宿題に勤しむメイド【私】の物語。逃しませんよ。
(このエピソードはKAC2020参加作に加筆修正したものです。今後第7章に移す予定です。)
「真綾、裏切ったね⋯⋯。」
隣のテーブルから奏がこちらを睨んでる。ふん、身から出た錆じゃん。いい気味いい気味。
そう、私は奏の身辺を世話するメイドなので「旦那様」である奏のスマホも私が普段私が管理している。まあ、それもあるんだけど奏は電話よりゲームの
今回の「作戦」は私が原因と言えば原因なの。私が休憩中に食堂で宿題を片付けていると、椿姫さんに褒められたのだ。いや学校の宿題なんでと謙遜すると、
「その
と尋ねられ、私が肯定したことから始まった。
「学生が宿題をしないのは拙いのか?」
その問いに私が肯定するとすぐに奏の部屋へと直行する。
奏の部屋に無造作に放置され、終業式後一度も触れられた形跡のない鞄。
椿姫さんが開けると
椿姫さんは
高山奏【公式】
「みんなで夏休みの宿題を片そうぜ!冷房、フリードリンク、お助け講師完備。しかもランチ、スイーツも付くよ。ロッ高生限定。詳細は
あー、しかもランチとスイーツの画像付きだよ。すぐにクラスメートや夏季講習に行ってない子たちから引き合いが殺到したのだ。そりゃそうなるわな。ちなみに私も今日はみんなと宿題やってます。
「いやぁ助かるよぉ。」
紗栄子がドリンクバーからジュースを持って来た。ドリンクバーと言ってもメイドさんがバーテンダーをやってくれる本格的なカウンターである。カウンターにはうちのクラス担任の渡邉先生がメイドさんに色目を使いながらカクテルをチビチビやっている。あー、そのメイドさん、本当の姿はマジえぐいから。
「あいつ引率なのに酒飲んでていいのかよ?勉強くらい見てやればいいのに。」
紗栄子が吐き捨てるように言う。ま、いいんじゃない。たまには。
「良いよ別に。こっちの執事さんの教え方の方がわかりやすいし。⋯⋯しかもイケメン♡」
華がシュッとしたイケメン魔族に数学を教えてもらっていた。あー、その魔人さんは華のお爺さんよりかなり歳上だから。
私はどちらかと言えば魔人が勉強を教えられる方が不思議だわ。考えてみれば言語を簡単に習得できる魔法があるのだから他の科目にもあるのだろうか?
とは言え魔王たる奏は使えないみたいだし。あとでコーデルさんに聞いてみよっ。
チラッとと奏の方を見ると、すでに憮然とした表情は情けなさそうな眠い顔に変わっていた。ほら、遊び疲れた幼児が泣いてお家に帰りたーいって騒いでる顔ね。
でも、私はこの時奏がまた良からぬことを企んでいるとは思ってもいなかったんだ。
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