だれのせい?
近所に心霊スポットがある。
十年以上前に封鎖され、立入禁止になった小さなトンネルだ。
ド田舎なのでアクセスは悪いが、肝試しの名所としてSNSでも話題になっている。
というのも、肝試しに訪れた人間が行方不明になる……という噂が流れているからだ。ここ数年の話だが、それなりの人数が訪れている。
話のミソは、ターゲットが『肝試しに訪れた人間』に絞られていることだ。肝、つまり度胸を試すのにこれ以上のものはない。
ただ……個人的には、必要以上に近づきたくない、というのが本音だった。
あのトンネルは、確かに幽霊が出てもおかしくない。近づくだけで被害者の悲鳴が聞こえてきそうなほどだ。
それに。
そもそも、立入禁止だし。
そんなわけでこのところ避けていたのだが、なんとクラスの不良集団にトンネルの近所に住んでいることがバレてしまった。
その結果、なんと見張り番として奴らの肝試しに同行することになってしまったのだ。トンネルの前で、警察や警備員が来ないか見張っていろと言うのだ。
その晩、奴らは嬉々としてトンネルの前にやってきた。僕を踏み台にして、入り口を塞ぐコンクリートをよじ登る。一部が老朽化して、人がギリギリ通れるサイズの穴が空いているのだ。
中から馬鹿騒ぎが聞こえてくる。なんだなにもないじゃないかと。自分たちの度胸を知らしめるべく、音がどんどん遠くへ向かっていく。
音が十分遠ざかったところで、火のついた練炭をトンネルの中へ投げ込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます