こちらに転生した【王】の物語。リアムの覚醒。
ほう自分の父が偽物だと気付いたな?その態度はつい先日まで父の影に怯えていた少年とは思えない。リアムは眉一つ動かさない。執事たちが慌てて遺体を運び出す。リアムは魔法で飛び散ったいろいろなモノを浄化すると、それまで父親が使っていたソファに腰掛けた。
「もちろん、この男はある意味ホンモノとも言える。なにしろ私とこれまで10数年の間生活を共にした人間であることに違いはないからな。しかし、ホンモノの父上は別の場所におられる。」
正解だ。
「当然のことでしょう。私の正体を知っていてなお共に暮らせるとしたらよほどの実力者かただの愚か者です。」
リアムは天井を見上げて言った。
「父上、どこで聞いておられるかは存じません。しかし、魔王討伐の
陛下はやめてくれ。お前はいったいどこへ向かおうとしているのだ?
「私は魔王を倒す。そして勇者王として世界を統治する。ただそれだけのことだ。それが選ばれし者である私の使命だ。私の意思こそが正義だ。」
そいつは面白い。俺はだんだん楽しくなってきた。これまでの俺は王として代々受け継いだ民と国と歴史を守ることに
今度はこいつの
俺は俺の身ひとつを
リアム、来週スイスというところで他の家の当主たちとの会合がある。そこで新たな
翌週、リアムと俺たちはスイスという
「これが例の『
リアムの身体が魔法具に包まれると一斉に銃弾が浴びせられる。しかし、平然と受け流すと突然電光石火のごとく動き始める。見事なまでの加速性能。響くのは銃声と
戦闘はわずか30分足らず。最後は司令車両に乗り込むと司令官を引き摺り出す。司令官は怯え切っていた。
兵士を殺してしまったのか?俺の問いにリアムは首を振る。
「いや、二度と銃を握れぬ程度に壊しただけだ。司令官、残念だが
そう言って尻餅をついて自分を見上げる司令官の腹のあたりにものを落とす。それは狙撃手の二つの眼球と人差し指二本だった。彼は恐怖のあまり声も出せない。
「私に絶対の忠誠を誓え。逆らえば生きたまま身体をバラバラにするこだってできる。お前の家族も全部だ。そして、誓えば身体を元に戻してやろう。」
俺は魔王との最初の戦いを思い出していた。俺の親友を、そして妻の弟を無惨にも奪った魔王の特殊魔法。こう易々と使えるものか。
そこにようやく彼の
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