◇2020.12.4◇(曇)長い手紙になりますが。
12月4日(金)☁長い手紙になりますが。
昨日、病院で父と面会をしてから、ソーシャルワーカーさんと面談してきました。
父のせん妄は酷くなり、猜疑心や被害妄想が強くなってきました。
元々、昔気質で言い出したら聞かない所はありましたが、有言実行の人でした。
だから尚更、自分の身体が思うようにならなくなるともどかしく、そのもどかしさがわたし達への苛立ちになるのでしょう。
父という人は強いようで反面、
それは、どんな雨風にも倒れなかった大木が何かの拍子に呆気なく折れてしまうのと似ています。
やっとの思いで、面会の許可を病院からいただいて、顔を見て話せたと思ったのに、今回の父の反応は怒りと拒絶でした。
「何故いつまでも、こんなところで俺を放ったらかしにしているんだ。家に連れて帰れ!普通なら(もし自分なら)親をこんなままにはしていない。お前は、もう当てにできない。俺がどうなってもいいと思っているんだろう!」というのです。
コロナ禍のことも面会がなかなか難しいことも勿論話していますが、薬の影響で記憶が曖昧になっているようなのです。
それと現在は大部屋なので(重症患者用の部屋)周りの方のことも気になるようです。
「コソコソ何か言われている。悪口を言われている」と言います。
手を握ろうとしても睨んで振り払われるし、「何もする気がないなら、言いたいことは3文字だけ「カ・エ・レ」」と。
今は食事も頑なにいらない、と食べないそうです(吐き気がしたりで食べられないというのもあると思います)何とか点滴で栄養をとっている状態ですが、点滴もどうかすると自分で抜いてしまうので病院でも困っているようです。
誇り高き父。
でも、せん妄が出てくるとそのプライドが意固地さや猜疑心に変わってしまうのは哀しいことです。
いえ、変な言い方ですが、わたしに対しての罵詈雑言ならいいのです。
わかっているつもりですから。
ただ、あれほど可愛がってきた、そして今も一生懸命、父を支えて尽くしてくれている息子たちにそれが向かうのは辛い。
それでも、このせん妄は終末期に誰でも起こること。
病の痛みや苦しみ、それも治る希望のない終末への道です。
ましてや今回、今はコロナ禍です。
理性より不安や寂しさが増すのは当然とも言えます。
夫や母も癌でしたが、付き添いが出来たから、少しは違ったのだと思います。
わたしは夫を亡くしたあの時から、ずっと考えてきました。考えずにはいられなかった。
わたしだったら、わたしは果たして、先人達のように、ちゃんと死に向かっていけるのだろうか……と。
だから、父のことを、今のせん妄状態を、みっともないとは間違っても思えないのです。
罵詈雑言を吐かれるのは哀しいけど、怒る気になれない。
わたしだったら、もっと酷く取り乱す気がするから。
********
元々、今の病院から緩和ケア病院への転院する予定でしたが、そこは全室大部屋なのです。
息子と話して父との面会の後、ソーシャルワーカーさんとも話し合い、ホスピスの専門病院へと転院をお願いしました。
ホスピスの病院なら全室個室で面会も今より回数が少しでも増やせそうなのです。
ネックは最初に予定していた緩和ケア病院より遠くなるということですが、まずは個室ということを最優先させたいので。
そして、今日、そちらのホスピス専門病院に次男とわたしで見学に行ってきます。
転院の日にちは病院の受け入れ態勢が、いつ整うかによるでしょうが、出来るだけ早くとお願いしてみるつもりです。
何とか少しでも、穏やかな気持ちで残りの日々を送らせてあげたい。
今はひたすらそれだけです。
無力な娘ではありますが、せめて、と思います。
心落ち着かぬままの乱文をお許しください。
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