバチバチじゃーん!」
なお、小声でそんなことを漏らしてニマニマ笑っている美星は除く。
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更新が遅れがちで恐縮です。
一応、次回更新もまた1回スキップして8/15(日)頃目処とさせてください。
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