代休に旧友と飲みに行く魔王【俺】の物語。
「ジャスティンがこっちの世界に来ているらしいな。」
文化祭の片付けが終わってヘトヘトになっている俺にトニーから電話がある。お前、知らなかったのか?
「ああ。女神様に
どうも俺たちの学校に編入したらしいぞ。昨日、
俺はもう争いの
「奏、お前に話しておきたいことがある。どうせ明日は学祭の代休みだ。俺に付き合え。」
そして翌日⋯⋯。
やっぱりキャバクラじゃないか。
目が眩みそうな照明と座席の仄暗さのコントラストに目を
個室に付いていたボーイにトニーが耳打ちするとみんなが席を外す。よほど通ってるんだな、そうとしか思えない。
「飲むか?」
トニーが答えを聞くまでもなく氷の入ったグラスにウイスキーを注いだ。
「よくみんなで飲んだよな。」
トニーが懐かしそうに言うが、それはどうだろうな。お前は女の子と一緒で俺たちとはほとんど別行動だったじゃないか。で、話ってなんだよ?
「マーヤのこと、ジャスティンにちゃんと聞けよ。」
俺は目を逸らす。
「お前は逃げてる。王と姫、そしてジャスティン。マーヤの死の背後に彼らの意図があったのは明らかだ。考えてもみろよ。マーヤは自分のことで未だにお前がくよくよしてると思ったら、安心して幸せになれると思うか?俺の知っているマーヤはそんな子じゃない。」
わかっているさ。じゃあなぜ、あの
「それがマーヤの
それは俺の勝手だ。俺の気持ちは俺だけのものだ。悲しんで何が悪い?
俺は涙を流していた。トニーは俺におしぼりを渡した。
「分かってないのか?お前の悲しみはお前の
お前の執事が、メイドたちが真綾を大切に扱う理由がわからないのか?
いい加減、マーヤを見送ってやれ。旅立たせてやってくれ。それができないのは、お前がジャスティンやリリアと向き合わなかったからだ。同じ間違いを繰り返すな。」
そう、俺は怒りのベクトルがずっと自分に向いていた。俺はマーヤを守れなかった自分を罰したかっただけなんだ。そして、不幸であり続けることに満足していた。⋯⋯大切な家族を巻き添えにして。
「立ち直ることはマーヤに対する裏切りじゃない。むしろそれが
⋯⋯ほら、涙拭けよ。さ、厄落としにパーっと行こうぜ。騒ごうぜ。」
くっそ、最後のこれがなければいい話なんだがな。でも、このあと無茶苦茶飲んで、フロアのピアノ弾いて、トニーと歌った。
昔もこんなことあったな⋯⋯そうだ、マーヤとの結婚式の2日前、
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