第3話 勤務地は……

上京して初の勤務地。

横浜だった。

電車、バス、どれもこれも新鮮で、

電車もすぐ来る!


人混みだって平気。

だって都会じゃん。人が多いのは当たり前だよね。

そう思っていた。



地元からの延長のような仕事。本社は新宿。

同じ会社で異動させてもらった。

親と元旦那には転勤だと言って。



しかし、甘かった。

地元では比べ物にならないくらい、

同じ業種でも難しい。

覚える事が山ほどあって、なかなか覚えられない。

疲労から発熱して寝込んだり……



こんなに難しいなんて……



無我夢中で3ヶ月、どうしよう、辞めれないし……

もう嫌だ……

行き詰った。



しかし、職場のとある先輩が、


「みんなそうだったのよ、同じだったわ、いや、もっと酷かったの!

大丈夫、これを越えたら慣れるわよ!」


ああ、なんだ……


ちょっと、いや、かなり軽くなった。



そこでも気がついたのだ。


「慢心」


そう、慢心していたのだ。なんとかなるだろう、そう思って

努力を怠ったんだと気がついた。

今でも私の悪いクセ。



やっぱりダメだった、では、帰れない。

もう地元に、実家にわたしの居場所は無いのだ。



「帰るわけにはいかない」



それからとにかく、自分だけがダメなんじゃなかったんだ!と心機一転出来た。


暇な時間は資料を読み漁り、

上司に質問して問題を解決して、

ああ、慣れてきたかも、そう思えるようになった。




でもまだ、本来の目的が何も成されてなかった。




これでやっと地元からも、元旦那からも、

親からも、解放だと、

逃げるように上京したけど、まだ解決しない問題はそのままだった。



神経質で世間知らず、狭い世界でしか生きて来なかった母とは、長く一緒には暮らせなかった。



あまり器の大きな人では無い。

30歳もとうに越えたのに、夜21時を過ぎて帰ると遅いと言われ、

会社では中間管理職だったのに、接待などあっても

また母がイライラしてると思うと落ち着かない。



家に帰っても全く休まらなかった。




先日、数年ぶりに実家へ行った際も思った。

本当に居心地が悪い家。

立地が悪いのか、家の造りがよく無いのか。

ぐっすり眠った記憶すら無い。



一旦、もっと過去に遡ろうと思う。



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