第12話アメリカンドッグ 2本目

「アメリカンキャットくださ~い」


「1本でよろしいですキャ?」


「はい」


「108にゃんです。」


俺はすでに財布の中を覗いてどの小銭があるか確かめていたので勘定皿に百円玉と十円玉をすぐさま置いた。


女性店員がホットスナックコーナーから注文のアメリカンキャットとそのおまけを出しているつかの間に財布の中に1円玉があれば透明の募金箱に入れる習慣をつけているんだけども今日は1円玉がなかったのでただただ無いことを受け入れ目の前に出された注文の品とお釣りの1円玉2枚とレシートを受けとる。


「ありがとうごニャイました」


その2円を入れればいいじゃないかと思うだろうが後ろに今か今かと並んでるお客さんがいたのでそのまま財布に仕舞い込み店を後にする。


今すぐ袋からガサゴソと出してかぶりつきたい衝動を抑えつつおあずけ状態のまま目的地の湾を囲んだ公園のベンチへと歩いてゆく。


工場際の臭いドブ沿いを過ぎ線路に股がるところを過ぎ塗装が済んでいないジャリ道を過ぎ林の中を抜けて目の前の湾を一眺空いているベンチへと腰を降ろした。


「ガサゴソ」

なんとなく口で言ってみた、

いや実際言ってはいないのだが

ガサゴソと袋から取り出す。


ケチャマスをプッチしてドッグにかける。

キャットなんて言ってはいない。

我輩はドッグである。


はむっ


今誰かに話しかけられたらハ行でしか答えることができないであろう。

「ほんひひふぁ」

んと小さいぁはセーフとしてこんな有り様だったに違いない。

と思っていたが頬張っても以外の口の空間には余裕があることに気付いたのでこもりがちでも聞き取れる挨拶はできたことであろう。


モシモシ、

別に電話が鳴ったのででたわけではない。

これは食感のオノマトペだ。

オノマトプと呼びたければオノマトプでもいいだろう。

アメリカンドッグの生地の食感は自分にいわせればモシモシするぅだ。

買って時間が経っているからか外側の生地に固さがあり中側の生地は柔らかくフソフソしていてそれが合わさってモシモシした食感になっている。


自分はオノマトペ(オノマトプでもよしとしよう)は正確に表したいタチなので

アメリカンドッグはモシモシなのだ。


食べ終わりこの文を書いていて雲がオレンジ色に染まってきた

風も出てきて体も冷えてきた


そろそろ帰るとしよう…




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