オレオレオマエ

御手々ぽんた@辺境の錬金術師コミック発売

第1話 オレオレオマエ

「はい、もしもし?」


「おおっ、繋がった! オレオレ!」


「……」


「いや、だからオレだって!」


「オレさんなんて知りませんよ。ありきたりすぎません? 詐欺としてすら」


「違うんだよ! オレオレ詐欺とかじゃないんだよ! オレはお前でお前はオレなんだよ!」


「何ですか、いったい。切りますね」


「待った待った! 本当にオレはお前なんだって。ほら、試しに自分自身について、何でも質問してくれ! お前が覚えている限り答えるからさ!」


「……初恋の時期は?」


「聞かれたら、小学生って答えているが、実は大学入ってからだろ。言わせんなよ! 恥ずかしいっ!」


「……」


「……」


「いいでしょう。これ以上は俺のダメージが、大きそうです。それでオレさんは何の用ですか?」


「おお! さすが俺! 話が早くて助かるぜ!」


「さっさと用件を」


「そうだな。いいか、お前は今、駅前通りの歩道にいるな。そこに、このあとトラックが突っ込んでくる。お前はひかれて、異世界転生するんだ。その途中、神様にあう。何でもチートを貰えるって言われ、過去の自分と通話出来るスマホをもらって今電話している。お前がオレならわかるだろ、今すぐ右に避けろっ!」


「!」


「おい! 俺! 避けられたかっ!? 今日はこの後、プロポーズするんだからなっ!」




「ゴハッ! うぅ、トラックは避けたが、トラックの先にいた、バイクとぶつかっちまった……。血、止まらねぇゃ……」




「ぱんぱかぱーん。転生おめでとうー!神様だよっ! さっそくだけど、異世界記念にチートを上げよう! 何がいいかなっ?」


「……過去の自分と通話できるスマホで」


「はい、どうぞー。今度は、上手くいくといいねー!」

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