修学旅行へ旅立つメイド【私】の物語。
う、わー。心が躍る!だってハワイなんだもん!
羽田空港への道中、私の心は高鳴りっぱなしです。ハロウィンが終わって11月。ついに楽しみだった修学旅行!
なんと奏の出国許可も出て晴れてみんなと同じチャーター便に乗れます。今回はリアム君たちもプライベートジェットでの参加だそうです。やっぱ
「ずるいよ二人とも!会長の私がエコノミー(クラス)なのに!」
紗栄子が私と奏の席まで来て文句を言う。ごめん。奏と私は「旅行積み立て」してないから移動とホテルは別払いなんだよね。移動の飛行機がファーストクラスで、みんなと同じホテルに宿泊じゃなくて
「おい、離陸するから席戻れー。」
担任の渡邉先生も羨ましそうにこちらを見ていた。紗栄子が恨めしそうにこちらを見ている。
「先生、あれは良いんですか?」
「良いんだよ。高山はきっちり金を払っているからな。いいか市井。これが格差というものだ。覚えておけよ。平等主義は学校で終わりだからな。社会に出たら嫌でも思い知るんだからな。今から慣れておけよ。というかああ言う手合いに
30男の物悲しい説教とともに二人は一般客室へと降りていった。
隣と言っても少し距離がある隣の奏がこっちを向いた。
「まあ、許可が出るようなら
今回はコーデルさんとシェフのムッシュさん。そしてメイド仲間のカナとマナが帯同している。ちなみにみんなはビジネスクラスである。
旅行に参加する2年の生徒数が360人くらいだから飛行機も二手に分かれての搭乗になる。
だから学校関係だけでなく他のお客さんも乗っているのだ。
奏はリアム君たちとの決戦のことを考えているのだろうか。⋯⋯いや、普通にゲームしてた。こういうところ変わってないな。
ハワイ便の飛行機は結構揺れが酷いらしい。そう聞いていたので緊張する。不意に奏がゲームから目を離すと言った。
「真綾。揺れより時差ぼけの方が酷いぞ。何しろ7時間乗って向こうに着いたら前日の5時間後、だからな。」
そっかー。なんか計算しづらい話しだなぁ。そうか、奏は異世界で旅慣れしてたからな。異世界で時差ぼけとか大丈夫だったの?
「時差なんて無いよ。だってアストリアは南北に長い国だったからね。敢えて言えば気温差かな。でも埼玉の暑さ寒さに比べればどうってことはないな。」
そんなもんか。ちょっと安心して私はリクライニングを倒す。やばい、もしかして
少しうとうとしているといきなりドスン、という衝撃で目が覚める。エアポケットかな、そう思っているとCAさんたちが慌ただしく出入りを繰り返す。どうやら何かあったようだ。
「高山奏様。」
CAさんが奏を呼びに来た。何やら耳打ちされた奏は立ち上がると私についてくるよう手招きをする。
「セバを呼んで来てくれ。
私がコーデルさんとそこへ向かうと厳つい警備員さんが通してくれた。
中に入ると機長と話をしていた奏がこちらを向く。その顔にはべったりと苦笑が張り付いていた。
「やられたわ。セバ、ここはどこだと思う?」
コーデルさんは探査魔法を放ったらしくはっとした顔をする。
「はい。間違いございません。ここは
え!?ハワイはどうなるの?
「落ち着け真綾。問題はそこじゃない。この世界に航空機はない。つまり。」
⋯⋯空港が、いや、滑走路が無いですと?
「さすがはアストリア王家の召喚術。まんまとやられましたな。」
いや、
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