第5話 霊能力?・1

幼少期、引越しが多かったのは前に記述したけど、父のケンカっ早さが原因だけではない、母方の一族が持ってる霊感も原因だ。



当時若かった母は、まだまだ霊感がバリバリ。


母の父、つまり私の祖父より前は知らないが、祖父以降の母方の一族は、兄弟必ず片方が霊能力がある。


母方の従兄の1人は霊の姿まで見える。そして音。凄まじい耳鳴りがして金縛りにあったり。

従兄の子供は発現しなかったようだが、その子供、従兄の孫におそらく出るだろう。



必ず兄弟片方、4人居れば2人に発現している。

腹を括れば良いのに、霊感を怖がっている従妹もいるが。



◆◆◆


引越しが多かった当時、母の夢枕に祖父、母から見たら自分の父が出て、今の場所は引越しなさいと言われ、慌てるように元いた近所のマンションに戻った記憶がある。


半年もいなかったような……


母の姉の一人は、病のため三歳足らずで亡くなり、その後生まれた母を祖父は溺愛したのだろう。しょっちゅう夢枕に立ったそうだ。

後にその幼くして亡くなった叔母も、私に憑依したりと色々あるのだが。



古いマンション→新築マンション→古いマンションへ引越した時があったわけだが、新築マンションから引越しした数日後、ウチの部屋だったところの隣人はガス自殺を図った。



その階一帯はガス臭かったらしく、一歩間違えば爆発。祖父からのお知らせが無かったり、無視していたら大事になったのかもしれない。

その隣人は数年意識不明の後亡くなったらしい。



◆◆◆



祖父は、母がいうには手をかざして痛みを取ったりしてくれる人だった、

祖父もなんらかの霊能力があったのではないだろうか。


自分の子へのプラシーボ効果のようなものか?母の腹痛を手をかざし治していたけど、祖父が脳梗塞で倒れた際に母の腹痛が再発、虫垂炎となり手術になったらしい。



その他近所の人や家族の痛いところを手をかざして治していたらしいが……

ハッキリわかる人はもういない。

もし本当なら祖父はなんらかのヒーリング効果を使っていたのかもしれない。



身体が弱く戦争に行けず、軍服に憧れて、軍服を知り合いに借りて撮ったという祖父の写真はかなりの美形。

いや、マジで、眉唾物ではなく、

マジです。もの凄い美形でした。



あんぱんを踏んづけたようなぺちゃんこな顔の祖母は、そりゃー夢中になったわけだ。




私が3歳に満たない頃、亡くなる直前に自宅療養していた祖父は、あまり環境が良いとはいえない中で暮らしていたらしい。



当時戦後まもなくから、母方の商店は忙しく、叔父は中学から働き商店を大きくした。当時は誰が祖父の世話をしていたかももうわからない。



母が私を連れて帰省した際、当時怖がりで何でもギャン泣きだった私が、祖父が寝ている暗い部屋へ1人で入っていったという。



普段なら暗いので怖がって絶対入らないような部屋に入って行った!と母がそっと見に行くと、


『おじいさん、痛いの?痛いの?』


と、聞いて側に居たそうだ。

その時まで祖父は、痛みに耐えて苦しげだった顔が、

私を見てニコッと笑ってたそうだ。

残念ながらその記憶は微塵も無い。

少しでも祖父の記憶が欲しかったが、

全く残ってないのだ。



母は祖父が私に会いたくて何らかのチカラを最後に振り絞ったのだろうと言っていたが、だったら少しでも記憶を残して欲しかった。

もっと話してみたかったし、甘えてみたかった。



◆◆◆



母は夢に見る未来予知タイプの霊能者だったようだ。一応まだ生きてますが。


母の昔の職場の中で、あまり誰も目に触れないような棚の奥に一つ物が倒れている夢を見て、

翌日見に行ったら同じ状況だったとか。


どこぞの霊を見たり話したり、それは無かったと思われる。

高齢になった今は、同級生など亡くなる知らせの前に必ずと言って良いほど、夜に部屋の窓ガラスを叩かれるらしい。

そんな霊感があった母だが、母は若い当時は霊感だとはあまり認識してなかったようだ。

てゆーか、よくわかってなかったんだと思う……



霊感があった、と流れで過去形にしたが、80歳を越えた今もまだ霊感は少しあるようで、

テレビの相撲の勝敗は見えてしまい面白くないと言っていたし、やはり夢に色々見るようだ。



◆◆◆


当時の引越しはそのマンションだけではない、中古戸建て、団地、様々だった。ここはなんとなく気持ち悪いとか、弟が怪我をする夢を見たから、とか、そんな理由で引越した。



普通住む前に内見するでしょ、って思うけど、父が先に勝手に決めて事後報告。あくまで母はいつも初見。

もうそこから仲の悪さが見える。



その他、甘いものも水分も無いのに朝になると台所のシンク上に蟻がびっしりとか、地震でもないのに夜、時折窓ガラスがガタガタと揺れる、そんな家にも住んだ。



今思えばあれはポルターガイスト。

若かった母の霊能力に引き寄せられたか、もしくは私か。なんらかの事情があった家だったのだと思える。

心霊現象は時として虫になって現れる事もあると、多数の霊能者という方々が言っている。



結局、私はなかなか安住出来る家が無い。母の終の住処となる現在の家も、

私は妙に居心地が悪く、何度も金縛り、ラップ音、様々な現象が起こったが、

母だけは父から勝ち取った家、

居心地が良いようだ。



母がよく言ってたのは

『私を怒らせるな、怒らせた人はみんな怪我したり、嫌な目にあって不運になる。』怒らせるなと言われても。

母が悪い事だってたくさんあるのに、

なんと理不尽な。

それで弟はよく怪我したり、色々あったが、私には効かなかった。



私は子供ながらに『絶対受けてなるものか。跳ね返す!』という気持ちがあった。それは今でも有効。



しかし私もその力は受け継いだ。

腹の底からムカついた相手は、必ずと言って良いほど病気になった、怪我をした、すごく嫌な思いをした、学校に来なくなった、事故にあった、仕事を辞めたとか……


これでは相手が死にかねない。

なのであまり心底腹を立てないようにしている。



最近、Googleマップで当時住んだマンションを調べてみたら、ガス自殺があったマンションは、それらしい建物も何故か見当たらない。



もう記憶は深い霧の中である。



もう40年前では何らかの理由で取り壊ししたのかもしれない。

古いマンションという前述のマンションは、神社の敷地内にあるのだが、

やはり何か神懸かり的な力があったのかも。その古いマンションはまだ残っている。



◆◆◆






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