第15話 独白① プレイヤー名「ドキュン」 初期配布シム「ロンギヌス」
チキショウ。チキショウなんだってこんなことになっちまったんだ……。
思えば、あの時だ。あのときからケチがつき始めたんだ……。
キチショウ! チキショウ! あの野郎、俺をはめやがって!
俺を脅しやがって……。
なんで俺がクサの転売なんてしてんのを知ってやがったんだ!?
チキショウ! いまさら前科者になんてなるわけにはいかねぇのによぉ。
たかし。たかしよぉ。すまねぇたかしよぉ。
父ちゃん、魔が差しちまっただけなんだ。
お前にいい暮らしをさせてやりたくてよぉ。
たかしよぉ。
どーしてこんなところでケチが付いちまったんだろうなぁ?
クソ、あの野郎、俺に妙なことばかりさせやがって。命令なんかしやがって。
きっとそのせいだ。
あの命令のせいで、俺はここにいるんだ。
なんでそうなってるのかなんてわからねぇが、きっとそうに決まってる。
そうだよなぁ、たかしよぉ。
けどな。ヘヘ、けどなぁ、たかしよぉ。
いいものがあるんだ。
こんなところへよぉ。押し込まれててもなぁ。良いことはあるんだぜ?
そうだろ? そうだろ?
見てみろよ、この〝スマホ〟だ。
ん? そうだな、いくらでも買物ができるんだぜ?
そうだ。転売しだってし放題だし、いくらでもゲームできるぞ。
けどなぁ、たかし。たかしよぉ。
こいつが本当にすごいのは、もっと別のとこなんだぜ。
へへへ。そうだろ? 聞きたいよな?
クサなんかよりもな、とんでもなくいいんだぜ?
どんな怪我でも治っちまう。
スゲェだろ!
これさえあれば、ヤクザだろうが、けーさつだろうが恐くねぇ。
へへっ。クサ代で吹っ掛けてきやがったあの中国人共だって、恐くねぇじゃねぇか。
無敵だ。こいつがあれば無敵なんだぜ、たかしよぉ。
これに勝てば、最後まで残ればよぉ、たかしよぉ。
こいつを持って帰っていいっていうんだぜ!?
もちろんたんまり金ももらえる。願ったりかなったりじゃねぇか。
待ってろよたかし。たかしよぉ。
お父ちゃん。頑張るからな。ぜってぇ帰るからな。デケェみやげ抱えて帰っからな。
なぁ、たかし。たかしよぉ。
お前に会いてぇなぁ。お父ちゃん、頑張るからなぁ……。
全員ぶっ殺して、頑張るからなぁ……たかしよぉ……。
お、見てみろよたかし。――あの女、見たことあるぜ。
あの時だ。あのガキ、あの時のオネエチャンじゃねぇの。
あの野郎に命令された時の、あのオネェチャンだ。
やっぱりこの仕掛けは、あの野郎が絡んでるに違いねぇ。
俺をハメて命令してきやがった、あの野郎がな。
けど、こいつはいい機会だ。そうだろたかし。たかしよぉ。
あんときはハジかかしてくれたからなぁ。
あんときの礼をしてやろうじゃねぇか。そうだろ? たかしよぉ。
キキキ、キキキキ……。楽しそうじゃねぇか? なぁ、たかしよぉ……
特殊シム「ロンギヌス」
機能:あらゆる負傷・疲労の復元・回復。
所有しているだけで、あらゆる負傷が改善されていく。
さらに、槍の穂先を形成することで刺突攻撃が可能。
レベルが上がることで攻撃範囲と威力が向上し、さらに所有していないプレイヤーにも治癒の効果を及ぼすことが可能になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます