陰キャ転校生な【俺】の物語。神の左眼悪魔の右眼。
「あのなあ高山。ウチに校則がユルくなったは知ってるだろうが限界はあるんだぞ。『不衛生、不道徳、不健康』はダメだぞ。その目だ。カラコンが視力に悪影響があるのは知らんのか?」
担任教諭の渡辺一朗は生徒指導も担当しているらしく、俺のふざけた目の色を見過ごすわけにはいかなかったのだ。
「すみません。これは自前の目ん玉でして、外すわけにもいかないんです。外すと『おい鬼〇郎』といいながら走り回るんです。」
「嘘をつくな。おまえの顔はまごうことなき純日本人だ。」
「最近は帰化される方も多いですし、日本人だからと言って目が黒いというのは些か時代錯誤な気もしますが。」
「そういう話じゃない。そういう方面にはちゃんと配慮はしている。ただおまえの目の色は明らかにおかしい。」
そんな「目の色変えて」んの先生の方じゃないですか。
「ええ、そりゃ『魔眼』ですから。」
「魔眼って『中二』か?高校生にもなって恥ずかしいとは思わんのか?」
ええ恥ずかしいですとも。俺が望んで転入したわけじゃない。
「そうですね。一応魔王なもんで。」
俺の答えがおかしかったのか渡辺先生は大笑いしてから、ふっと真顔になる。
「じゃあ俺も大魔法使いだわ。」
「もしかして童貞なんですか?」
「断じて違う!『素人』童貞なだけだ。いいか、ルールはルールだ。明日までに是正しろ。いいな、わかったな。」
困ったな。俺は「魔眼」であることを説明しようとした。俺は先生の手元のスマホに侵入し、そこから自宅のパソコンにハッキングする。まあ三十路で独身男性の弱みは大体そこに集中しているものだ。
「先生、海外のエロサイトがお好きなんですか?」
「なんだって?」
「僕が『魔眼』で透視したんです。先生の御宅のパソコンの鍵がかかったエロフォルダ、欧米美少女のヌード画像と動画でいっぱいじゃないですか?」
あきらかにうろたえる教師渡辺。
「そ、そんなサイト、み、見たことねえし。だいたい、俺の『パソコン』にそんなものは入っていない。」
「だから、外付けのハードディスクの方ですよ。3テラバイトですか?どんだけ入ってるんですか?ちなみにモザイクが一切入ってないですから法律違反ですよ。警察に通報しましょうか?頒布が目的でなくても単純所持してるだけで有罪ですから。いやいや、ついに先生もネットで拡散されて有名人ですなぁ。」
クリティカルヒット!きっと激務の合間のオアシスだったのだろう。パイパン貧乳か、童顔巨乳が好みのようだ。俺はしれっと言ってやった。
「ルールはルールですものねえ。」
渡辺先生は観念したようで俺の目が「生来のもの」であるという証明書を発行することを渋々承諾した。
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