◇2024.5.11◇日記のような手紙◇
5月11日(土)ブルーソネット
久しぶりに懐かしい漫画を見つけて読んだ。
「紅い牙 ブルーソネット」柴田昌弘
あらすじはこんな感じ。
《紅い牙と呼ばれる超能力持つ少女小松崎蘭と、秘密結社・タロンが作り出したサイボーグ少女ソネット・バージの闘いを軸に、その背後にある古代人類の怨念も描いた作品。『ハトの旋律』の続編となる『紅い牙』シリーズの第7作。》
このシリーズ自体、かなりテーマが重い。
名作だと思いながら、ずっと読み返せずにいたのも、この哀しさ、やりきれなさ故かも。
それほど忘れ難い作品であるともいえる。
特に、この「ブルーソネット」のラスト、"バードの最期の選択"に、その頃のわたしは納得がいかなかった。
最期の最期で何故バードはソネットと共に逝くことを選んだのか?
ソネットを哀れに感じながらも、結果的に最期をバードと共にできたソネットはズルいと思ってしまった。
バードの蘭への深い愛をずっと見てきたから(多分、それは最期まで変わることがなかった)
それでもソネットを見捨てられなかった、男女としての愛でなくても共感や情……で共に逝くことを選んだバードにも、どうして?という思いが消えなくて。
ただ、歳を重ねた今、読み返してみて(それでも、やっぱりラストを再読するのには勇気がいった)思った。
人は、それでも選ばないといけない時がある、ということ。
ソネットの壮絶な人生のなかで、唯一の温かい存在がバードだった。
そして、バードもそのソネットの一途な想いを振り切ることはできなかった。
これは、どちらを愛しているというよりも、違った愛の形なんじゃないか。
本来なら選べないもの。
だけど、バードは孤独なソネットを一人で逝かせることはできなかった。
ましてや、自分の命も残り少ないとわかっていれば尚更。
ああ、上手く言えないな。
言葉にしてしまうと何だか薄っぺらくなってしまう。
そんな簡単なものじゃないんだ、きっと。
わたしはそれでもたぶん、今でも、この最期の選択に、ソネット良かったね、とは思えない。
バードは蘭なら大丈夫、そう思ったんだろう。
そうかもしれない、蘭は乗り越えて歩いていく。だけど、傷は消えるわけでなく、その孤独な道のりは続くのだ。ずっとずっと。
ソネットは最期に救われた。
バードにそれを選ばせたのは、無意識だろうけど、ソネットの可憐な儚さだ。
ごめん。
わたしはやっぱりソネットを好きになれない。
それは共に逝ってくれる人を得ることができた、ソネットへの羨望なのかもしれないけれど。
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