下位カーストな【俺】の物語。魔王同士の邂逅。
さて。友人たちとバカ話をしていたが、そろそろ帰るとするか。その時、強大な魔力を感じる。それも魔王レベルの魔力だ。結界越しなのにとんでもない気配だ。
さては
一流の召喚術師であったリリアーナ姫ですら召喚には万全の体勢で行っていたのに
その時、カフェテリアの屋上に張られた結界がはぜる。そして、雲の結果が学校の敷地を覆う。この気は⋯⋯やばいな。風と水を操る存在だ。結界が消えたことでよりその存在の強大さが浮き彫りになる。
学校内を強い風が吹き荒れ、部活中の生徒たちが慌てて避難する。真綾は剣道部の練習に参加すると言ってたから室内にいるから心配は要らないはずだ。外を吹き荒ぶ風は強さを増し、窓ガラスがビリビリと震える。迎えの車を呼ぼうにもこれでは外には出られまい。
仕方ない、校門まで風除けの結界でも張るか、そう昇降口へ歩き始めると真綾が道着を着たまま俺のとこまで走ってきた。うん、萌えるな。これはこれで良いんじゃないか。
「大変、華がテニスコートに取り残されちゃったの。」
余韻を味わう暇も無しか。わかった、真綾一緒に来てくれ。
「私も行くよ。」
紗栄子もついてくる。
「ベーゼンドルファー!」
目の前に俺の妖精術士の魔道具が現れる。ちなみにベーゼンドルファーはこの世界での最高峰クラスのピアノメーカーの名前だっけ。異世界だったから勝手に名前使っていたけど、コッチに戻ったからには名前をつけ直した方が無難だろう。召喚したのはドモンと俺が名付けた土の妖精王だ。
「ドモン、壁を!」
俺が送り込んだ魔力でドモンは昇降口からテニスコートまでの経路にトンネル状の壁を作り上げた。
テニスコートで華は身を伏せてネットの支柱にしがみついていた。
こちらを向いた華のスコートが風でめくれ上がり、完全にアンスコが見えている。顔が一瞬緩んでしまったところを真綾に見咎められた。そう、小さな幸せを噛みしめている場合ではない。
俺はさらに風の妖精王フーマを呼ぶと風の結果で吹き荒ぶ強風を対消滅させ、華を助けだす。
「奏くん、怖かったよ〜」
華はまるで幼女のように俺の首にしがみつくが、胸の部分は幼くはないので俺の下半身は全く違う反応をしてしまう。
「ちょっと奏、華に何してんのっ!」
真綾が俺から華を剥がそうとするも余程怖かったのか、なかなか離れようとしない。
「そちが魔王とやらか?」
しかし、そこにドラゴンが現れたのだ。
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