目立たぬ日常が欲しい【俺】の物語。サマーキャンプは波乱の予感。
サマーキャンプ。この高校では7月の期末テストが終わると外国から高校生を招いて国際交流キャンプを行うのだ。一応「国際高校」なので。いつもはコースによって様々な場所へ行くのだが、今回はリアムたちの提案及び口添えで米軍のキャンプ富士で合同で行うことになった。
もちろんこんなことは例外中の例外である。リアムたちの実家の御威光やいかにというところであろう。おそらくはトニー謹製の新装備を俺に対して試したいはずだ。なんとも迷惑なことである。もちろん、軍事オタクの生徒会長の羽間が泣いて狂喜乱舞していたのは言うまでもない。自前の迷彩服を着て行くそうだが。
とはいえ、裏方のサマキャン実行委員は大変なのに違いない。30人近い外国からのゲストの歓迎やら結団式やらの準備、ゲストのクラス割り振りなどにてんてこ舞いである。基本1クラス1名という割り当てだ。
今回は生徒会からの要請でゲストの合宿施設として屋敷の和館を提供することにしたのだ。例年は一般家庭にホームステイなのである。和館は純和風建築なので海外から来たゲストの高校生たちも大喜びだった。
ただ一口にキャンプと言っても
米兵が講師を務める「英語特訓」やら、サバイバル訓練、格闘技講座。あるいは普通に教師による大学受験学習講座、果ては米軍技術武官によるコンピュータのプログラミング講座まであるのだ。修学旅行よりよほど修学している。というのもキャンプ富士は米軍でも
学校での結団式を終えると皆バスで富士の麓を目指すのだ。あ、リアムたちは当然ヘリコプターです。ヘリにはトニーが引率教師役として同乗するそうである。バス移動中、セバスチャンから連絡が入る。
「旦那様。昨夜執務室に侵入者があった模様です。盗聴器が仕掛けられておりました。」
執務室は和館の二階にある。おそらくゲストの中にスパイが入り混んでいたのだろう。
どうも敵は勇者パだけではないのかもしれない。
「何かあったの?」
護衛として俺のスマホを管理している真綾が聞いた。真綾は俺に差し出された経緯から政府によって通信の自由が制限されているため、自分名義のスマホは持てないのだ。紗栄子や華といった友達との通話は俺のスマホでするしかない。
それに海外ゲストも2人ほどこのバスに乗っている。セバスチャンの報告の内容を知られる訳にはいかない。うーむ、今回も波乱の予感がする。
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