第2章 幼少期

第2話 転生

ピピピピピピピピピピピピピ


「んァあ。」


なんだ変な夢だな。始まりの魔法使い?世紀末?ついに俺は厨二病にかかったのか?

んな訳あるか。この歳でこんな夢を見るなんて終わってんな。

いいから早く会社に行く準備をしなければ。


俺の名前は佐藤さとう 翔太しょうた、30歳だ。恐らくどこにでも居るような男だ。両親は去年事故でなくなり、付き合っていた彼女とは1か月前に別れた。現在絶賛傷心中。他に家族はいないためただの独身の一人ぼっちだ。

大手証券会社に務め、社畜にはなってないが、凄まじい仕事をこなしている。

今日も今日とて仕事ですな。


さっさと朝ごはんを食べ終えスーツに着替え家を出る。家賃4万の1Kの賃貸アパートである。

駅まではもっぱら原チャリで向かう。


いつも通りにバイクを走らせていると目の前から向かってくる車がこっちに突っ込んできた!

馬鹿野郎!カーブのくせに追い越ししやがって!

くっそ避けきれない!

そう思うまもなく車と衝突。

意識は闇へと落ちた。















<………………………………に………えま………スキ……………た…>


なにか頭の中で声が聞こえてくる。

意識がはっきりしないから聞き取りにくいな。


<……スキル"戦闘"を得ました。ネバースキル"支援"を得ました。>


戦闘?支援?スキル?一体なんのことだ。俺の頭の中で何を言ってるんだ?

というか一体ここはどこだ。体が痛い。そして息がしづらく、息をしようとする度にさっきから赤ちゃんの泣き声のような音が俺の口からするんだが。


「オギャーオギャーオギャーオギャー」


うん、完全に生まれたてだな。

手足も動かしづらい。


ていうか俺は会社に行こうとして原チャリ乗ってたら車が突っ込んできたんだ。

なんでこんなことになってんだ?

目を開けづらいから周りの景色は見えないけど明るいのはわかる。しかし今俺はどう考えても赤ちゃんだ。

しばらくすると息がしやすくなり、目も開いてきた。周りを見てみると見たことも無い天井がある。そして会ったことがない欧米風の顔をした美女が俺の顔を覗いていた。

何故かその人の顔を見ていると安心する。両親がもう居ないからだろうか。

他にも助産婦さんらしき人がいて汗をかき、やりきった顔をしている。

このことを総合的に判断し、考えてみた。


俺は転生したようだ。


そう思いながら押し寄せる眠気に逆らえず、意識を再び落とした。

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