その7~9

- works.01 消えた贈り物 -


その7~9を掲載しています。




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《前回までのあらすじ》


 麻薬ほしさに積み荷に手を出してしまった、リーフ・グリーン号船員タムワ。

その背後にはギーランとムールという冒険者崩れの姿が。

 涙に暮れて自らの過ちを悔いるタムワに、船長サムデイ、商人ザニアも

温かい手を差し伸べてくれました。

 即席冒険者たちは、彼らの思いを無にしないためにも、宝石箱奪回作戦を

展開します。


《works.01 消えた贈り物》


~その7 作戦会議~


ジェスタル:「そうそう、小箱を壊されてたらどうするよ?」

ヤシュト: 「7000の箱だからな。(笑)壊すとは思えん」

GM:   ザニアさんが、

      「ハンマーで叩いたって、壊れるもんじゃありません。それに」

      と、言いながら懐から小袋を出すね。

      「この中にある宝石でないと、鍵は開きません。

       相手に渡すときに、一緒に渡すよう言いつかりました。

       なんとかっていう魔法だそうです」

ケイ:   「多分、ロックの魔法ね」

ヤシュト: 「ちと、俺たちだけで作戦会議しときたいんだが」

ラルク:  「取り合えず、ここから出た方がいいんじゃないですか?

       タムワさんには休息が必要ですよ」

ヤシュト: 「だな。それじゃ、俺たちはこれで」

ラルク:  「神父、カチュアさん、後はよろしくお願いします」

GM:   「ああ、分かった。ラルク。あまり無茶はしないようにな」

      と、エレミヤさん。

ラルク:  「はい、分かりました」

      ばたん、と。(部屋から出る擬音です)

GM:   君たちが階段から降りようとすると、1階には人だかりができてるよ。

      南トゥムのおじさん連中と、船乗りたちだ。

      「おおっ、どうだ?」「大丈夫だったか?」

      と口々に聞いてくる。

ヤシュト: 「ああ、心配はいらない。」

GM:   「お前がぶっ倒したんじゃないか!」(笑)

      と、ケジーがにやにやしながら言ってくる。

ヤシュト: いやぁ~、ポリポリ。

ラルク:  「エレミヤ神父がついていますから、安心してください」

GM:   船乗りたちは、タムワの様子で少し気づいてるようだ。

      お互い、顔を見合わせて心配そうにしている。

ラルク:  じゃあ、そっちの船員の方へ行って、

      「大丈夫です。船長もザニアさんもタムワさんを許してくれました」

      って、小声で言います。

GM:   それを聞いて船員たちは、嬉しそうにうなずき合ってるね。

ヤシュト: ラルクが司祭してるなぁ。

ケイ:   ね、すごくいいよね。

      いつも司祭さんでプレイするの?

ラルク:  いいえ。今回が初めてです。

      僕も司祭って地味かな~って思ったんですけど、やり始めると

      面白いですね。

ジェスタル:いつもはバーサークする戦士だよな。(笑)

GM:   うん、ほんとにラルクはいいよ。うまく見せ場をつかんでるよね。

      先輩方も負けちゃおれませんぜ。

ヤシュト: そうだよな。頑張ろっと。

ケイ:   アクシデント~。(笑)

ヤシュト: クリティカルだって出しただろ!(笑)

GM:   酒場はほっとしたおじさん連中が、又飲み出すね。

      ちょっと作戦会議なんてできる雰囲気じゃないよ。

ヤシュト: しょうがねぇな、家っつうか、灯台に来るか?

ケイ:   あ、いいな。やっとルグニカとソニカに会えるのね。

ジェスタル:行こう、行こう。

GM:   みんな外に出るんだね。もう7時過ぎくらい。

      ひやりと涼しい風が吹いてるよ。往来は家路を急ぐ人たちが少々。

      灯台への緩やかな坂道を登って行くと、煌々と輝く灯台の火が見える。

ヤシュト: 「お。ルグニカのやつ、ちゃんとやってるな。」

      灯台のドアを開けて、

      「帰ったぞ~」

GM:   すると、厨房の方から小っちゃな女の子が出てくるね。

      銀の髪に褐色の肌。

      みんな知ってていいけど、これがソニカ、妹の方だ。

      「あにぃ~。遅かったじゃないか~」

ケイ:   ヤシュトのこと、あにぃって呼ぶの? かわいい。

      「ソニカちゃん、おじゃまするね」

GM:   「あ、ケイ、来たの。いらっしゃい。

       なぁんだ、ジェスタルとラルクも一緒か」(笑)

ジェスタル:「なぁんだ、で悪かったな」

      ヤシュトに小声で言おう。

      「女の子だろ? 言葉づかいが悪いぞ」

ヤシュト: 「こいつばっかりは直らなくてな」(苦笑)

GM:   「ちょうどいいや、みんな、ご飯まだでしょ?」

ケイ:   「軽くは食べたけど、ご馳走してくれるの?」

GM:   「まっかせといて」

      ソニカは、ガッツポーズをすると、厨房の方に戻って行くね。

ヤシュト: 「ルグニカは?」

GM:   「小にぃは上だよ。お腹が空けば、降りてくるよ~」

ケイ:   ルグニカは小にぃね、ふふ。

      (妙にこの呼び方が気に入ったようです)

ヤシュト: 「まぁ、そこらに座ってくれよ。メシができるまで話そう」

ケイ:   「明日のお昼よね、タムワさんが約束してたのは」

ラルク:  「どうしましょう。相手は二人ですから、奇襲しますか?」

ヤシュト: GM、山小屋って、もちろん無人でしょ?

GM:   うん。みんな知ってるけど、あそこは狩人や、

      山菜を取りに来た人が一休みするための場所で、誰でも使えるよ。

ヤシュト: そうか。

      「奇襲か……どのくらいの相手なのか分からないしな」

ジェスタル:「山小屋を燃やしちゃうってのはどうだ?」(一同爆笑)

ケイ:   「小箱まで燃えちゃうでしょ!」(笑)

ラルク:  「私としては、穏便に済ませたいんですが」

ジェスタル:「だけどさ、はいそうですかって、渡してくれるかな?」

ヤシュト: 「そうなったら、やるしかないだろ」

ケイ:   「まずは交渉してみる?」

ジェスタル:「金を要求してきたら、どうするよ」

ヤシュト: 「そうだな。かなり高価な品物らしいからな」

ラルク:  「みなさん、どのくらいお金あります?」

ケイ:   「私は、1200Goldくらい」

ヤシュト: 「え~と? (全員の所持金を計算して)

       全員で5500ってとこか。

       ……いや、待てよ。金で解決するのは、やっぱ変だぞ」

ジェスタル:「そうか、元はと言えば、盗んだものだもんな。

       タムワさんが降りたんだから、連中も考え直すかもね」

ラルク:  「でも、酒場で会った感じから、そう素直にいくとは思えませんよ」

ケイ:   「そうよね。シッシッっ、てこれだもの。

       ね、私たちが、もし相手を殺しちゃったら、どうなっちゃうの?」

ヤシュト: 「俺たちゃ、冒険者ギルドに入ってないからな。まずいのかな」

ジェスタル:「事件を解決しても、人殺しはイヤじゃな~い」(笑)

ヤシュト: その、じゃな~いって何だよ。

ジェスタル:口癖じゃな~い。(一同爆笑)

ケイ:   GMも、ニヤニヤしてるだけだし。

GM:   ニコニコと言ってよ。

      パーティの会話を見守ってるんじゃな~い。(笑)

      冗談はさておき、ギルド員でない者が、依頼を受けて結果的に殺人を

      犯してしまうと、ちょっと面倒な事になるよ。

      ギルドのないこの村では村長にその判断が委ねられるけどね。

ケイ:   あ、ミリアにオレンジ届けるの忘れてた。

ヤシュト: 「その件は後で村長に聞いてみよう。ケイさんの用事もあることだし。

       じゃあ、まずは交渉してみるか。タムワさんの使いってことで」

ラルク:  「そうですね。それでダメだったら?」

ヤシュト: 「力ずくで奪い返す」

ケイ:   始めての戦闘が、人間相手かぁ~。

ジェスタル:なんだか怖いな。

ケイ:   ねぇ。

ヤシュト: 「よし、決まり。一に交渉、二に武力。これしかない。

       相手は二人なんだから、なんとかなるだろ」

GM:   話はまとまったみたいだね。

      すると厨房から、ソニカが鍋を持って現れるよ。

      梯子の方に向かって、

      「しょうにぃ~、ごはん~」(笑)

      すると、上の方から逆さまに、銀髪に褐色の肌をした男の子が

      顔を出す。

      「あれ、いらっしゃい。珍しいね」

      と、いいながらそのまま落下すると、くるっと、

      猫のように半回転して、床にスタッと着地する。

ケイ:   すごい。

ジェスタル:さすがはアサシン教育を受けただけのことはある。

GM:   「あにぃ、今日の午後から灯台、あにぃの番だぜ」

      ルグニカが、ほっぺたをふくらませながら、席に着くね。

ヤシュト: 「あ、そうだったか。悪い、悪い。今度、埋め合せはするからよ」

GM:   ソニカは背伸びして、鍋をテーブルの中央に置くよ。

      一目見ると、鍋の中は真っ赤っか。

ジェスタル:まっかっか?

GM:   強烈な匂いもする。スパイスの香りだね。多分、パプリカ。

ケイ:   あ、分かった。これってチャビの料理じゃ……。

GM:   ピンポーン。とっても、辛そうな匂いが立ち込める。

      「ソニカ、上出来上出来、早くよそってよ」

      一人食欲を見せるルグニカ。(笑)

ヤシュト: 俺、毎日、これを食ってるワケ……?

GM:   けっこう辛目の料理ばかり。

ジェスタル:ヤシュトのばか力の秘密は、これだったんですね。(笑)

GM:   「今日のは、飛びっきり辛くできたんだ~」(笑)

      ソニカは浮かれて、みんなの皿によそってゆく。

      「はい、ラルク。たっくさん食べてね」

ラルク:  「はっ、はぁ。どうも」

      (このラルク役のプレイヤー、辛いものと熱いものが大の苦手です)

ヤシュト: 俺は慣れてるってことで。バクバク。

      「どうした、みんな? うまいぞ」(笑)

ジェスタル:「うぐぐ、ほ、ほんとにうまいよ」

      一口食べちゃ、水をがぶがぶやってる。(笑)

ケイ:   「ソニカちゃん、メイラレン流の料理も覚えた方がいいよ」

GM:   「今度、教えてくれる?」

ケイ:   「このお料理、最高よ」(笑)

ヤシュト: ケイさん、あまり料理が得意じゃないと。

ジェスタル:カナヅチ、料理ダメ、いいとこなしだな。

ケイ:   おだまり!(笑)

GM:   それじゃ、ヤシュト以外は、汗だらだらで食べ終るね。

ケイ:   「ごちそうさま。とっても、おいしかったよ」

GM:   「いつでも食べに来てよ」(笑)

ヤシュト: 「ルグニカ、ソニカ。

       これから、ちょっと村長の所に行ってくるから、留守番頼むぞ」

GM:   「なにしに行くの?」

      ソニカが君のそばに寄ってきて言うね。

ヤシュト: 「ちょっとな、子供は早く寝ろ。

       ルグニカ、悪ぃけど、もう少し灯台、頼むわ」

GM:   ルグニカは大きく伸びをして

      「いいよ。その代わり、今週の薪割りはあにぃだからね」

ヤシュト: 「分かった分かった」

GM:   それじゃ、みんな村長宅に行くわけだね。

ラルク:  「ソニカ、ごちそうさまでした」

ジェスタル:「ごっそさん」

ケイ:   「おやすみ」

ヤシュト: 外に出たら言うよ。

      「お前らには辛かったか?」

ジェスタル:「辛すぎるんだよ~!」(笑)

ラルク:  「まだ、舌がひりひりしますよ」

ケイ:   「でも、いいなヤシュト。かわいい二人がいて」

ヤシュト: 「そうか~?」

GM:   などと話ながら歩いてるんだね。すると間もなく村長の家に着くよ。


~その8 村長さんと相談~


ラルク:  コンコン、と。

      「夜分すみません。ラルクですけど」

GM:   村長夫人が出てくるよ。

      「おや、ラルク。どうしたの、こんなに夜遅く。

       まぁ、みんな一緒かい。」

ケイ:   「お見舞に来ました」

      オレンジの入った篭を持ち上げて見せるね。

GM:   「ミリアも喜ぶわ。さ、入って」

ジェスタル:「すみません、夜分に」

GM:   村長宅といっても、みんなの家と大差ないよ。

      入ってすぐが居間、そこにはエトロープ村長が、何やら羊皮紙を広げて

      難しい顔をしてる。

      初老で、歳より老けて見える。村長と言っても気さくなタイプでね。

      かたっ苦しい人じゃないよ。

ラルク:  「村長さん、こんばんは」

GM:   「お、おぉ。これはこれは神父さま。ようこそおいで下さった」

ケイ:   「ラルクって偉いの? もしかして」

GM:   「ラルク? なんだ、ラルクか」(笑)

      村長は目を細めてラルクを見ると、また椅子に腰掛けるね。

ケイ:   「ちょっと、ミリアに会ってもいいかしら?」

GM:   「おうおう、入ってくれ。家から出られんから退屈しておるよ」

ヤシュト: 「村長、後でちょっと話があるんだけど、いいかな?」

GM:   「灯台の給金は前借りできんぞ」(笑)

ヤシュト: 「違うって!」

GM:   きみたちは、村長夫人のコリアに案内されて、

      ミリアの寝室に通される。

      窓際にベッドがあって、ミリアは起きてるよ。

      ランプの明りで刺繍をしてるね。

      明りに照らされた横顔は透き通るように白い。

ヤシュト: おお……。

ケイ:   なに? そのため息は?(笑)

ヤシュト: いや、今、映像がありありと浮かんだ。薄幸の美少女、いいなぁ~。

ケイ:   空想しなくても、私を見ればいいでしょ。(笑)

ヤシュト: 無視。(笑)

GM:   「あ、みんな来てくれたの」

      ミリアは無理して、君たちの方に体を向けようとしてる。

ケイ:   「いいのいいの、そのままで。これ、お母さんから」

      オレンジを置くね。

GM:   「いい匂い。ありがとう、ケイ」

ラルク:  「具合はどうですか?」

GM:   「気分はいいの。でも、時々熱が出て、眠ってる時にうなされるの」

ラルク:  「怖い夢でも見るんですか?」

GM:   「う……ん。

       見てるときはとても怖いんだけど、起きると忘れちゃうの」

      自分のことばかりだと、暗くなると思ってか、急に話題を変えるね。

      「ヤシュト、おチビさんたちは元気?」

ケイ:   健気ねぇ。

ヤシュト: 「あ、あぁ、元気だよ」

ジェスタル:どうしたんだよ、妙にぎこちないぞ。

ヤシュト: いや、あんまりリアルな空想しちゃったからさ。

      なんだか、かわいそうでよ。

      歩けないんだろ? ミリアって。

GM:   うん。15歳までは元気だった。

      歳が近いから、それまでは君たちといつも遊んでたし。

      元気な頃のミリアは、みんなの記憶にあるね。

      活発で、よく笑う少女だった。

ラルク:  病気は原因不明なんですよね。

ケイ:   エレミヤ神父でも、ダメなんでしょ?

GM:   ラルクは知ってるけど、エレミヤ神父はミリアのために、

      メイラレンのハート司教に相談しようとしているらしいよ。

      ハート司教ってのはエレミヤ神父の恩師で、メイラレンでは有名な人。

      先王が相談役に任命してたくらいの知恵袋でもある。

ケイ:   よくなるといいね。

ヤシュト: うう、いかんな。俺、ガラにもなくセンチになってるよ。

      「ミリア、がんばれよ」

      と言って、この部屋から出よう。だめだ。

GM:   ヤシュトが出て行くのを見て、

      「どうしたの? ヤシュト」

      ミリアはきょとんとしてる。

ケイ:   「きっと照れてるのよ」

ジェスタル:「かわいい女の子に慣れてないんだよ」

ケイ:   「ほ~う」(笑)

GM:   ジェスタルとケイのやりとりに、ミリアはくすくすと笑い出すね。

ケイ:   「遅くにごめんね。今度は、もっと早く来るわ」

ラルク:  「おだいじに」

      っと、軽く十字を切ります。

ジェスタル:「じゃ、また」

      吾輩も部屋から出よう。

GM:   居間に戻ると、村長と向き合ってヤシュトが座ってるね。

ケイ:   ヤシュトの後ろを通りすぎるときに、肩をぽんって軽く叩くね。

ラルク:  いやぁ~、ヤシュトの意外な一面を見ましたね。

ヤシュト: 俺も驚いてるよ~。こんなキャラだったのか~。(笑)

GM:   キャラになりきってる証拠だよ。すごくいいと思うぞ。

      みんなが居間にそろうと村長は、

      「なんだね、改まって。話というのは?」

ヤシュト: おし、いつものヤシュトに戻るぞ!

      「村長、難破船のことは知ってますよね」

ケイ:   あ、ザニアさんに内緒って言われてたじゃない。

ヤシュト: 大丈夫。そこら辺はうまくごまかすからさ。

      「村長。その船から、よそ者が荷物を盗んだらしいんです」

GM:   「な、なんと! こりゃいかん。早速若い衆を集めよう!」(笑)

ヤシュト: 「村長……この村で若い衆ったら、俺たちでしょうが」

GM:   「そうか! なら、若い衆は集めたとして、どうしたもんかの!」

ヤシュト: 「だから、それを相談に来たんだって!」(笑)

ジェスタル:いい村長だなぁ~。(笑)

ケイ:   和むわねぇ。

ヤシュト: だぁ~! 和んでどうする!(笑)

      「俺たちは、積荷を見つけてくれって、頼まれたんですよ。

       で、盗んだ奴らの目星もつけた。問題は、戦いになった時に、

       殺傷沙汰になってもいいのかって、聞きに来たんだ。

       ……いや、ですよ」(笑)

GM:   「いかん」(笑)

ラルク:  一言で済ませましたね。

ケイ:   「やっぱり、ギルド・メンバーじゃないから、まずいんですか?」

GM:   「いや、そうではない。」

      村長は急に真面目な顔つきになって、みんなを見回すね。

ジェスタル:今まで真面目じゃなかったのか。(笑)

GM:   「わしが言いたいのは、お前らだけで危険に足を踏み入れようとして

       いることだ。この村には戦争を体験してきた者もおる。

       よいか。剣を振るうということは冗談で済まされん。

       皆の助力を仰げ」

ジェスタル:うぅ~ん。

ヤシュト: じゃ、こっちも真面目に言おう。

      「村長、俺は灯台守で終るつもりはないんだ。

       剣で身を立てていきたい。

       今まで訓練だってしてきた。遊びのつもりはない」

ラルク:  「私も神に仕える身として、今回のことは自分を試すいい機会だと

       思っています」

ジェスタル:なに、二人ともそんな立派なこと言うわけ?(笑)

ケイ:   私は……そんなこと考えて……ないなぁ。

ジェスタル:なぁ。ここは黙ってよう。(笑)

ケイ:   うん。

ヤシュト: さらに言おう。

      「相手は二人です。

       大人数じゃ、かえって面倒なことになるかもしれない。

       もちろん、始めから戦うつもりもない」

GM:   村長は瞬きもせずに、しばらくヤシュトを見つめるね。

      次には大きく息を吐き出して、優しい瞳に戻る。

      「そこまで言うならよかろう。

       その二人の処遇に関しては、お前らに任せよう」

ヤシュト: よし!

GM:   「ただし……どんな相手だろうと、命は同じ重さを持つ。

       そのことを忘れるな」

ヤシュト: 「分かりました」

ラルク:  「アガルタに誓って」

ジェスタル:ここはヤシュトに持っていかれましたな。

ケイ:   ラルクばっかりに見せ場はやれないって?

ヤシュト: いや、ミリアがありありと浮かんだから、ヤシュトにもリアリティが

      出てきたって感じかな。

      お前らは何か聞いとくことないの?

ケイ:   私は別に。

ヤシュト: じゃ、帰ろう。明日もあるし。

      「村長、お邪魔しました。あ、ミリアによろしく」

ジェスタル:吾輩も出よう。

ケイ:   「おやすみなさい」

ヤシュト: 外に出たらみんなに言うよ。

      「明日は一応武器を持って集合だ」

      GM、タムワさんの言ってた山小屋まで、どのくらい?

GM:   君たちも何度か行ったことがある小屋だよ。

      だいたい森の入り口から2時間くらいだ。

ヤシュト: 「それじゃあ(村の地図をしばらく見て)

       ジェスタルの家に9時集合」

      ジェスタルの家が一番近いからな。

ジェスタル:一番長く寝てられる。(笑)

ケイ:   「細かい作戦は、向こうに着いてからする?」

ヤシュト: 「その方がいいだろ」

ジェスタル:「今夜はゆっくり眠るとしよう」

ラルク:  「ですね。でも、興奮して眠れないかもしれないな」

ジェスタル:「考えてみたら、今日は忙しかったな。

       ケイのとこ掃除して、依頼を受けて、船を調べて……」

ラルク:  「さっきの騒動でしょ、で、灯台行って、村長宅です」

ジェスタル:「こりゃぐっすり眠れるよ」(笑)

ヤシュト: 「だな。それじゃ明日な」

ジェスタル:「おう、じゃあな」

ケイ:   「明日ね」

ラルク:  「頑張りましょう!」

GM:   と、みんな我が家に帰っていくわけだね。


~その9 ちょっと脱線~


GM:   特に今夜、やっておきたいことがある人?

ジェスタル:吾輩は、ろくに使ったことがない武器を引っ張り出しとこう。

ラルク:  私はレイピアとマンゴーシュを。

ヤシュト: レイピアにマンゴーシュ? 司祭の装備か~?

ケイ:   いいじゃない。変わり種ってことにすれば。

ヤシュト: いや、俺が言いたいのは……。

ジェスタル:戦闘になると見境いがなくなるんだよ。

ケイ:   ラルクが?

GM:   いや、ラルクのプレイヤーが。

      Cは今まで一緒にやったことないから知らないだろうけど。

ケイ:   そうなの?

ラルク:  え、いや、その、今回は気をつけますってば。

ジェスタル:夢中になっちゃうんだよな。

GM:   いい事ではあるんだけどね。キャラクターを忘れちゃうのが難かな。

      今まで見事な司祭ぶりを発揮してるから、期待しよう。

ヤシュト: 頼むぜ~。

      俺は何しようかな。

      あ、ルグニカにばっかり灯台やらしてるから、今晩は俺がやろうかな。

GM:   するとルグニカはね、

      「あにぃ、明日なにかあるんだろ?」

ヤシュト: む、鋭いな。

      「ああ、ちょっとな。戦いになるかもしれん。

       ソニカには黙っとけよ」

GM:   「だろうと思った。

       あの3人がそろって、あんな時間に来るなんて滅多にないもんな。

       ……な~んてね、聞き耳を立てるのはお手のもの。

       全部聞いてたんだ」

ヤシュト: こいつ……。

ジェスタル:さすがはアサシン。

GM:   「ソニカも知ってるよ。心配してる」

ヤシュト: く~っ、いい奴らだな。

      「大丈夫だ。戦いはなるべく避ける。みんな一緒だし」

GM:   「無事に帰ってよ」

      ここで、ルグニカはいたずらっぽい笑みを浮かべてね、

      「でないと、一生俺が灯台守になっちゃうからさ」(笑)

ヤシュト: 「こいつめ」

ケイ:   いいなぁ~。私も弟か妹を作っとけばよかったな~。

GM:   「さて、灯台番に行こうかな」

ヤシュト: 「いや、いいぞ。俺がやるから」

GM:   「何言ってんの。寝不足の頭じゃ、余計なミスが生まれるよ。

       俺、明日の昼間は眠ってるからさ」

ヤシュト: 「済まんな、ルグニカ」

      いい弟じゃないか~。(笑)

GM:   最初は陰謀だ~って言ってたクセに。

ラルク:  すっかりなついてますね。

ケイ:   ああ、おとうと~。(笑)

ジェスタル:なんだよ、お前は。(笑)

ケイ:   今から弟を作ってもらっちゃダメ?

GM:   よっぽどヤシュトがうらやましいんだね。別にいいよ。

ケイ:   どんなのにしようかな~。

ジェスタル:不良にしようぜ。あねき~こづかいくれ~。(一同爆笑)

ケイ:   いやだ。かわいいのがいいな。

ラルク:  双子はどうですか?

ケイ:   双子ねぇ。

ジェスタル:こいつの双子だったらすごいぞ、きっと。(笑)

ケイ:   う~ん、双子じゃ威張れないしなぁ。(笑)

ヤシュト: なかなか好みがうるさいな。

ケイ:   次までに考えといていい?

GM:   うん、いいよ。思い入れのあるNPCが多いほど楽しいからね。

      それで、もういいのかな?

      よければ、時計を明日の集合時間まで回すけど。

ヤシュト: いいぞ。

ジェスタル:おやすみ、ぐ~。(笑)

GM:   それぞれの夜は過ぎて、爽やかな朝が来るよ。空には雲一つない。

      9時頃だと、逆に人通りは少ないね。みんな働いてるから。

ジェスタル:俺たちはいつも、なにをやってるんだろう?

ケイ:   ごろごろしてて、肩身が狭いから冒険者やってたりして。(笑)

GM:   いつもはちゃんと働いてるんだろうね。ヤシュトは灯台守だろ。

      ジェスタルは漁師の叔父さんの手伝い、ラルクは教会の仕事があるし。

ケイ:   ごろごろしてるのは、私だけ~?(笑)

ラルク:  さすがは貴族ですね。

ヤシュト: イヤミに聞こえるぞ。

ラルク:  そんなつもりじゃないですよ~。(笑)

GM:   ちょっと脱線が多くなってきたな。ここらで一息入れようか?

ケイ:   ごめんね~。私が脱線させてるのよね。

ヤシュト: いや、俺のせいだよ。ラルクの装備にケチつけちゃったからな。

ジェスタル:悪のりした吾輩も悪かった。

GM:   (みんながこんなに素直なのは珍しい……)

      いや、そろそろお腹も減ってるからだよ。

ヤシュト: そうだな、昼飯を食いに行こう。

GM:   もう2時だよ。ちょっと遅い昼だけど、空いてていいかもね。

ラルク:  実はさっきからお腹ぺこぺこなんですよ。

ジェスタル:そうそう、ぐ~ぐ~聞こえてるんだもん。(笑)

GM:   言ってくれればいいのに。じゃあ、トンカツ屋に行こう。

ジェスタル:いいね。あそこうまいよね。


(ここでお昼を兼ねた休憩です。さすがにぶっ続けで4時間もやると、

 注意力は散漫になります。適当に休憩を入れた方がいいですね。

 しかし休憩と言っても、そこはテーブル・トークが大好きな連中。

 互いに、自分のキャラクターはどう? と意見を求め合っています。

 この4人の素晴らしい所は、どんどん高め合っていこうとする姿勢。

 GMとしても嬉しい限り。

 さて、2時間後にプレイ再開です)

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