◇2020.11.1◇(晴)山の家にて

11月1日(日)☀山の家にて

やっと退院した父の顔を見に実家に来ることができました。


荷物を取りに自宅に一時帰宅した時に、体調を崩してしまったわたしは、父の退院の時も訪問介護についてケアマネージャーさんや、ヘルパーの方との打ち合わせにも参加できず。


実家で父と同居している次男が、それらについて進めてやってくれています。


そして……自宅に帰ってきた父と久しぶりに会ったのですが、無理もないことながら、いつもに輪をかけて気難しくなっており……。

次男には普通に話すし、信頼しているようです。長男や末っ子にもそれなりに話すのだけど。

わたしには、まったく口を利いてくれません。

話しかけてもこちらを見ずに頷くだけ。


仕方ないことなのだろうと思います。

実際、今のわたしが父の為に何ができるわけでもない。

わたしの体調の事は父も知っていますが、今は父自身、自分のことで精一杯だろうし。

退院の時にも来なくて息子達に任せっきり。顔も出さない冷たい娘と思われているのかもしれません。


父が息子達を、特に同居している次男を信頼してくれているのは嬉しいことです。

次男に「ありがとう」と父が言っているのを聞けば、ああ良かった、と思います。

日々暮らし介護するものにとっては、その言葉はどんなにか励みにもなりますから。


心配していたのは同居の次男が一人で抱え込んだりして頑張りすぎてしまわないかということで、その支えにせめてと思っていたのに、結局はわたしはこの有様で。


父のこれからの残された時間を、できる限り気持ち穏やかに過ごせるように。

そして、次男の負担を少しでも何とか減らせたら。


今、大切なことの全ては、それだけ。


なのに、ここに来て、父のわたしへの反応に傷ついている情けない自分がいます。

わかっているのです。

いっぱいいっぱいを闘っている今の父なのだから。


それでもこんな時に思い出してしまうのです。

母と出会えたことが人生で一番の幸せだったと言っていた父。

それほど手放しで母は素晴らしい女性だったという父の口から、お前が生まれてきてくれて良かった。ここにいてくれて良かった、という言葉は聞けないままでした。


幼い頃は、父の手の中にいた頃は愛されていたのだと、思う。

でも、父の願った人生を送れなかったわたしは?


わたしに失望したから、孫たちにその分を託してきたのでしょう。


父にとっての一番は母で、その後は孫たち。


お父さん、わたしの方はもう見てもくれないのですか?


おかしいですよね。いい歳をして、小さな女の子みたいなことを。


ごめんなさい。


今日の手紙は、とりとめもないことばかりで。

きちんとした大人になれないままの見苦しい自分を今更ながら露呈してしまっていますね。


でも、ありがとうございます。

こうして、書くことで気持ちを整理して落ち着かせています。


こんな煩悩と葛藤ばかりのお見苦しい手紙ですが、あなたに甘えて話したくなったのかもしれません。


いい歳をして……と笑わないでね。


わたしはあなたに頭を撫でてほしくなったのかもしれません。


ごめんなさい。


いつもありがとう。


ごめんなさいね。

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