新米メイドな【私】の物語。「なんかムカつく!」
スタッフ食堂に戻ると
「あれ?ワゴンはどうしたの?」
あ、しまった。腹立ち紛れに置いてきてしまった。
「もしかして、朝から旦那様の『一番搾り』?」
羨ましそうに私を見つめる4人。だから、
「真綾、それを厨房に返し終わったら
椿姫さんの声はクールすぎて、感情を読み取ることは難しいが、叱られることは間違いない。でも、私は許せなかったんだ。
「それで、貴女は何に対して怒っているのかしら?」
私はその問いにすぐには答えられなかった。私は奏を恋愛対象として見ていない。だから、日本政府が私がこの屋敷に送り込んだとき、彼に対しては嫌悪感しかなかった。でも、ここで働いている魔族のみんなは奏のことが大好きなのだ。だから、少しずつ奏のことを見直し始めていた。
それなのに、
でも私が任された仕事をお座なりにして怒りに任せて途中放棄したことには違いがない。
「すみませんでした。」
私は座ったままもう一度頭を下げる。椿姫さんは言った。
「ええ。あなたが反省していることは理解しているし、旦那様も気になさっておられないわ。では、質問を変えます。あなたは何にイラついているのかしら?
1、大勢の女性を侍らせる旦那様。
2、それを見過ごす我々スタッフ。
3、旦那様のお相手をする
4、こんなところでメイドをしている貴女自身。
どれかしら?」
きっと全部が当てはまる。でも何て言ったらいいのだろう。先に椿姫さんが口を開いた。
「貴女は旦那様を嫌うことで『自分のカタチ』を保とうとしているのではなくて?少なくとも私にはそう見えるわ。午後、貴女に見せたいものがあるわ。昼の休憩が終わったら、またここへいらっしゃい。」
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