第19話 リストカット事故 -goth その3-への応援コメント
主人公と私が全然違うのは「食欲のなさ、性欲のなさ」ですが、もうひとつ、「左翼教師への憎悪」もあります。
中学時代、いじめに抵抗したら、教師から言われました。
「暴力で解決するなんて最低だ。話し合いで解決しろ。」
私が、「いくら話し合ってもやめてくれなかったら死んでしまいます。死んだほうがいいんですか」と言ったら、
「そうだ。暴力を振るうよりは死んだほうがいい」
だから、ひどい教師がいるものだというのはわかります。
しかし、左翼教師ことは全く嫌いではありません。
私の学校には「平和教育」も「人権教育」も全くなく、左翼的な教師は、中学時代の国語教師がたったひとりいるだけでした。
(私がいたのは1980年代の神奈川県ですから、大阪とは違うのかもしれません)
その先生は確かに、(社会科じゃないのに)日本軍の戦争犯罪を批判させれば止まらない、天皇制も自衛隊もすべて打倒して共産日本を作るべき、という人でしたが、私がいじめられているときに体を張って守ってくれた命の恩人です。クラスメート全員と、何十人という親を敵に回して、「あの教師を辞めさせろ」と糾弾されても、一歩も譲りませんでした。(私はクラスの鼻つまみ者だったので、守ろうとするとクラス全員を敵に回すのです)
いちばん尊敬している教師です。
インターネットには、左翼教師への怨嗟の声が満ち溢れていますが、左翼教師がみんな悪いわけではない。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
これはカルトの影響でしょうね(と、この辺からはもう他人事として語りますが)。右がかった教派なので。あと、これはリアルな話として、わたしの周りには左翼教師しかいなかったので、そうじゃない教師が描けないんですよね。教師に恨みを募らせる話なので、どうしても左翼に対してネガティブな描き方になってしまいます。まあ、良い教師を描けっていわれても実際見たことないんで無理なんですけど。確かに神奈川とはだいぶ事情が違うみたいです。
第9話 だから僕は、恋ができない。への応援コメント
恋愛とか性的なものを恥ずかしい、自分には関係ない、関係あったとしても、そういうプライベートなことを誰にも知られたくない、という気持ちはよくわかります。
中学生くらいのとき、「誰が好きなの?」って問い詰められ、「女なんて興味あるわけないだろ!!」と絶叫したら、(当然ですが)同性愛者だと思われ、誤解をとくのが大変だったものです。
人間の裸身を醜悪なものだと感じてしまう、というのも実体験としてわかります。
しかし、醜悪だと思っても、たいていの男性は欲望が沸き起こってくるものです。
禁欲的な教育をしても性欲自体の発生を止めることはできないはずです。
(禁欲的な国こそ、性犯罪が多い)
もしかすると、主人公は本当に、異性愛者ではなかったのかもしれませんね。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
はじめて女性の裸体を見てショックを受けるみたいな話はよく聞くので、まあ、そう珍しいことでもないんだろうなと思って書いてます。ただ、普通はその嫌悪感を凌駕するだけの欲望があるものなのだろうな、とも。
第1話 僕の家庭にサンタはいないへの応援コメント
私の家でも、「サンタクロースは実在しない」という教育を受けました。
でも、主人公はさめてますね。
私は、5歳くらいの時は「サンタクロースはいない」と知っていましたが、でも、アニメやマンガのキャラクター(ルパン三世とか、ドラえもんとか)は、いると思っていましたよ。正確には、「誇張されているが、あれに近いものはいる」。
5歳で「アニメのキャラクターは実在しない」と確信できる主人公は、かなり精神年齢が高いです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
この辺はほとんどノンフィクションなんですよね。サンタの正体も実際こんな感じであっさりばらされました。あと、4歳くらいで声優という概念を知っていた記憶があります。それも親が教えてくれたので。
第2話 ボクには致命的なズレがあるへの応援コメント
はじめまして、ますだと申します。
終盤の展開に、胸に迫るような迫力を感じて、全部読ませてもらいました。
作品レビューにも書いたのですが、主人公はものを食べることが苦手で、食欲も乏しいらしい、ということに驚いています。そんな少年がいるなんて……
(ニンジンとかシイタケとか、特定のものが食べられないならわかります)
私は主人公と逆で、幼いころから食い意地が張っており、どんな給食が出ても一心不乱に5分くらいでがっついてしまったので。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
食べるのが苦手というのも、まあ、ある程度はリアルですね。むかしから食べるのが遅いですし、胃が弱いのでそんなに食べられない。あとどうも味覚が貧しいみたいです。ものを食べても、あんまりおいしいと思うことがないですね。
第30話 やはり僕の人生はまちがっていた。への応援コメント
ところどころ、自身の自伝(書いたことはない)を読んでいるような錯覚に陥りました。終盤の、実話と物語の境目がはっきりしているので、だんだん作り話めいた内容を混ぜていくようにすれば、酩酊感が出せたように思いました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
実のところ、序盤の数話目からずっと嘘だらけなんですけど、明らかに嘘の部分とそうでない部分のバランスはたしかに気にしたことがなかったかもしれません。書いたときは全体の流れも気にしてませんでしたしね。
編集済
あとがきへの応援コメント
面白かったです。
感動した、とはまたちょっと違うものがありますね。
戸松さんの身に起こりえた得たもう一つの世界の話、それは別に戸松さんだけでなく、私にだって起こりえた話だと思います。うちは新興宗教とは無縁で、兄弟がいて、同級生たちと普通に接していて、自分のレゾンデートルに悩んだことなくて今の自分があるのですが、もしどれか一つでも違っていたらどういう人生を歩んでいたでしょう。
自分の成り立ちについて思わず振り返って足を止めてしまいます。
戸松さんは「長編が書けない」「ミステリの呪縛がある」と常々おっしゃってられますが、ものすごい読みやすい12万字でした。いや、全然ちゃんと書けてるじゃないですか。素晴らしかったです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
そういう方にも響くものがあったなら、嬉しいです。
あとがきにも書きましたが、人生で一回こっきりの切り札を創作の初手でいきなり使ってしまったのがこの話なんですよね。あと数十年生きたらまた書けるだけのネタがたまるかもしれませんが。
なので、この方法では2作目、3作目が書けない。「長編が書けない」というのはそういう意味で、他人の人生を描く方法が見つからなくて四苦八苦してきた感じです。
何より、わたしはちゃんとしたエンターテインメントが書きたいんです。この話はその辺全然配慮してませんからそれはもう楽に書けたのですけど、それじゃダメだなあって。
となると、わたしにはミステリという選択肢しかないんです。そこから逃れようともがき続けてきたのがこれまでの創作歴ではあるのですが、ある時点で、呪縛……と言っていいならその呪縛を受け止めて、自分らしさと共存させていこうと決めたんですね。短編はもうちょっと自由に書いてますけど。
願わくば、この話と同じくらい切実で、読みやすく、かつ豊かで、刺激的で、くすりと笑えて、希望が持てるものが書きたいですね。最後までお付き合いただき本当にありがとうございました。
第2話 ボクには致命的なズレがあるへの応援コメント
すごく感情移入してしまいました。
僕が同じ立場だったとしてもやりきれない気持ちになります。
コミュニケーション能力の基礎的な部分は幼少期に出来上がりますから後々正していくなんていってもそうそうできませんからね。
僕も程度の違いこそあれ、他人とズレている部分が多々あるので、その点については特に強く共感させられました。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
生来的に、ということもありますね。
序盤なのでこの辺はほとんどノンフィクションなのですが……わたしはたぶん早生まれなのもあってだいぶトロかったですね。3年くらいからは追いついてわりかし普通になってきた感がありますが。
第17話 残酷系 -goth その1-への応援コメント
ネオ麦茶世代ともいいますが、酒鬼薔薇世代でもありますよね。
私なんかはネオ麦茶よりも酒鬼薔薇の方がインパクト強かったんですが。
あと秋葉原無差別通り魔の加藤もこの世代ですよね
作者からの返信
コメントありがとうございます。
酒鬼薔薇の方が世間に与えたインパクトの方は大きいでしょうね。わたしは物心つくかどうかの頃だったのであんまり覚えてないのですけど(それでもうっすら覚えてるくらいにはインパクトがあったのですが)。
ただ、この語り手はわたしより数年年上の設定ですし、読み返してみると、なんで言及しなかったのか自分でもよくわからない……彼も「学校殺死」なんて名乗って(?)たくらいなので取り上げてもよかった気もしますが。
第10話 夢のミカタへの応援コメント
江川さん、カッコいい。彼女はその後どういう人生を歩んだのでしょうか。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
どうなったんでしょうね。江川さんにはモデルがいるんですが、ここまで突っ込んだ話はしませんでした。
第1話 僕の家庭にサンタはいないへの応援コメント
サンタの存在は信じていましたが、うちにもサンタさんは来てくれなかったですねえ(遠い目)
作者からの返信
コメントありがとうございます。
切ないですね。でも、信じていた時期があっただけいいんじゃないでしょうか。
『サンタクロースの部屋』という本に、「幼い日に、心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に、信じるという能力を養う。私たちは、サンタクロースその人の重要さのためではなく、サンタクロースが子どもの心に働きかけて生み出すこの能力ゆえに、サンタクロースを大事にしなければならない」という言葉があります。
きっと、kaze0508さんの中にも「サンタの部屋」があるのではないでしょうか。それはきっと人生を豊かなものにしてくれるはずです。
第28話 僕が死ぬ意味(レゾンデートル) その1への応援コメント
人間という生き物がどうしても汚く思える、世界は不正義で満ち溢れている、だから、ふつうに就職して結婚して、不正義に参加するのがどうしても嫌である。
それは私もずっと考えていたので、わかります。
しかし、だからといって人間を殺しても、その不正義、その醜さを超えられるわけではなくて、汚い人間の中でもとくにダメな部類になるだけだ。
いっそのこと人類を皆殺しにできるなら良いが、一人や二人殺したってなんにもならない。
と私は思ったので、主人公のようには考えませんでした。
主人公は人殺しになったようですが、そのあとも人生は続きます。
自分が「地上のけがれ」を克服して、美しい存在になるにはどうすればいいか。
いつか別の考えにたどり着く日も来る、と思います。
それを読みたいです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
この辺はたぶんにグノーシス主義的な思想なんですよね。この世界は悪しき造物主によって作られたものだという。いわゆる反宇宙的二元論というやつです。主人公は知らずしてその思想に接近してしまった……という設定です(なのであえて名前を出してない)。
実際、わたしも似たようなことを考えてはいたのですが、気づいたらお気楽な現世肯定主義者になってしまったので、何が何やらという感じです。『時計じかけのオレンジ』じゃないですが、大人になって勝手に解決してしまったという描き方しかできないでしょうね。
ただ、いまでもかつての名残はあって……という事情を描いたのが疑似私小説の「ひとりごっこ」だったりします。テーマもトーンも全然違うんですけど、これはまあ、わたし自身の変化の表れでもありますね。