その10~12
- works.01 消えた贈り物 -
その10~12を掲載しています。
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《前回までのあらすじ》
ヤシュトの家で宝石箱奪回作戦を検討したパーティは、村長の許可を得て、
いよいよギーランとムールの隠れている山小屋に向かうことに。
初の戦闘が人間相手と決まって、少し怖じ気づくジェスタルとケイ。
司祭にしては大袈裟な装備を引っ張り出すラルク。
冒険者としての初仕事にかかったパーティですが……。
《works.01 消えた贈り物》
~その10 山小屋へ~
GM: じゃ、始めよう。9時にジェスタルの家に集合だったよね。
それぞれ時間を見計らって出てくるわけだ。
ジェスタル:吾輩は家の前で腕組みして待ってよう。
ラルク: 「おはようございま~す」
ジェスタル:「おう、来たな」
なんだか、吾輩偉そうだな。(笑)
ケイ: 「おはよう」
ヤシュト: 「おう、待たせたな」
今回はちゃんと松明や、ロープも持ってきたぜ。
ジェスタル:「それじゃ行くか」
GM: みんな山道を登って行くわけだね。
ケイ: ね、この山ってモンスターは出ないの?
GM: 地元の特権で教えましょ。
裏山にはゴブリン、コボルド、イーガルなんかがいる。
最も多いのがゴブリンだ。他は少ないね。
ラルク: イーガルって、なんです?
GM: ナマケモノを素早くしたようなモンスターでね。
ヤシュト: なんじゃそりゃ。速いナマケモノ?(笑)
GM: 容姿がナマケモノなんだ。両腕の鈎爪が鋭い武器になる。
肉食で人も襲う。強さはゴブリン程度だよ。
ヤシュト: ゴブリン程度だったら気にする必要もないな。
GM: ゴブリンの強さををなめないように。
今の君たちだったらいい勝負だよ。
ヤシュト: げ~っ。強いなぁ~。
ケイ: 私たちがまだ弱いんでしょ。(笑)
GM: 隊列はどうなってるの?
ヤシュト: やっぱし俺が先頭かな。
誰もサーチを持ってないから戦闘力のある奴が前の方がいいだろ。
ラルク: じゃあ私が最後を歩きます。
ジェスタル:吾輩はケイの後ろ。
ケイ: なんでよ?
ジェスタル:ケイの前だと、なにされるか分からん。(笑)
GM: 山道の傾斜はそれほどじゃないけど、初夏の日射しの中を歩く君たちは
額に浮かぶ汗を意識する。いつもは着ていない鎧なんかも着てるしね。
でも、山道には鮮やかな花が咲き乱れてて、こんな仕事でなけりゃ、
気分のいいハイキングって感じだ。
ヤシュト: 一応先頭なんで、気配察知をしながら進むよ。
GM: うん。それじゃ、小一時間進んだ頃、いくつだった?
ヤシュト: うぇ、もう来たかゴブリンめ。15!
GM: めちゃくちゃいいなぁ。
それじゃあ頭上の木をざざざって何かが走っているのに気づく。
君の真上を通り越して、後ろの方へ向かっている。
ヤシュト: 「気をつけろ! 上だ!」
ラルク: それじゃ慌ててレイピアを抜きます!
GM: ラルクの真上から何かが飛び降りてきた。
気づいていたので不意討ちはなしで、回避して。
ラルク: 10!
GM: それは君の肩口を鋭い爪が襲った。10発のダメージ。
ヤシュト: ゴブリンじゃないのか! イーガルか。
ラルク: 6点止まった~。
GM: イーガルはすたっと、ラルクとジェスタルの間に降り立った。
ヤシュト: 後ろから来るとはな!
「ケイ、交替しろ!」
ラルク: 私は反撃できますよね?
「このやろ~っ!」(笑)
13!!
ヤシュト: やっぱり始まった~。(笑)
ジェスタル:司祭じゃなくなってる。(笑)
GM: ダメージを出して。
ラルク: 8っ!
GM: イーガルは胸を切られて、カン高い声で吠えるね。
このラウンドから敏捷度順に行動しよう。
イーガルは16だから、一番か。イーガルはまたもラルクに攻撃。
ラルク: えやぁっ! また13です!
GM: それは避けた。
ヤシュト: 俺もイーガルの方に向かいたいんだけど。
GM: このラウンドで着いたことにしよう。
次のラウンドから攻撃できるからね。
ケイ: 私はね、スリープ・ユーを使いたいけど……。
GM: 失敗するとラルクまで寝そうだね。
ケイ: そっか。このラウンドはヤシュトのために道をあけておしまい。
ヤシュト: 魔法は温存してもらった方が助かる。
ラルク: 私ですね?
「くたばりやがれっ!」(一同苦笑)
14です! 当たってますよね? ダメージは10。
GM: それはじりじり来たなぁ。
ジェスタル:吾輩も斬るぞ。……あれ、7。
ヤシュト: 気合いが足ら~ん!(笑)
GM: 新ラウンド。ヤシュト君、再び気配察知をしてくれ。
ヤシュト: むう、新手か。シュイィ~ン……12だ。
GM: はっきりと分かるが、君の頭上からもう一匹落下してくるぞ。
ヤシュト: 体勢を崩さないように避ける、14!
GM: うん。空中で爪を振るうイーガルの攻撃を軽々とかわした。
反撃いいよ。
ヤシュト: それじゃあ、こう、叩き落すように剣を振るよ。12!
GM: ダメージを出して。
ヤシュト: 13発~!
GM: それはかなり効いてる。背中からズシャっと落ちた。
ラルクの前のイーガルは又もラルクに。
ラルク: あ~10~。
GM: また10のダメージだね。
ヤシュト: おいおい、ラルク~。
ジェスタル:それじゃ吾輩は、あ、ケイか。
GM: ラルクとケイは敏捷度が一緒だから、同時進行ね。
ケイ: ラルクが危ないから魔法を撃っちゃうよ?
ヤシュト: 仕方ない、頼む!
ケイ: 「言葉は力……。力よ形となれっ。ハーケン・クロイツ!」
11!
GM: ケイさんも詠唱を考えてきたのか。みんな凝ってるなぁ。
それは抵抗できない。
ケイ: 7点のダメージね。
ラルク: くっそ~。うわ、きゅう~。
GM: ラルクの攻撃は外れ。
ジェスタル:吾輩もラルク救助。グラディウス、当たっておくれ~。(笑)12!
GM: ダメージは必要ない。ケイとジェスタルの攻撃で一匹は逃げていく。
ヤシュトの目の前のは、立ち上がるので行動終了。
ヤシュト: ここでとどめ。体重をかけて突き刺す。12!
GM: ダメージは?
ヤシュト: 俺にD10を振らせるとすごいぞ~。(笑)
ほら、14発!
GM: それは咽を貫いた。びくっびくっていう痙攣が、剣から伝わってくる。
ケイ: 描写しなくていいってば~。(笑)
ヤシュト: 足でイーガルを押えて剣を抜こう。
「ラルク、大丈夫か?」
ラルク: 「なんとか。くそ~、あんなモンスターに」(笑)
ジェスタル:うっひゃ~。ダメージを9発もくらってるよ。
ラルク: 自分でヒーリングします。(笑)
ジェスタル:なんか虚しいぞ。
ヤシュト: やっぱりバトルサイレンが鳴ったな。
ケイ: ほんと、怖かったもん。
ジェスタル:分かった。こいつエレミヤさんに弟子入りするまで、
こういうヤツだったんだよ。(笑)
ヤシュト: 若者の暴走ってヤツだな。(笑)
ケイ: そうか。戦いになると地が出ちゃうのね。
GM: それ面白い設定だね。
ヤシュト: 「ラルク、頼むぞ。次の相手は人間だからな」
ラルク: 「はい、気をつけます……」
私だけですもんね、ダメージ受けてるの。(一同苦笑)
ケイ: でも、分かるなぁ。テーブル・トーク始めた頃って、
ダイスを振るだけで楽しいもんね。
ヤシュト: しかしこんなに豹変しないぞ。
ケイ: せっかくフォローしてるのに。(笑)
ヤシュト: そうか、わりぃ。
~その11 魔法の勝利~
GM: それじゃ皆さん、気を取り直して進んで行くと徐々に山小屋が
見えてくるよ。一戦闘あったから11時半頃だ。
ヤシュト: みんなを手で制して、木の影に隠れるよ。
どんな感じの小屋?
GM: 大体6畳分くらいの丸太小屋。君たちの方に窓が一つと扉が一つ。
ちょっとした原っぱに建っていて、蔦なんかがからまってる。
ジェスタル:ドライアードが召喚できれば面白かったのにな。
ケイ: レベル1がなに夢見てるの。(笑)
ヤシュト: 人の気配はある?
GM: 見た目には、ちょっとよく分からない。
ケイ: 原っぱにあるんでしょ? 小屋の向こう側は何?
GM: 小屋を中心にして15m四方は広葉樹が生えてる。
ケイ: 「奇襲はできそうにないね」
ヤシュト: ケイとジェスタルに聞くよ。
「魔法の有効範囲はどれくらいだ?」
ジェスタル:「アイス・フォールなら20m」
ケイ: 「私のハーケン・クロイツは30m」(得意気です)
ジェスタル:悪かったなぁ~。(笑)
ラルク: 「私はクロスボウを持ってますけど?」(一同爆笑)
ヤシュト: まだ武器を持ってたのか~?
ジェスタル:歩く武器庫だな。(笑)
ヤシュト: いや、作戦を考えてたんだけどさ。
武装した4人で行くと警戒されると思うんだよ。で、
ケイ: 私とジェスタルが隠れてて、相手の出方次第で魔法で援護。
ヤシュト: そ、その通り。読まれたか。(笑)よく分かったね。
ジェスタル:さすがは作戦参謀ヤシュトとケイ。(笑)
でも、ラルクが飛び道具を持ってるなんて、思いもよらなかったと。
ヤシュト: そうなんだよ~。(笑)
ラルク: でも命中させる自信はないですよ。(一同爆笑)
ジェスタル:自分で言うなぁ~。
ケイ: 魔法なら当たることは当たるもんね。
ヤシュト: 「やっぱり俺とラルクが交渉しよう」
ジェスタル:「吾輩たちはこのまま隠れてればいいのか?」
ケイ: 「小屋の向こう側に回った方がいいんじゃない?」
ヤシュト: 「そうだな。その方がいいな」
GM: 作戦はそれでいいの?
ヤシュト: それで行く。剣士と司祭なら説得力があるだろ。
GM: モンスターの危険があるので、司祭を護衛して剣士も来た。
うん、理にかなってるね。すると説得はラルクだね?
ヤシュト: う。(笑)
ケイ: 大丈夫。司祭さまのときはすごいもん。ね?
ラルク: がんばります。
ジェスタル:吾輩たちは行くぞ。
ヤシュト: ジェスタルとケイが行ったら、ゆっくりと木の影から出て小屋の方に
歩き出そう。
GM: ヤシュトとラルクが小屋に近づいて行くと、窓の中で人影が動く。
どうやら警戒している様子で、出てはこない。
ヤシュト: そりゃそうだろう。タムワさんじゃないからな。
ケイ: 私たちは小屋の裏側に着いたことにしていいの?
GM: 小屋の裏手の茂みでしょ? 小屋からは15m離れてるから、
隠密行動のチェックはなしで到着したことにしていいよ。
ジェスタル:サーチがないから助かったな。
ヤシュト: 小屋に向かって叫ぼう。
「タムワさんの使いで来た!」
GM: すると、小屋の扉がゆっくりと開いて、戦士風の男と
薄手のマントの男が現れる。
ラルク: 酒場にいた二人組ですか?
GM: うん。まちがいない。
戦士風の男が君たちの手前5m位まで来て止まるね。
ベルトに手を挟んで君たちを見据えている。
ヤシュト: 「あんたたちだな? 例の物を持っているのは」
GM: 「開ける方法は分かったのか?」
ラルク: 「そのことですが、少し話があります」
GM: 戦士風の男は足元に唾を吐いて
「おれは司祭が大の苦手でね。偽善者ぶってて気に入らないんだ。
なんでタムワの使いで司祭が来るんだ?」
ラルク: 「えっと、そのぅ~」(笑)
ケイ: (小声で)タムワさんが怪我をして、治療をしているうちに事情を
聞いたって言えば?
GM: こらこら。この場にいない人は喋っちゃダメだよ。今回だけだからな。
ケイ: ははぁ~。(わざとらしく頭を下げています)
ラルク: 「タムワさんは怪我をしたんです。代わりに私たちが来たんです」
GM: 「だったら早く教えな。
こんな所で時間を潰すほど、ヒマじゃないんでね。
まさか説教でも始める気じゃないだろうな?」
ケイ: いやなやつね。
ヤシュト: ダメだな。説得できそうもないぞ。
ジェスタル:元々、こいつらは開ける方法を待ってるだけだからな。
ヤシュト: ラルク、言ってやれ。
ラルク: 「小箱を渡しなさい。タムワさんは改心しました」
GM: 戦士風の男は一瞬キョトンとすると、相棒の方を見て大笑いする。
「はははっ! こいつは面白い。わざわざそんな用件で来たのか?
そこの頼りない護衛を連れて?」
この男はラルクの怪我を見て、司祭一人守れない剣士と
どうしようってんだって、ヤシュトを侮辱してるね。
ヤシュト: 分かってる。
「頼りない護衛がどれほどのものか見せてやろう」
GM: 男はニヤニヤしながら剣をゆっくりと引き抜く。
「小僧。これは遊びじゃないんだぜ」
敏捷度はヤシュトと同じ15だ。もう一人のマントの男は12。
ヤシュト: それじゃ、俺はブロードを抜きざま男に向かう!
GM: 男もそれを迎えるように剣を振りかぶるね。攻撃いいよ。同時処理だ。
ヤシュト: マジで行くぞ。シュッ! 13!
GM: それは当たったな。ダメージを出して。
ケイ: 恐怖のD10。(笑)
ヤシュト: おりゃあ! 10ぱ~つ。(笑)
GM: げっ、6点通った。次にこっちの攻撃、避けて。
ヤシュト: あ、8だ。
GM: 9点のダメージ。アーマー分減少しといてね。
ラルク: 私はもう一人の方へ走ります。
GM: マントの男は詠唱を始めてる。
ケイ: させないわよ~。(笑)
「ジェスタル、出番よ」
ジェスタル:「おう、任せとき」
ケイ: 「ハーケン・クロイツ!」
11。ダメージは9。
GM: 抵抗失敗。6のダメージ。後ろから攻撃が来たんで、体勢を崩して
片膝を着くね。びっくりしたように後ろを振り向く。
ジェスタル:それじゃもう一押しだ。(笑)水筒の蓋を取って、
「氷の精霊よ。水をつぶてとなし、敵を砕け……アイス・フォール!」
よし、12!
GM: おわ、ダメージが来る。何点?
ジェスタル:7点。
GM: マントの方は一気に体力が半分だ。
このラウンド、この男は行動できないな。はい、新ラウンド。
ヤシュト: MPを6点消費して、精緑の匠を使うよ。
GM: これから3ラウンドの間、攻撃判定に+1ね。自分でカウントして。
ヤシュト: あ、村長の言葉を思い出した。ダメージは手加減する。
ジェスタル:手加減なんかして大丈夫かよ?
GM: ジェスタル~。ルールブックをちゃんと読んでないな?
ジェスタル:あたりきよ。(笑)
精霊魔法のとこしか読んでないじゃな~い。(笑)
ヤシュト: 手加減っつっても、相手を殺さないってことだよ。
攻撃行くぞ。袈裟掛けに一撃。ん~、9と精緑の匠で10。
これは避けられたな。
GM: うん、避けた。そっちも回避して。
ヤシュト: フッ! 13だ。
GM: 残念。当たってる。9点のダメージ。
ヤシュト: げ~。やっぱり強いな。ダメージ減少……5点食らった。
「くっ」
と眉をしかめるけど、痛そうな顔はしない。
GM: 次はラルク。
ラルク: レイピアで突き刺します、9。
GM: それは外れ。
ケイ: もう一回ハーケン・クロイツ。あ、低い。7。
GM: 魔法の場合は抵抗されてもダメージが通る場合があるから得だね。
ケイ: 6点。
GM: うん。マントの男は背中に魔法を3回も喰らいながらも(笑)
目の前にラルクが来たんでシャムシールを引き抜いて、接近戦だ。
ラルクに攻撃。
ラルク: マンゴーシュで受け流す。11! 当たっちゃいました?
GM: いや、ガキンと危ないところで食い止めた。
ラルク: 呪文専門で剣は得意じゃないと見た!
GM: そうかもしれない。
ジェスタル:アイス・フォールよりウィルの方がダメージでかいじゃな~い。
ウィル召喚、1ゾロ出ないでくれよ……6。あぶね~。(笑)
GM: ジェスタルは召喚でおしまいだね。
また新ラウンド。
ヤシュトの相手は、相棒が魔法でズタボロにされてるんでちょっと、
気が気じゃないね。でもそっちに向かうと……。
ヤシュト: 俺が後ろからズバッとやるぞ。
GM: そういうこと。ヤシュトに専念する。攻撃は13。
ヤシュト: 甘いぜ、今度は完璧に避けた。こっちの攻撃は14だ!
「味方が危ないぞ。降伏しろ!」
GM: ダメージは?
ヤシュト: どりゅうぁ~!!(一同爆笑) 11だ!
ジェスタル:何だよ、そのかけ声は。(笑)
ヤシュト: 気合いだよ、気合い!
GM: すっごいダメージだな~。ハードレザーがもう役に立たない。
相手は肩で息をしている。
ラルク: 私はシャムシールをマンゴーシュで弾き飛ばしたい!
ケイ: それと同時に私はハーケン・クロイツ。(笑)
GM: ラルクはブリッシュだね?
ラルク: ピンチ・スキルを使ってダイスを一個増やします。いいですか?
GM: いいよ。
ラルク: え~っと、やった! ちょうどクリティカル!!
ジェスタル:お~。冷静にやれば当たるじゃな~い。(笑)
ヤシュト: ダイスを増やしてよかったな。
GM: ガシュッと金属の擦れ合う音がして、
マントの男は剣を弾き飛ばされた。
こっちはもう戦意がないようで、両手をあげるね。
ジェスタル:その背中にハーケン・クロイツが炸裂すると。(一同爆笑)
ヤシュト: こりゃたまらんぞ。降参してるのに。
ケイ: 撃たないってば。(笑)
ジェスタル:吾輩のウィルはどうしようかな~。
あっちの男にぶつけようかな~。(笑)
GM: ヤシュトの相手の方もかなりダメージがあるし、
相棒が投降しちゃったから剣をヤシュトの方に投げてよこすね。
「やめだ、やめだ! 俺たちの負けだ!」
ヤシュト: 剣を男の鼻先に突きつけて聞こう。
「小箱はどこにある?」
GM: 「小屋の中だ」
男は吐き捨てるように言うよ。
ケイ: 私は茂みから出て行くね。
ジェスタル:それで小屋の中に入ってみよう。
ラルク: 私は、マントの男が妙なことをしないように見張っています。
GM: 小屋の中にはこいつらのバックパックと、真新しい木箱があるよ。
ジェスタル:木箱を開けてみよう。
GM: 中には真綿にくるまれた、掌大の宝石箱が入っている。
前にザニアさんが言ったとおり、銀の箱にビロードが被せてあって、
黄金のプレートには”ディア・ルスエラ”と彫ってある。
ジェスタル:「これが7000の箱か……」(笑)
触ると汚しそうだから、そのまま蓋を閉めよう。
小屋から出て、
「あったぞ~!」
ヤシュト: よし。男に言おう。
「村長からお前らの処分は任されている」
ケイ: 吊し首。(笑)
ヤシュト: 「ギルドがないからと言って南トゥムを甘く見るなよ。
それから、もう二度と来るな!」
ラルク: 「このまま許すんですか?」
ヤシュト: 「村長に言われたからな。それに俺には人を裁く権利はない」
GM: 男は一瞬、本気かよって顔をするけどゆっくり立ち上がって、
「その甘さが命取りにならなきゃいいがな」
ヤシュト: いつでも受けて立つ、と言ったふうに睨み返す。
ジェスタル:ヤシュトがそういうなら、小屋の中のバックパックを投げてやろう。
ケイ: 剣は返さないから。
GM: 分かった。男は背中の焼け焦げた相棒を連れて(笑)山小屋を
ゆっくりと後にするね。
ヤシュト: 連中は行った?
GM: うん。見えなくなった。
ヤシュト: 「くぅ~。痛ぇ~、治してくれぇ」(笑)
ジェスタル:我慢してたのか。
ヤシュト: 当たり前だよ。痛そうにしたら迫力ないだろ?
ラルク: それじゃヤシュトにヒーリング。はい、7点治りました。
ヤシュト: 「おおっ。これがアガルタの魔法か。痛みが和らいだぜ」
ケイ: 「なんとかうまくいったわね」
ジェスタル:「魔法が効いたな」
GM: うん。考えてみたらマジック・ユーザーが3人もいるんだよね。
ケイ: あ、私スリープ・ユーが使えたんだ。(笑)
ヤシュト: ばか者~。眠らせればもっと簡単にいったのに。
GM: ほんと。俺もどうして使わないのかなって思ってたんだよ。
ケイ: イーガルの時は思いついたんだけどな。
ま、いいよね。(笑)
ジェスタル:「でもタムワさんは困ったことにならないのかな?」
ヤシュト: 「だって、あいつらから金を借りてるんじゃないだろ」
ケイ: 「うん。宝石を盗むよう持ち掛けてきただけよね?」
ラルク: 「たしかそうですよ」
GM: そうだよ。
ヤシュト: それじゃ一休みしたら山を下りよう。
ケイ: 「お腹空かない?」(笑)
GM: もうチーズケーキはないよ。
ケイ: キャラクターの話!(笑)
ジェスタル:「帰ったら一杯やろうぜ」
ラルク: 「いいですね」
~その12 終りよければ全てよし~
GM: 帰りは、端折っていいよね。大体4時頃、空気が涼しくなり始めた
時間に君たちは村に帰ってくるよ。
新米冒険者が初仕事を終えて見る自分たちの村はどんなだろう?
ヤシュト: う~ん。きっといつもの風景が、ちょっと違って見えるんだろうな。
ジェスタル:一回りビックになったぜ。(笑)
ラルク: 「早速酒場に報告に行きましょう」
ヤシュト: 「そうだな。みんなを安心させてやろう」
GM: ”ウミガメ”に帰ると、酒場では船員たちが心配そうにしている。
タムワもカウンターでうつむいてる。その横に船長、ザニアがいる。
君たちが扉を開くと一斉に10人近くの視線が。(笑)
ジェスタル:ここはニカって笑って木箱を見せよう。
ケイ: それと同時にブイサイン。
ヤシュト: 黙って親指を立てよう。
GM: 下向きに?(笑)
ヤシュト: だぁ~! う・え・む・き・に!(笑)
GM: すると若い船員たちはお互いの背中を叩き合ってる。
タムワと船長はほっとして、力が抜けちゃったようだね。
ザニアが駆け寄ってきて、船員たちの歓声がうるさい中、
それに負けじと大声で言うよ。
「無事だったんですね!」
ジェスタル:木箱をザニアさんに渡そう。
ラルク: 「もう心配いりませんよ」
GM: 「司祭さん、ずいぶん怪我をしてるようですが!」(笑)
ラルク: 「かすり傷ですよ」
GM: するとハーレがエプロンで手を拭きながらやってきて
「今日一日葬式みてえで誰も客が寄りつかなかったんだ。(笑)
だがこれで一安心だな、新米冒険者ども!」
ジェスタル:「それを祝してエールをご馳走してくれると」(笑)
GM: 「しょうがねぇ、好きなだけ飲め!」
それを聞いた船員たちがエール樽から勝手についで君たちにも
ジョッキを渡してくれる。(笑)
タムワさんもおずおずとやってきて、
「ほんとうに、ありがとう。俺、これからはちゃんとするよ」
ヤシュト: 「もう終ったんだ。今日は飲もうぜ!」
と言ってタムワの肩を叩く。
ケイ: 中毒の方は大丈夫みたい?
GM: クラックは中毒になりやすいけど、抜けるのも早いんだ。
きっと昨晩が峠だったはずだよ。後で君たちは分かるけど、
エレミヤ親子が一晩中かかりきりだったんだ。
ラルク: さすがはエレミヤ神父。
ジェスタル:それじゃ今夜は飲もうや。難しい話はなし、なし。(笑)
ヤシュト: そうだな。俺も今夜はハメを外すぞ。
GM: 君たち4人は船乗りの歓迎の中、夜通しでどんちゃん騒ぎだね。
初めての冒険者としての一日は賑やかに更けていった。
それでは、Works.01 消えた贈り物 はこれでおしまいだね。
一同: お~。パチパチパチ。
《プレイの後のお楽しみ》
PL A(ヤシュト):いや~。久し振りのロールだったけど、やっぱいいなぁ~。
PL B(ジェスタル):な。
PL C(ケイ):4人もプレイヤーがいるといいね。
GM: ちょっと後日談になるけどいいかな?
3日後にザニアと船乗り連中は帰っていったよ。
どうやらザニアさんはこの船乗りたちが気に入ったらしくて、
自分が出資して北トゥムのドックで新しい船を造るつもりらしい。
タムワの借金も立て替えると言っていた。
PL C: うまくいったんだ。
PL D(ラルク):よかったですね。
GM: それと君たちへの報酬だが、約束の倍の2000Goldを支払ってくれた。
PL C: すごい。
PL B: そうだ、報酬を忘れてた。(笑)
PL A: 予定の倍の収入だ。一人500Goldだな。
GM: 君たちの説得が見事だったからね。
PL C: ラルクがすごくよかったよね。
PL A: 戦闘でキレなければな。(笑)
PL D: ははは。(苦笑)
GM: でも、司祭としての役回りはよくできてたよ。
PL B: うん。よかったよ。
PL D: そう言ってもらえると、嬉しいです。
GM: それじゃ反省会を含めて経験点を計算しようか。
PL B: 待ってました。これが楽しいんだよな。
GM: それじゃ、基本的な経験値ね。
先ずはミッション達成が700点。イーガルが50点×2で100点。
冒険者崩れ80点×2で160点。全員が合計960点もらえる。
さぁ、ここから先は自己申請だよ。
見せ場と思ったところを言って経験値を持ってってくれい。(笑)
PL A: やっぱり始めにラルクが貰うべきじゃないか?
GM: そうだね。タムワに対する説得でラルクには150点あげよう。
PL B: おぉ~。
PL D: そんなに貰えるんですか?
PL C: GMちゃんが150点も出すなんて滅多にないのよ。
GM: Dは、ロールを始めて間もないのに、
いい感じでプレイしてたからね。
ほら、みんなも、まだまだキャラクターとして優れた働きをした
場面があるじゃないか。
PL A: それじゃ俺は村長への説得の場面でもらいたいな。
GM: うん。100点あげよう。
PL B: 吾輩も。(一同爆笑)
PL C: あんたは何も言ってないでしょ。(笑)
PL D: あれが100点なのに、私が150でいいんですか?
GM: A君は古株だからね。次からはDも古株扱いするよ。
PL D: は~い。
PL B: 吾輩は麻薬発見のところ。
GM: うん、あれがなかったら事件は暗礁に乗り上げてたからね。
80点あげよう。
PL C: じゃ私は全般的に頭を使ったところ。セージ関連かな。それと推理。
GM: 地味だけど大切だよね。70点。
PL B: どんどん点数が減ってるぞ。(笑)
PL A: よ~し。まだまだあるぞ、俺は……。
プレイ後の歓談は続きますが、読者のみなさんとはそろそろお別れです。
Works.02 ある約束 での新米冒険者の活躍にご期待ください。
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