第29話 アキレスVS虎之助

ゼウスと別れたアキレス達は、アメリカ村に向かっていた。

「アキレスさん、何をしにアメリカ村に行くのですか?」

 戦闘部隊せんとうぶたいの一人がたずねた。

全知全能ぜんちぜんのうのゼウス様が、アメリカ村の公園に『国際電器保安協会』のエージェントのたままり場があると、おっしゃっていた」

「なるほど、そいつらからDSPの情報じょうほうを聞くのですね」

「そうだ。我々の目的は、リンゼイ老師を殺した転生者の抹殺まっさつだからな」

 戦闘部隊せんとうぶたいの一人がゆびさしながら

「もしかして、アイツらじゃないですか」

 と、公園にたむろしている、3人の白人を見つけた。

「確か、あの男はアメリカのエージェントのライアンだな。一度いちど会った事がある」

 アキレスは、ぐライアンに向かって行く。



「おい、変なやつらがコッチにかって来るぞ」

 アンドロポプがアキレス達に気付きづいた。

「あの男、見覚みおぼえがあるなぁ」

 だれだか、なかなか思い出せないライアン。

不審ふしんな男達だから無視むししましょう」

 マーゴットは、近付ちかづいて来る男達を不気味ぶきみがっている。


 

「いやぁ、まさか冥界めいかい地獄じごくつながってたなんで、おどきでんなぁ」

拙者せっしゃも、ビックリしたでござる」

普通ふつうに考えたら、冥界めいかい地獄じごくたようなモンだからな」

 マーゴットの目の前を、虎之助とらのすけと小太郎、狂四郎の3人が湯気ゆげを出しながら歩いている。



「アンタら、また地獄じごく温泉おんせんに行って来たの?」

 マーゴットはあきれて言った。

「あそこの温泉おんせんは、サービスが最高でござるよ。特に食事が美味おいしいでござる」

 火照ほてった顔で虎之助とらのすけが答える。

「姉ちゃん、俺と同伴どうはんネコ喫茶きっさに行かへんか?」

 また、小太郎がマーゴットを口説くどき出した。

「そんな変な所に、行くわけ無いでしょ!」

「また、お前達か」

 ライアンはいやそうな顔をした。

「何や、お前。俺達が来たら迷惑めいわくなんか!」

 喧嘩けんかごしに小太郎が言った。

「そうだよ。迷惑めいわくだから、あっち行けよ!」

 ライアンも、喧嘩けんかごしになっている



「アキレスさん。あいつら、変な若者にからまれてますよ」

 ライアンと小太郎が口論こうろんしているのを見て、戦闘部隊せんとうぶたいの一人が言った。

なさけないやつらだな。俺がはらってやる」

 アキレスは小太郎のそばまで行くと

「どけ!邪魔じゃま小僧こぞう

 と、威嚇いかくする。

「何や、このオッサン。姉さん、コイツら、しばいてもエエでっか?」

「小太郎。その男は、ただ者じゃ無いでござる。気を付けるでござる」

 虎之助とらのすけはアキレスの身体からだから、かもし出す闘気とうきの巨大さを感じとっている。

「死にたくなければ、今すぐにれ」

 アキレスは小太郎に警告けいこくした。

「なに言うてるねん、コイツ阿呆あほとちゃうか。やるんやったら、いつでも、かかってこんかい」

「せっかく警告けいこくしてやったのに馬鹿ばかやつだ。んな、コイツらをってしまえ!」

 アキレスの号令ごうれいともに、6人の戦闘部隊せんとうぶたいおそって来た。

「俺に勝てると思うてるんか!」

 小太郎の両手が光りかがやき、白い神気しんきを出した。

「グフッ!」

 戦闘部隊せんとうぶたいの一人が、まともに神気しんきらいたおれ込んた。

「実は、この前、リンゼイ老師って言うジジイと戦ってから、神気しんきが出せるようになったんですわ」

 リンゼイ老師をって消化した小太郎は、リンゼイ老師の力の一部をいでいたのであった。

奇遇きぐうでござるな。実は拙者せっしゃも、神気しんきを出せるようになったでござる」

 そう言うと、虎之助とらのすけの両手が黒くなり、ドス黑い闘気とうきはなたれた。

「クフッ!」

 また、戦闘部隊せんとうぶたいの一人がたおれた。

「お前のは、どう見ても暗黒闘気あんこくとうきじゃねえか!それは悪者わるものしか出しちゃ駄目だめなヤツだろ!」

 狂四郎にまれる虎之助とらのすけ

「言いがかりでござる。これは神にちかって神気しんきでござる」

「そんなドス黒い神気しんきがあるか!」

 虎之助とらのすけと狂四郎は口論こうろんを始めた。


「ほう、神気しんき暗黒闘気あんこくとうきを出すとは。貴様きさまら転生者だな」

 戦いを見ていたアキレスは、虎之助とらのすけ達が転生者だと気付きづいた。

「転生者だったら、どうするんや。お前も神気しんきらえ」

 小太郎は、アキレスに向けて神気しんきはなった。

「ついでに、拙者せっしゃ暗黒闘気あんこくとうきらうでござる」

「自分で暗黒闘気あんこくとうきって言ってるじゃねえか!お前は魔物まものか!」

 あきれる狂四郎。

 シュバババ!!

 アキレスに神気しんき暗黒闘気あんこくとうき直撃ちょくげきする。が、しかし、アキレスは、かすりきずひとつっていない。

残念ざんねんだがかぬな」

 平然へいぜんと立っているアキレス。

「何やコイツ。全然ぜんぜんいてないやんけ」

「狂四郎も何か出すでござる」

「何かって言われても……とりあえず、やってみるか」

 狂四郎がかまえると両手から、ピューと、お湯が出た。

「あれっ。お湯しか出ねえ」

「やっぱり、狂四郎は阿呆あほでござる」

 大笑おおわらいする虎之助とらのすけ

「もう良い。がっとれ、このヘタレが」

「何だと、この関西弁かんさいべん野郎やろう!」

 小太郎にヘタレと言われておこる狂四郎。

「もう、お前らの力はかった。そろそろ死んでもらおうか」

 アキレスはすさまじい闘気とうきを3人に向けてはなった。

「うへ〜」

 虎之助とらのすけ達は3人ともんだ

「ううっ。これは純粋じゅんすい戦闘せんとう闘気とうきでござる。こんな闘気とうきを出せる男がいたとはおどろきでござる」

 ばされながら虎之助とらのすけ分析ぶんせきしている。



「あっ!思い出した。アイツはギリシャ本部のアキレスだ!」

 やっとライアンは、アキレスの事を思い出した。

だれだそれ?俺はしらないな」

「なに言ってんだアンドロポプ。あの無敵むてきのアキレスじゃないか!」

「いや、そう言われても、知らんけど」

 アンドロポプは本当に知らないようである。

「あいつの能力のうりょくは、戦闘せんとう特化とっかしていて、あらゆる攻撃こうげきかないそうだ」

「そんなすごやつだったのか」


毒入どくいりクロワッサンを、わすでござる」

 いつの間にか、メイド少女戦士マリリンに変身していた虎之助とらのすけは、ダイレクトにアキレスの口に毒入どくいりクロワッサンをんだ。

「ムシャムシャ」

 アキレスは毒入どくいりクロワッサンを食べてしまった。

美味うまい!メイドさん、もうないの?」

 意外いがい美味おいしかったようだ。

「ひぃー!拙者せっしゃ調合ちょうごうした猛毒もうどくかないでござる。コイツはバケモノでござる!」

 メイド少女戦士マリリンは逃げ出した。

唐沢家からさわけ忍術にんじゅつ地獄門じごくもん』」

 逃げながら『どこでも地獄じごくドア』を出して

んな、地獄じごくに逃げるでござる!」

 と、さけびながら『どこでも地獄じごくドア』に入って行った。

「姉さん、待って下さい!」

「俺も逃げるぞ!」

 小太郎と狂四郎も続いて『どこでも地獄じごくドア』に逃げ込む。

バタン!

 3人が逃げ込むと『どこでも地獄じごくドア』は、フッと消えた。


「クソっ!悪魔あくまどもめ、地獄じごくに逃げやがったな」

 くやしがるアキレスに

「いや、アイツらは悪魔あくまじゃなくてDSPの転生者だぞ」

 と、ライアンは訂正ていせいする。

暗黒闘気あんこくとうきを使いこなして、地獄じごくに逃げるやつらは、どう考えても悪魔あくまだろ」

「そう言われてみれば、そうだけど」

 ライアンは納得なっとくしてしまった。

「ところでお前らも『国際電器保安協会こくさいでんきほうあんきょうかい』のエージェントだろ?俺達はリンゼイ老師を殺した転生者をさがしているんだが?」

「それなら、さっきアンタに、毒入どくいりクロワッサンを食べさせたメイドの少女だ」

「あんな、小娘にリンゼイ老師がられたのか?信じられんな」

「俺は、毒入どくいりクロワッサンを食べても平気な、アンタの方が信じられんけどな」

どくなど平気へいきだ、俺はアキレスけん攻撃こうげきされる以外いがい無敵むてきだからな。それより、あのメイドに逃げられてしまったな」

大丈夫だいじょうぶ。ここにれば、また会えるハズだ。アイツら頻繁ひんぱんにココに来るからな」



「いい湯でだったでござる」

 虎之助が浴衣姿で温泉から出て来た。

「いい湯は、分かったけど、これからどうすんだよ?」

 虎之助とらのすけ達は、3人で地獄じごく温泉おんせんに来ていた。

「狂四郎は口うるさいでござるな」

「あのアキレスっていうオッサンを、何とかしないと」

「はいはい、何とかするでござるよ」

 コーヒー牛乳を飲みながら、虎之助とらのすけ適当てきとう返答へんとうしている。

「お前は、ずっとそればっかり言ってるじゃん」

「ここの温泉は最高でんなぁ」

 小太郎も温泉から出て来た。

「まったく、お前らは緊張感きんちょうかんゼロだな」

「狂四郎。お前こそ、せっかく地獄の温泉に来たんや、のんびりしようや」

「小太郎、拙者接射卓球たっきゅうするでござる」

 卓球たっきゅうだいゆびさしながら虎之助とらのすけが言った。

「エエでんなぁ、やりまひょ」

拙者せっしゃのサーブは、強烈きょうれつでござるよ」

「俺のスマッシュの方がすごいでっせ」

 2人は楽しそうに卓球たっきゅうを始めた。

駄目だめだコイツら」

 そんな2人を見て、失望しつぼうする狂四郎であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る