第18話 独白② プレイヤー名「レイヤー」 初期配布シム「ビフレスト」

 いや~、参りましたねぇ。


 衣装合わせの最中にこんなことになっちゃって


 んまー、最初に集められた時なんて、他のプレイヤーの人達の視線が痛いのなんの。


 まぁ、おかげでうちの上司にも私だってバレてないみたいで、一安心でしたけどね。


 ――そう! そうなんですよ! 上司いたんですよ! おんなじ職場の! 信じられます?


 あ、私一昨年くらいから、社長秘書みたいな事させていただいてるんですよ。


 その前は保母さんとかしてたんですけど、いえ、腰やっちゃいましてね。

 

 あれって、体力使うんですよ。子供、好きだったんですけどねぇ。


 ま、今もスケベなおじさんのおもりをしてるって意味ではあんまり変わってないみたいですけどね。


 今の上司の、鶴の一声で秘書になれたのだって、結局私の胸とかしか見てないからなんです。


 あ、私、Hカップあるんですよ。スゴいでしょ?


 そりゃ、昔っからのせいでろくなことになってないですけど、コスプレする上では、はっきり言って「武器」なんですよね。


 いやぁ。これも始めたばっかりなんで、ニワカもニワカなんですけど、のおかげでもう大人気ですよ。


 まるで生まれ変わったみたいです。私のフォロワー何人いると思います!?


 しかも、のおかげで高いお給料がいただけますし、その上趣味も好調。言うことなしです。


 そう、わたし、人生が順風満帆なんです。いい感じなんです。ようやく人生のギアがかみ合った、そんな感じなんです!


 ――だぁからぁ、ここで死んじゃうのとか、ないんですよねぇ。


 うん、ないない。よりによって公私ともにこんなに充実してるときになんて、ありえないですよ。


 だから、追い風ぱんぱんの勢いに乗って、このゲーム、軽くクリアしちゃおうかなって思ってるんですよねぇ。


 さて、それじゃあ、どうしましょう?


 さっきも言いましたけど、上司いるんですよね。ま、上司なんて言っても社長の運転手みたいなもんですけどね。


 ウチの社長って超敏腕な上にワンマンな人で、もう、全部任せちゃえばうまくいくんですよ。だから、この上司の仕事と言えば太鼓持ちだけ。


 情けないですよねぇ。デッカい体してペコペコしちゃって。


 ま、そんなんでも私を(私情で)採用してくれた恩人なんですけどね。


 で~も、でも! はいムリ!


 協力とかムリ!


 ありえないですから。基本的にセクハラしかしてないですしねあの人。


 もうね。毎日飽きないのかって言いたいぐらいですよ。触られてるだけで妊娠しそう。


 そう言うわけで、さんざん触らせてやったんだから、恩は返したってことでいいでしょ。いいよね?


 ナンマンダブナンマンダブ……成仏してください♡ って感じです。


 実際、ここで消えてもらう方が、あと腐れがないですよね。むしろちょうどいいっていうか。 

 

 なので、頑張っていきたいと思います。なにせ今の私って、勢いありますからね!

 

 ――ただ、だからって直接殺しあうなんてフツーに嫌なんで……そうだ。罠を仕掛けるようにしましょう。


 私のシムはそれに向いてるみたいですし、それで、皆一つの部屋に押し込んじゃいましょう。


 それで、私以外の人達で、同士討ちとかしてくれると嬉しいですね。


 あとは何でしょう? あ、落し穴? うんうん。良いこと思いついちゃった。


 さて、そのためには――どうしましょう? なにからはじめましょうか……ウフッ。






 特殊シム「ビフレスト」


 機能:任意の場所への「ワープゲート」の設置。


 レベルが上がることで一度に機動させられるワープゲートの数が増える。


 ワープゲートはプレイヤーだけでなく、エネミー・アイテムなどもワープさせることが可能。


 他、マップを俯瞰することのできる機能もある。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る