第8章;敵か味方か?【大賢者】が魔王とメイドを追い詰める。
残暑にやられた魔王【俺】のぼやき。第7章と夏休みは今執筆中。
暑い。クーラーが効いているとは言え、設営はめんどくさすぎる。濱ちゃん!位置はここでいいの?大きなカウンターテーブル。教室のある2階まで手で運搬とか嫌すぎる。
「なに言ってんの、旦那さ……じゃなくて奏君。こういうことは生徒自らの手で成し遂げるからこそ美しい青春の1ページになるのです。」
現場に監督としてやって来たウチの庭師長、マリコが得意げに言った。
文化祭である。週休2日制度のおかげで昭和時代は9月末だった文化祭が平成のうちに8月末に繰り上がったのだそうである。準備の時間が無ければ夏休みを使えば良いじゃない、というマリー=アントワネットも真っ青な塩対応なのだ。
サマーキャンプの前にクラスの出し物は決定する。もちろん、重複をしすぎも困るため、
そして、合唱で良いべ、ピアノ伴奏くらいしたるから……という俺の魂の叫びは見事に踏みにじられ、「メイド喫茶」となったのだ。もちろん、競合するクラスと生徒会へのプレゼン合戦の上、勝ち取ったものである。
「まあウチのクラスはナデちゃんおるでね。生徒会もエルダーもウチを支持するやろな。」
ニッシーの予想通りであった。
「ねえ、協力してよぉ。」
紗栄子や華に迫られる。だが断る!だいたい俺を当て込むんじゃない。
「本格的なのにしたいの。」
頼み込んだのは彼女たちだけではなく、クラス中の女子からお願いされてしまう。うちは本格的じゃなくて本物なの。しかもそのお願いもスキンシップ込みなものだからだんだん強く断れなくなり⋯⋯トドメは真綾だった。
「⋯⋯だめ?」
あー、そのお願いの仕方、マーヤのパクったろ?上目遣いでじいっと見つめられる。あーーーわかったわかった。
ちなみに、マーヤの場合そのお願いポーズは胸の谷間がチラッとなるのが肝なんだが、真綾の場合は隙間か⋯⋯。最近それはそれで良くなってる自分もいる。
やけになった俺は設営をマリコに、パティシエをブラウニーとホイットニーの妖精姉妹に丸投げしようとしたら見事に断られたのであった。監修はしてやるが学生なら自力でやれと。
それでお盆休みが終わると屋敷にクラス女子と陽キャ男子が大挙して押し寄せ、メイドと執事特訓に励み、俺たち陰キャと脳筋男子はアストリアから送られた材木でカウンターやらテーブルやら椅子やらを作らされたのだ。使用済みカウンターは終わったらアストリアに引き取られるので材料費はゼロである。
さすがにメイド服と執事服は屋敷のものを貸し出すことにしたのだ。
紗栄子は身長があるので執事服を着たいと言い出し、華はスカートが長いと文句をつけだす。良いよ。ただし改造したくば「買取り」でお願いします。
「ケチ。」
華が膨れつらをする。だいたいメイドってのは主役じゃなくてお屋敷の「黒子」なんだから。自分に注目を集めない格好をするべきなのだ。
「せっかくのガーターベルトからの吊りニーソなのに?」
……うん。網タイならなお良し。いや、それでもダメなものはダメなのだ。ホントはゲーム三昧のインドア生活を満喫したかったのに。
「はーい、差し入れですよー。ひと息入れませんかー。」
真綾がカナとナナを連れておにぎりなどが入ったバスケットを持って来た。
ああ、青春だねえ。俺は真っ白な灰になりそうな気持ちを
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