第25話 独白⑤ プレイヤー名「ドライバー」 配布シム「セキトバ」
いやー、社長はすごい! 社長は素晴らしい!!
なんということなのでしょうかッ!
わたくし、改めて感じ入っている次第でございます。
こんなことまで出来てしまうなんて!
こんなアトラクションを、いつご注文になったんでしょうか?
あ、いえいえ。そうですよね。わたくしめが気が付かなかっただけ。
たはーっ。
いやー、このウドの大木めの面目、ございません。
――え? わたくしの面目? あ、元から無い、と。
ですよねー!
ただ、そんなわたくしめの節穴でも、解っている事はございます。
わたくしをここに送り込んだ訳!
解っていますよ社長。「言葉の裏を読め」、ですよね?
言われたことをそのままに受け取るのではなく、その言葉の裏に何があるのを察する様にしろ。
いやぁ、懐かしい。私が社長に拾っていただいた頃に、幾度となく教えられたことですね。
生き残りたいからと額面通りにゲームを遂行してしまえば、このような、あなた様の元妻まで殺してしまうことになる。
それでは失格なんですよね?
社長は、自分が捨てたものだからといって、それを誰かが手に入れることを嫌うお方。
この女どもにしても「もう用はない」、と言われながらも、長年監視を付けておられましたね。
わたくしめもたびたび、その任につかせていただきました。
――となれば、私の今やるべきことは明白。
このゲームの参加者を選別することですね。
解っておりますとも、社長にとって価値のあるものと価値のないものとに振り分ける。
そして、それが出来るのは、わたくししかいない! と。
感激であります! 社長がそこまでわたくしめを評価してくれていたなんて!
お任せください。
あなたのものは私が管理いたします。
さて、このウドの大木が愚考するところ、このプレイヤーの中で社長にとって価値のありそうなモノは二つ。
一つはこの元妻。
そしてもう一つは、あの女ですね?
よく理解しております。確かに、アレは社長の所有物。生かすも殺すも、社長の意思によるものでなければなりません。
お任せください。あなた様の所有物、確かにこのわたくしが選別し、守り抜いて見せましょう!
なんて。あ、ちょっと調子に乗りすぎでしたね? たはーっ!
――――っと。ああん? なんだぁ、コイツは?
ああ、知っているぞ? 覚えているぞ!
そう。たしかに、この頭の片隅に!
そうだぁ! たぁしか、この女の近所に住んでいたゴミだったな。
ええ! 社長のご指示の通り、周辺の下々の者どもについても、隅々まで調べておりますよ!
いい年をして働きもせず、家の中に引きこもるゴミ。
なんでこんなゴミまでこの選別に迷い込んでいるのか……。
こんなゴミが、なぜ日々社長の下で労働の喜びに震える私のような人間と同じ空気を吸っているのでしょうか?
まったくふがいない。
そうですね。社長の思惑、わたくしにも察して余りあるものであります。
世の中には、社長の役に立てないゴミが多すぎます。
それを選別せよというのですね?
これから、このようなゲームを幾重にも繰り返して。
ええ、ですからこのゴミを……
――ああぁぁッ!! ももも申し訳ございません、社長!!!!
社長にゴミの話なんてする時点で間違っておりますな。
たはーっ。申し訳ございません!
いえ、本当にお耳に入れるようなことでもございません。
ただのゴミです。
速やかに廃棄いたします。
それでは社長。あなた様の女たちを確保し、他のゴミを始末いたします。
あと、ほんの少しだけお待ちください。
即刻、社長の元に舞い戻ります!
そしてこれからも、末永く社長の元で働けることを、感謝いたしております。
それでは、それでは。
特殊シム「セキトバ」
機能:馬型のホログラムを出現させることが出来る。
ホログラムに騎乗することで、圧倒的な機動力を与えてくれる。
強靭な防御力と突撃による攻撃力を有し、騎乗している間は無敵になり得る。反面燃費は悪く、使いどころは限られる。
ある程度自立して動き、指示に従って勝手に戦ってくれるため初心者向きともいえるシムである。
指示は通話状態で行うので、スマホが手もとに無いという事を聞かない。
最大レベルまで成長するととゲーム中最強のユニットになる。
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