◇2022.11.11◇あなたへの手紙

11月11日(金)☀晩秋の日に


🌿「ラプンツェルの空」について🌿

 📖あとがきのようなもの📖

※少し内容に触れた(ネタバレ?)部分があります。読んでいただく上で問題はないと思いますが気になる方はご注意くださいませm(_ _)m


「ラプンツェルの空」を無事に完結することができました。

( ⁎ᴗ ᴗ⁎)ペコッ

読んでくださった全ての方に、改めて御礼申し上げます


実は、もう長い物語(わたしにとっての長い、ですけれど)を新しく書くことは気力的にも体力的にも難しいだろうと思っていました。


だから、尚更、皆様から励ましと応援をいただきながら、こうして物語を完走できたことは、嬉しさもひとしおで、これからの力をいただいた思いです。


ラプンツェルの物語は元々好きでした。

ただ、上手くいえないのですが……より惹かれることになったのは『高い塔に閉じ込められた娘』というモチーフから色々なイメージが浮かんできてからでした。

そこから広がってできたのが「ラプンツェルの空」という詩です。

そうしてまた、そこから膨らんで、このお話は生まれました。


テーマは『それぞれの想いと愛の形』

原作では、おばあさんは魔女でラプンツェルとは他人ですし、関係性も敵対者といえます。


でももしも、おばあさんとラプンツェルが祖母と孫娘で、そこに過去に起きた悲劇からの、愛情ゆえの思いがあったとしたら?

もう二度と失いたく無いための束縛。過度に歪んだ形ではありましたが、それでもこれは、おばあさんの愛。


決して健全な状態とはいえないけれど、おばあさんとラプンツェルの間には確かにお互いを思いやる温かなものが通っています。


ユージーンと出逢って、ラプンツェルは塔の窓から見ていただけでない外の世界を少しずつ知っていくことになり、おばあさん以外の大切に思う存在……愛を知ります。

そして、おばあさんもまた、庇護する愛から、束縛を解き見守る愛へと変わっていくのです。


ユージーンも、複雑な環境のなかでラプンツェルとの愛を支えに、これを乗り越えていきます。


わたしはこの「ラプンツェルの空」を御伽噺おとぎばなしよりも、もう少し血の通った人間の物語にしたかったのです。


最終話で、この「ラプンツェルの空」というお話が、野原千草という女性が書いた本だったことが明らかになります。


ここで入れ子構造?になっていたことがわかるのですが、これもどうしても書きたがったことでした。

この部分ではラプンツェルと千草の人生を重ねて千草がつぶやきます。

『ああ……ラプンツェルのユージーンは最後には帰ってきたけれど、わたしのあのひとは、もう帰ってはこない。空の上へと逝ってしまった』


ここには願いつづければきっと叶うという御伽噺おとぎばなしと、それでもどうしようもないこともあるのだという苦く残酷な現実があります。


人は御伽噺おとぎばなしのなかでは生きていけない、だけど信じ続ける想いと約束の尊さを、その胸に抱えながら生きていくことはできる。


疲れ果てて塔に閉じこもっても、いつか顔を上げて扉を開けて……。


「世界にはたくさんのラプンツェルがいるのだわ」


「……愛に囚われてしまったままのわたしたちって、不器用ね」


千草のつぶやきは、わたしのつぶやきでもあります。


🌿🌿🌿📖🌿🌿🌿

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