1-2:迷いの森
S ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄| | ̄
|止| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
 ̄ | | ̄ ̄
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
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|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| G=ゴール地点
 ̄ ̄ ̄
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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| | ̄
| | | | | |
| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| | | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| | |  ̄ ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| |  ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| | | | | | ̄
|  ̄ ̄| | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄| | | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| ̄ ̄ | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | |
| | ̄ ̄  ̄ ̄ ̄
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |  ̄ |
 ̄ ̄
茂みを抜けた先の細道は、 | | |止|
まるで迷路のように入り組ん | |  ̄
でいる。ノアンに腕を引かれ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
ながら曲がり角を幾つも曲が  ̄
って、何度つまづきかけただろう。けれど、 | |
懸命に声をかけてくれるノアンに苦労をかけ | |
られないと思えば、何とか踏ん張って付いて | |
これた。 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄
| | ̄
| |  ̄
| | 何分もの間走り続けただろう。森が | |
| | ずっと暗いままだということ以外に、 | |
| | 今の時間については何も分からない。 | |
| | ただ、次第に自分で足を動かせるよ | |
| | うになってきた。ノアンの飛ぶ速さに | |
| | はまったく追いつけないけれど。 | |
| | それにしてもノアンは凄まじい速さ | |
| | で進む。後ろを追っていた狼はいつの | |
| | 間にか見えなくなっている。後は彼女 | |
| | が言っていた安全な場所へ辿り着けば | |
| | いい、はずだ。 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄止 | | ̄
| |
| | |止| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 妖精ってすごい。
| |  ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | ̄ | 疲れて乾ききった口からもれ
| | | | ̄ た呟きが、本人に聞かれていた
| | | | かどうかはうかは怪しい。
| | | | ノアンはただ前を目指して、
| | | | 私の目線の高さを滑るように飛
| | | | び続けていた。
| | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|  ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
 ̄ ̄ ̄| | |止| | | | |
| |  ̄ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 止 |
| ̄  ̄|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| G |
 ̄ ̄ ̄ ̄
「ミサキ、着いたノ。もう大丈夫ナノ」
ノアンが飛ぶ速度をゆるやかに落としていき、やがて緑色の低い壁の前で止まった。
優しく声を掛けてくれる一方で、私は肩で息をするのに必死だった。立つのがやっとなほどに意識は朦朧としていて、悪いと思いながら返事をしないままでいる。前ばかり見ていた視界は極端に狭まっていて、周りを見渡すのに時間がかかる。
幾らか首を回しても、目的地と思える場所は見当たらない。代わりに進路を塞ぐような低い木々が目の前にぎっしり詰められている。
どうやら行き止まりに来てしまったみたいだ、着いたという言葉は都合のいい幻聴だった、なんて考えていたけれど。
「ただいまナノ。この人も一緒に入れてほしいノ」
誰もいない中でノアンが
枝がうごめく。ねじ曲がる。葉がこぼれ散る。
なんと目の前で密集した木々が一斉にひしめいて、私が四つん這いで入れそうなほどの通り穴を作ったのだ。
「驚いたノ? ここの木達は自分の意思で動けるノ!」
ただいまと言ったし自分の住処だからかな。ノアンはずいぶん誇らしげに笑顔を向けてくる。
一方で、私が返したのは苦笑いだったかもしれない。
さっきからおかしな状況ばかりが続いて、頭がいっぱいいっぱいというのが本音だ。申し訳ないけれど魔法のような現象に素直に驚くよりも、常識外れな事態に警戒する心の方が
「……あの、ちょっと、待って」
先へ進む前に、やっと引き止めることに成功した。
笑ったまま「どうしたノ?」と首をかしげるノアン。私は山ほどある質問の中から、ずっと気になっていたことを訊いた。
【質問を選択してください】
▷ ここはどこ?
あなたは何者?
さっきの狼は何?
さっき吹いた風は何?
なんで助けてくれた?
「なんで、助けてくれたんですか」
「えっ?」
「あ、いや変な意味じゃなくて、単純に疑問に思った、だけなんです」
素っ頓狂な声を上げられて、つい焦ってしまう。
慌てて言い訳がましく言ったけれど、噓というわけではない。確かにこの森や不思議な木のことを差し置いてこの質問というのは、やっぱりおかしかったかもしれないけれど。
それでも真っ先に疑問に思ったことだ。と言うより、「疑った」と言う方が正しいかもしれない。
「そんな、大した理由じゃないノ」
「……大した理由じゃないのに、巻き込まれる危険まで冒したんですか?」
「さっきの
「えっ……」
ぱっちり目を
命の危機だったのに気にしなくてもいいなんて、裏があるにしても簡単に出てくる言葉とは思えない。だから「大したことない理由」の中身を知りたくて、さらに探りを入れた。
「あ……実は私、記憶がないんです。だからもしかしたら以前に知り合ったことがあるのかな、と」
「記憶がない、ナノ? ううん、ミサキと会うのは初めてナノ」
「え、じゃあ、なんで」
半ばパニックになりながら問い続ける。
すると突然、平静を保っていたノアンが叫び出した。
「ああもう、見掛けて放っておけなかったから助けただけナノ! これ以上はやめるノ、恥ずかしいノ!」
流石にしつこいと思われたからか、ノアンは赤面して両腕をぶんぶん振って、その後さっと木々の向こうへ隠れてしまった。
──反省している。途中から訊きすぎという自覚はあったけれど、もやもやを晴らしたい欲求を抑えきれなかった。
思うことは色々あるけれど、何にせよ迷惑をかけたのは間違いないから謝らないと。そう思い口を開こうとすると、
「話なら中でゆっくり聞くノ。だから落ち着いてナノ」
あくまで助けになろうとしてくれるノアンを、これ以上
この森に来てから分からないことだらけで、身の回りの全部を疑ってばかりだけれど。少なくともノアンは「
言われた通りに、まずは落ち着くべきかもしれない。私は奥でノアンと顔を合わせてから、残りの質問をすることに決めた。
【質問を選択してください】
▷ ここはどこ?
あなたは何者?
さっきの狼は何?
さっき吹いた風は何?
なんで助けてくれた? [check!]
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