陰キャ転入生な【俺】の物語。魔王からの招待。

  「どうでしょう?俺の屋敷に皆さんを招待しましょう。次の日曜日はいかがですか?部活の方は夕食だけでもどうぞ。」


 横に座る真綾が不安そうな視線を向ける。怖い魔法さえ見せなければ大丈夫だ⋯⋯多分。家に帰ってセバスチャンに告げると彼はニヤリとした。俺の計画をすぐに察知するのはやめろ。


 いちばん張り切っていたのは料理長シェフのムッシュだった。客は皆高校生だからガッツリいける肉系で、とだけ注文する。


 女子が多いということでスティルルームメイドも張り切っている。スティルルームメイドは食品庫の管理とお茶やコーヒーの管理、そしてパティシエも兼ねるティータイムを取り仕切るメイドさんだ。


 招待客は生徒会執行部、優等生エルダーの皆さん、そして真綾の友人の紗栄子と華だ。もちろん、真綾もメイド服エプロンドレスを着てパーラーメイドのヘルプで給仕に入る。二人に「バイト」の実態を理解してもらえるだろう。


 玄関までセバスチャンと客人を迎えに行くと皆キョロキョロと辺りを見渡している。

まずはサロンでお茶。そして夕食をともにするのである。俺がタキシードを着ていたので皆驚いていた。


 紗栄子は俺をまじまじと見てから

「と⋯⋯トリック・オア・トリート?」

と多少噛み気味に戯けた。うん、ハロウィンは半年先な。まだ4月だし。でもお菓子なら中どうぞ。


 華はサロンでお茶とお茶菓子を配る真綾を見つけて目を丸くする。いつものメイド服姿である。

「やだ真綾、マジ可愛いヤバイ!これがバイト?いいなあ、服めっちゃ可愛いヤバイ!ね、ブランドどこ?」


「だから制服だって。趣味で着てるんじゃないからね。」

恥ずかしそうに照れる真綾の写真をスマホでバシャバシャ撮る。

「華、真綾はバイト中なんだから困らせちゃダメ。」

紗栄子に止められるまでやっていた。


 生徒会長の羽間はざまはうちが民間軍事会社と聞いて銃でも置いてあるかもとワクワクしていたようだ。実は軍事オタクミリヲタらしい。だいたいあっても厳重に保管するだろ、普通。まあ魔法で戦うので武器は不要だし、あるのも魔王城にて厳重に保管中だ。異世界に残った残りの四天王に任せてあるのだ。


 俺は羽間に自分たちを招いた理由を尋ねられた。俺はこの学校に編入したのは自分の希望によるものではなく、新しい学校の経営陣の求めによるものであることを告げた。


  そう、だから俺のことはそっとしておいて欲しい。そして真綾には存分に学園生活を楽しんで欲しい。それが俺の望みなのだ。


 

 


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