陽キャ転入生な【私】の物語。「めんどくさいって言うな!」

 私と奏が2階から戻ると皆、興味津津みたい。この学校は1学年に普通科7クラスと国際科2クラス、そして特進コース1クラスがあって、国際科は留学生や帰国子女を積極的に受け入れているのだ。


 ただ、あの4人に関しては特進コースに入っているらしい。ただ教室には一切顔を出さずあのカフェテリアの3階と屋上のペントハウスに篭っているらしいのだ。そして彼らに初めて招かれた生徒が私と奏だったのだ。


 だから紗栄子と華から質問攻めにあってしまったのだ。中の様子とかは伝えたけど、彼らの人となりなんて知らないっつーの。

「二人はあの人たちとどんな関係なの?」

え⋯⋯とバイト先の家業と彼らの家業が「ライバル」関係としか⋯⋯。

「で、結局真綾のバイトってなに?」


 奏は奏で困っていた。「陰キャ」モブとしてひっそりとつつがなく学園生活を送るつもりがこの上なく目だってしまったからである。


 私たちは早速、生徒会執行部に呼び出された。

「ああ面倒くせえ。」

奏が気怠そうにドアを開けるとそこには執行部とエルダーと呼ばれる学業やスポーツで成績優秀かつ品行方正な生徒たちが集まっていたのだ。私たちは車座に置かれた長テーブルに案内され、席を勧められた。

 「実はこちらも困っているんですよ。彼らは一切我々と接触を取ろうとはしないのでね。」

 生徒会長は私たちと彼らの関係を尋ねる。奏は一度大きくため息を吐いてから

言った。


「あの、笑わないで聞いてください。俺が魔王であの4人は勇者、そういう関係です。」

一瞬、室内が静まりかえる。そしてその後にどっと笑いがおきた。私は一瞬奏が特殊魔法でこの部屋を阿鼻叫喚地獄に変えてしまわないか冷や冷やしたが杞憂に終わる。


「高山君は面白いね。場を和ませてくれて感謝する。そして続きをどうぞ。」

会長も悪意に取っていないが信じてもいないようだ。


「皆さんは今年、日本政府と防衛事業契約を結んだ民間軍事会社『FDK』をご存知ですよね?」

 そう、コーデルさんが作った魔王の隠れ蓑であるペーパーカンパニーだ。皆うなずく。というのもこの学校の近くにある駒場昭和公園を占有しているからだ。そして1000億円という目玉が飛び出しそうな年間契約費。核兵器を搭載した原潜を保有する史上最凶最悪の「魔王の眷属」と揶揄される民間軍事会社。今、連日国会で紛糾しているニュースの目玉だ。


奏は澄ました顔で言った。

「俺がその主です。」

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