第21話 デビルスペシャルポリス VS 阿倍仲麻呂 中編

左近さこん居所いどころつけたのはいが、そこにはやみ結界けっかいられており、DSP[デビルスペシャルポリス]のメンバーは、往生おうじょうしていた。

さきった虎之助とらのすけと小太郎が心配しんぱいです。我々われわれきましょう」

 鬼一きいち提案ていあんにより、一同いちどう結界けっかいむかかってあるした。

 しばらくすすむと

「うへーっ!」

 というさけごえともに、小太郎がばされてた。

大丈夫だいじょうぶか、小太郎?」

 安倍がる。

大丈夫だいじょうぶじゃ、ありまへん。あれは左近さこんさんなんかじゃくて、阿部仲麻呂あべのなかまろでっせ」

「どうことだ?」

 安倍のといいに

左近さこんさんは、阿倍仲麻呂あべのなかまろられてるんや」

 小太郎は、うろたえている。

前方ぜんぽうに、なにほのおようなものが見えます」

 鬼一きいちは、前方ぜんぽうゆびさした。

「あれはドラゴンのほのおや。姉さんが、ドラゴンの式神しきがみたたかってるんや」

左近さこんり、りゅう式神しきがみ使つかうとは、なかなかの術者じゅつしゃだな」

 ちかくにってみると、りゅうとメイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが死闘しとうひろげていた。

「あれは応竜おうりゅうだ。阿倍仲麻呂あべのなかまろは、最強さいきょうりゅうである応竜おうりゅう式神しきがみせるのか!」

 おどろく安倍。

「とどめでござる!」

スパッ!!

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンの手刀しゅとうが、応竜おうりゅうくびとした。応竜おうりゅう式神しきがみは、やぶれた御札おふだもどっていく。

すごいな。あいつ応竜おうりゅうたおしやがった」

彼女かのじょは、こわいものらずですからね」 

 安倍と鬼一きいち感心かんしんしている。

毒饅頭どくまんじゅうわせて、よわらせてからころしたでござる」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが、こちらにやってた。さすがに応竜おうりゅう相手あいてにしたあとなので、メイドふくれたりかれたりしておりボロボロである。

「姉さん、パンツが見えてまっせ」

 小太郎は応竜おうりゅうたおしたことより、パンツがになるようだ。

「これは、見せパンだから、見えても大丈夫だいじょうぶでござる」

「見せパンでっか。さすが姉さんオシャレでんなぁ」

拙者せっしゃのオシャレさは、イタリアのファッションショーで、四階級よんかいきゅう制覇せいはしたほどでござる」

「へえ、ってる意味いみがわからんし、興味きょうみいですが、そらすごいでんなぁ」


「まさか、応竜おうりゅうたおせるたとはな」

 左近さこん姿すがたをした阿倍仲麻呂あべのなかまろが、ゆっくりとあるいてる。

「やっとえたな、阿倍仲麻呂あべのなかまろ。兄のかたきたしてもらうぞ」

 安倍は破魔はまけんいを《かま》えた。

「ちょっと、ってください。あのおとこころしたら、もしかして左近さこんさんもぬんちゃいまっか?」

 小太郎が心配しんぱいしていてた。

ぬでしょうね」

 冷静れいせい鬼一きいちこたえる。

駄目だめですやん!」

仕方しかたがない。あのおとこかしておくと、おおくの人がことになる」

「そんなぁ」

 小太郎は、ひざとしてなげいている

大丈夫だいじょうぶでござるよ」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが小太郎のかたに手をき、なぐさめにた。

「どう大丈夫だいじょうぶなんですか?」

拙者せっしゃが、左近さこんくるしまないように一瞬いっしゅんくびとすござる」

全然ぜんぜん大丈夫だいじょうぶじゃないですやん!!」

「しかし、阿倍仲麻呂あべのなかまろだけころして、左近さこんたすける方法ほうほうと言われるとむずかしいな」

 鬼一きいちかんがんでいるが、そうなやんでもられない。そのあいだに、一人ひとりたたかっている安倍はされ気味ぎみである。

「とりあえず、拙者せっしゃがこの毒饅頭どくまんじゅうを、アイツにわせるでござる」

 と言い、素早すばやくメイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは、阿倍仲麻呂あべのなかまろかってった。

「うわぁ、どうしよう。あんな物食ものくわされたら、左近さこんさんがんでまう!」

 小太郎は相変あいかわらず、うろたえている。



「この饅頭まんじゅううでござる」

だれべるか、そんなもの。お前の相手あいては、こいつだ」

 阿倍仲麻呂あべのなかまろは、巨大鎧きょだいよろい武者むしゃ式神しきがみして、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンにけた。

唐沢家忍術からさわけにんじゅつかまいたち』!」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが右手みぎてを、上からたてろすと巨大きょだいよろい武者むしゃたて左右さゆうたおれた。

 巨大きょだいよろい武者むしゃたおれたのを見届みとどけると、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは、阿倍仲麻呂あべのなかまろかってはしすが、何者なにものかにえりつかまれ、反対方向はんたいほうこうほうげられた。

「誰でござる?」

 たおれたまま、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンが、自分じぶんげた相手あいてを見てみると、たおしたはずの巨大きょだいよろい武者むしゃである。

あまいぞ小娘こむすめおれ巨大鎧きょだいよろい武者むしゃは、何度なんどでも復活ふっかつする」

 阿倍仲麻呂あべのなかまろほこっている。

大丈夫だいじょうぶでっか、姉さん。ブラジャーが見えてますけど?」

 小太郎が、ブラジャーの心配しんぱいをしてやってた。

「これは、見せブラだから大丈夫だいじょうぶでござる」

「さすが、姉さん、オシャレでんなぁ」

 小太郎は、ひどく感心かんしんしている。

復活ふっかつする式神しきがみは、はじめてでござる」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは、そら見上みあげて、師匠ししようおしえをうた。

「お師匠ししようさま

 すると、そらにスマートでハンサムなわかいおとこあらわ

虎之助とらのすけよ、この不死身ふじみ式神しきがみなどない。復活ふっかつしているように見せかけているのです」

 と、適切てきせつなアドバイスをおこなった。

「お師匠ししようさま、ありがとうでござる」

 メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは感激かんげきして、おれいを言った。

「あれっ。あいつの師匠ししようって資料しりょうによると、小太こぶとりで中年男ちゅうねんおとこ伊賀いがくりすけじゃなかったっけ?」

 不思議ふしぎおもった鬼一きいちは、小太郎に確認かくにんしてみた。

「その、くりすけ裏切うらぎられたショックで、姉さんの脳内のうないではイケメン師匠ししようわったんですわ」

「そんな馬鹿ばかな!」

 鬼一きいちあきれているあいだに、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは、なにやら呪文じゅもんとなえだした。

忍法にんぽうピーグルアイ!」

 忍法にんぽうピーグルアイとは、術者じゅつしゃがピーグルけんおな視力しりょくになる忍法にんぽうである。ただし、ピーグルけん視力しりょくが、ひとよりもすぐれているという事実じじつまったい。

 ピーグルアイで、周辺しゅうへん見渡みわたしていたメイド少女戦士しょうじょせんしマリリンは、なにつけたようで

あやしい式神しきがみを見つけたでござる」

 と、いながらはしってく。

 そこには、一匹いっぴきねこ式神しきがみり、御札おふだ数枚持すうまいもっている。

「この猫野郎ねこやろう!」

 ねこ式神しきがみひたいに、メイド少女戦士しょうじょせんしマリリンがげた手裏剣しゅりけん命中めいちゅうした。途端とたん巨大鎧きょだいよろい武者むしゃねこ式神しきがみえて御札おふだもどった。

「この巨大鎧きょだいよろい武者むしゃ式神しきがみがやられると、ねこあらたに巨大鎧きょだいよろい武者むしゃ式神しきがみして、復活ふっかつしたと見せかけていたでござる」

「なんと!式神しきがみせる式神しきがみかくれていたとは。しかし、そんな式神しきがみせるとは、阿倍仲麻呂あべのなかまろという男、おそろしいやつ

 鬼一きいちは、阿倍仲麻呂あべのなかまろ陰陽師おんみょうじとしての能力のうりょくたかさにおどろいた。

 応竜おうりゅう巨大きょだいよろい武者むしゃたおしたのはいが、阿倍仲麻呂あべのなかまろころしてしまうと、左近さこんんでしまう。

 安倍たちDSPのメンバーは、今までとは勝手かってちが相手あいて戸惑とまどうのであった。

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