美と女性をこよなく愛する【巨匠】の物語。勇者たちの新しい武器。
他人に何かを教える。俺にとっては新鮮な経験だった。アストリアでは王宮の一角に研究室兼工房を与えられているが、俺は大抵旅をして留守にしている。自称弟子もいるにはいるが、俺に教えを請うというよりは俺の弟子という箔を付けたいやつばかりだ。だからこんなに一箇所にじっくりと腰を据えたのは久しぶりだった。
アメリカから来た勇者たち。まるで異世界に放り込まれたばかりの俺たちを見ているようだった。ただ違ったのは彼らには素質と教養があり、なによりも使命感にあふれていることだった。そして、転生によるチートボーナスが無いこと。
新しいノアの魔杖に俺は「
ノアは目を輝かせて何度も試していた。
クロエには「
クロエは嬉しそうにありがとう、と言った。この娘は間違いなくいい女になるだろうな。
ステラの魔銃は「ベル・スター」。俺の元パーメンのエリスの魔銃「カラミティ・ジェーン」と対を成す名銃にしあがった。魔法を結晶化した弾頭を薬莢に込めた魔弾を放つための魔法具。
「いい感じですぅ。」
俺が苦手とする天然タイプの女だが、成長すれば掌の上で男を自在に転がす「魔女」になることだろう。
リアムに与えたのは剣と盾の一対の魔法具だ。日本人は文化的に勇者に両手剣を持たせたがるが西洋ではこちらが主流だ。トリコロールのカラーリングの盾はいかにもアメリカらしくていい。ただ丸盾だとキャプテンなんとかとかぶるのでヒーターシールドにした。いわゆるアイロン型の盾のことな。
「平凡だな。」
リアムの第一印象は極めて辛辣だった。まずは使って見てから言え。そして、一頻り使った感想と言えば
「なるほど。」
である。くーーーかわいげがねえ。悪いが今回の武器なら異世界の女神様に渡したら後生大事に最難関ダンジョンのドラゴンの尻尾の下の宝箱に納められるレベルなんだからな。
とりあえず、新装備の実戦投入は、来月のサマーキャンプあたりだな。それまでみっちりしごいてやるからな、覚悟しておけよ。
さてと、今日は納品も済ましたことだし、久しぶりに羽を伸ばすことにしよう。六本木のネオンが俺を呼んでるんでな。
おそらく、魔王の力を継承する前の奏になら充分に勝てるだろう。だが今、どれだけあいつが成長しているか。次の実戦で判断するしかない。
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